第百九十二章 神剣と聖剣
前話「第百九十一章」において、重大なミスが発見されましたのでご報告させて頂きます
前話の二ヶ所において「ギャルのパンティ」という記述がありましたが、これは誤りであり、正しくは「ギャルのパンティー」でした
謹んでここにお詫び申し上げます
本当に申し訳ありませんでした
この世界に来てから初めてかもしれない、穏やかな時間が過ぎていく。
たまに自分のスキルの練習をするほかは、俺は昼間のほとんどの時間を仲間のために使うようになった。
具体的に何をするかは相手によって違うが、イーナの訓練に付き合ったり、ミツキと一緒に道場に稽古をつけに行ったり、サザーンに図書館の入館料をたかられたり、元気のないリンゴを街に連れ出して食べ歩きをしたり、真希が勝手に引き受けてきた変な依頼をこなしたり、レイラと危険食材の調理に挑戦したり、くまに屋敷の住人たちを紹介してもらったり、まあ色々だ。
その間にほかの仲間は一緒にいる時もあるし、バラバラに行動していることもある。
ただし、夜になると自然と屋敷に集まり、石板の映像記録を見るという習慣が出来ていた。
一応俺たちも魔王を倒した英雄と言われているが、アレクスたちの冒険は俺たちのそれとは全く違った。
敵をバグ技で攻撃したりしないし、転移技を悪用して入れない場所に忍び込んだりしないし、魔王を溺死させたりもしない。
基本的な部分では『猫耳猫』のシステムを使いながらも、まるで普通の冒険活劇さながらの真っ当な勇者の物語が進んでいく。
魔将軍を倒したアレクスたちが前線を剣聖ルデンに任せ、ラムリック南西の孤島へと渡り、そこで封印の一族という人々に出会った九話。
一族の巫女で、幼いながらに自らの身体に邪神の欠片を封じた盲目の少女ネイティアと出会い、必ず彼女を助けると誓った十話。
封印の一族の情報を頼りにオールドキャッスルという古い城塞跡に向かい、そこに巣食う邪悪なる巨人たちとの大規模な戦闘を描いた十一話。
オールドキャッスルの奥地の祭壇で神々の試練を受け、邪神に対抗出来る唯一の武器、『絶対神剣アルティヘイト』を手に入れた十二話。
神剣アルティヘイトの力を振るい、激闘の末にネイティアに宿った邪神の欠片を見事に打ち破った十三話。
どれも物語として面白かったが、特に猫耳猫フリークとしては見逃せないイベントが数多くあった。
ゲームでは未実装だった地域やイベント、絶対に入手不可能だったアイテムが映像ではしっかり出現していたのだ。
まず、ラムリック南西の孤島はゲームではマップ外だったので当然未実装地域だし、オールドキャッスルは巨人系モブがいて思わせぶりな祭壇があるものの、行っても何のイベントも起きない外れ地域だった。
余談だが、某掲示板では「オールドキャッスルの祭壇まで行ったのに何も起きないんだけど?」という質問に対して、「徒労だったな」とあざ笑うのがお約束になっていた。
そして極めつけはアレクスが入手した『絶対神剣アルティヘイト』。
これはスペックだけが公開され、結局は実装されることのなかった、猫耳猫プレイヤー憧れの武器なのだ。
アルティヘイトの姿や性能が公開されたのは、発売前の紹介記事。
そのデータによると、この武器の攻撃力数値は隠しダンジョンのソウルイーターを超える999で全武器中最高、重さは最低値の0。
それだけではなく、持っている限り遠距離攻撃を無効化し、フィールド上にいる友好的なキャラクターの数だけ全能力値がアップするというとんでもない特殊能力を持つ、全武器中最高の性能を持つと言っても過言ではない武器だった。
装備グラも異様に気合が入ったものだったので、当然ながら発売する前からこの武器に対する期待度は高かったのだが、発売された製品版にアルティヘイトの姿はなく、多くのプレイヤーを失望させた。
俺の想像では遠距離攻撃無効だとかフィールド上の人数によって効果が変わるとか、その辺の特殊能力を実装する技術力がなかったのではないかとひそかににらんでいるのだが、真相は分からない。
今にして思えば広告詐欺とかで訴えたら勝てるんじゃないかというくらいの話だが、まあ猫耳猫ではよくあることの一つだ。
ただ、これを俺が手に入れられるかというと難しいだろう。
オールドキャッスルでのイベントの開始条件は巫女であるネイティアがキーワードを口にすることらしく、そのためには巫女を探しに孤島へ向かわなければいけない。
そして、そうやって開始された神々の試練は俺と相性最悪だった。
試練を受けられるのは一人だけで、しかもどんなに優れた身体能力を持った人間も、この試練を受ける時は常人並みの肉体に制限されるという意地悪設定。
当然スキルや魔法も一切使えない。
試練の内容は、空中にある幅二メートル、長さ三十メートルほどの道をまっすぐ進み、一番奥の神剣に触れるという簡単に見えるものだが、一歩進むごとに直撃すれば即死の光の刃が四方八方から飛んでくる。
普通の人間並みの運動能力になったはずのアレクスは、持ち前の反応速度と勘の良さでアクション映画みたいな回避を見せていたが、あれはとても真似出来ない。
俺だったら一歩目で真っ二つになっているだろう。
そして最後、今まで横や上から飛んできた光の刃が、真下、つまり道の中から出てきたのには本当に鬼畜だと思った。
あれを初見で避けるのは熟練の猫耳猫プレイヤーでも不可能だろう。
だが逆に、それを見たことでこのイベントがこの世界の完全なオリジナルではなく、猫耳猫のゲームの延長線上にあると確信出来た。
プレイする人間のことを一切考えない、死んで覚えろと言わんばかりの難易度に、性格の悪いギミックの数々。
これは確かに、猫耳猫の制作者が考えていて、しかし実装されることのなかった機能なのだろう。
この世界はやはり「猫耳猫」そのものではなく、いわば追加要素の入ったアペンドディスクを追加した「猫耳猫完全版」。
ゲーム以上に完全な猫耳猫の世界なのだと言えるのかもしれない。
……まあ、完全版の割にはバグが残っているばかりか増えているような気もするが、きっとそれも含めての猫耳猫世界なんだ、と思うことにしよう。
ちょっと話がズレたが、神剣アルティヘイトが邪神攻略に必須な理由はまだある。
邪神の心臓にある宝石、邪神大戦ではオーブと呼ばれていたその石をアルティヘイトのスキルで攻撃すると、その威力に応じて邪神を分裂させることが出来るらしい。
もちろん分裂させればさせるほど邪神は弱くなり、オーブの大きさに比例して邪神の大きさや能力、使えるスキルなども変化するらしい。
ただ、欠片を倒すとその力は残りの欠片に吸収されるため、本当に邪神を倒そうと思ったら完全体になった邪神と戦うしかない訳だが。
これもゲームでも聞いたことのない情報だったが、確かに納得のいく話だった。
俺が出会った邪神の欠片はゲームの裏ボスであるラムリック地下の欠片と、この世界に来てから生贄の祭壇で出会った欠片だけだが、生贄の祭壇の欠片は小さかったせいか、ラムリック地下の欠片が使ってきた広域攻撃技『ジェノサイドウェーブ』を使ってこなかった。
やはり心臓部の宝石の大きさと能力は比例するものらしい。
映像記録での情報によると、巨大な邪神の欠片は自在に言葉を話すほか、相手をフィールドから逃げられなくなるようにする霧や、状態異常を誘発する瘴気を生み、死亡した相手から一個だけアイテムを奪う能力や、次元の壁を突破する能力を持っているらしい。
次元の壁を突破、というのは俺も意味が分からなかったのだが、要するに隔離されたマップを行き来するような能力らしい。
つまり一定以上の大きさの邪神の欠片には空間を閉じるタイプの封印は効果がないということだ。
そういう意味ではラムリックの地下に隔離されている邪神の欠片はまだまだ小さい物だということかもしれない。
ではそういう邪神はどうやって封印するかというと、国土の何割かを犠牲にするような大規模な封印術を使って身動きを取れなくするか、極限まで弱らせた後で邪神の自己再生能力と拮抗する攻撃を四六時中浴びせかけ続けるか、ネイティアのように適性を持った人間の身体に封じるか、の三択らしい。
もちろん、そのどの方法も大きな犠牲を伴う。
我らが勇者アレクスがそれをよしとするはずもなく、神剣を手に、欠片を倒したことで完全体となった邪神に戦いを挑む、のが次の十四話、だと思っていたのだが……。
(これは、ひどいな……)
この世界では人もモンスターも死ねば光の粒になって空気に溶けて消える。
死体や血などは残らないが、それでも壊れた道や火のついた家屋を見ればその場所で何が起こったのかは分かる。
「どうしてだ! どうして、こんなことが……」
神剣アルティヘイトを手にしたアレクスたちを待っていたのは、邪神の襲撃によって崩壊した街だ。
モンスターが跋扈し人々が逃げ惑う、そこはまるで地獄絵図だった。
そして辿り着いた最前線。
多くの魔物を従え、一際大きい異形が姿を現す。
――邪神、ディズ・アスター。
姿形は、俺がゲームで見た邪神の欠片と大差はない。
ただ、大きさはまるで違った。
全長は十五メートルはあるだろうか。
生物というより、小山が動いているようだった。
「ヨク、キタナ。ニンゲン、タチ」
そして意外なことに、邪神はアレクスたちの姿を認めると、ひどく聞き取りにくい、耳障りな声で、しかし確かに言葉を口にした。
いや、意外ではないのかもしれない。
確かに封印の一族の情報には完全に近い邪神の欠片には知能があり、言葉もしゃべるとあったはずだ。
だが、実際にこんな巨体が言葉を話しているのを見ると、本能的に驚いてしまうようだ。
思わず身をすくませて身構える勇者たちに、奴はその巨大な顔に醜悪な笑みを浮かべながら、右の腕をゆっくりと前に伸ばした。
攻撃かと思ったが、そうではない。
「……ワスレモノ、ダ」
その巨大な右腕からポロリと落とされたのは、ボロボロになった細身の剣。
この世に二つとない名剣、スワローエッジ。
――最前線で戦っていたはずの、剣聖ルデンの剣だった。
それが何を意味するのか理解した瞬間、アレクスは吼えていた。
「ディズ・アスタァアアアアア!!」
そして、それが死闘の始まりの合図となる。
今は亡き剣聖ルデンを含め、十傑と呼ばれた彼らは誰もが一騎当千。
スキルや魔法の使い方こそ猫耳猫プレイヤーには一歩譲るものの、全員がミツキに匹敵するほどの戦闘能力を持った超一流の戦士だった。
右手に騎士剣リヒター、左手に神剣アルティヘイトを持つ、『二刀の勇者アレクス』。
前線で高レベルな剣技と魔法を使い分け、陰に日向に味方を支える、『光の王女シエル』。
炎と光の魔法に誰よりも精通し、有史以来最高の魔法の繰り手と名高い、『大魔術師ネームレス』。
自らの使命を果たし、今はネームレスの指導により魔法の才能を開花させた、『闇の巫女ネイティア』。
圧倒的な速さと剣技を持ち、カタナという片刃の剣を使う謎の傭兵、『猫耳剣士シズル』。
ゴリゴリの体型ながら、誰よりも精緻な回復魔法を使う、『マッチョヒーラー義矢門』。
どんな悪条件の中でも決して獲物を見逃さない、孤高なる狩人、『神弓師ローデン』。
天真爛漫で明るい性格とは裏腹に、恐るべき暗殺術で誰にも気づかれずに標的を仕留める、『死神フィーン』。
光の王女シエルの妹で、姉に劣らぬ魔力を持って支援に回復にと味方を鼓舞する、『月光姫ルーナ』。
誰もかれもが必死で戦った。
特に勇者アレクスの働きは凄まじかった。
防御においては遠距離攻撃を無効化する剣の力で仲間を身を挺してかばい、攻撃においては神剣と砂竜剣で底上げされた能力で縦横無尽に邪神を切り刻む。
――だが、それにも限界が訪れる。
どんな傷を与えても心臓部を破壊しなければ自己回復し続ける邪神ディズ・アスターと、HPやMPの限られた人間では、やはり持久力に差があったのだ。
最初の綻びは、最前線で起こった。
「へっへーん。後ろがお留守だよ、っと!」
こんな時でも明るさを失わない暗殺者のフィーンが邪神の背後からその腕を斬りつけ……。
「フィーン! 逃げろ!」
「え? ……ぁ」
一瞬、だった。
邪神に近づきすぎた暗殺者の少女は、一瞬で無数の触手に巻きつかれ、取り込まれ、そして……潰された。
「冗談、だろ。そんな、フィーンが……」
先ほどまでの奮闘が嘘のように呆然と立ち尽くすアレクスに、邪神は悠然と触手を伸ばす。
攻撃、ではなかった。
それはまるで、戦闘前のやりとりの、焼き直し。
カラン、とアレクスの前に落とされるのは、ひしゃげた腕輪。
それは、以前のイベントで、フィーンが出身の孤児院の子供たちから贈られた思い出のブレスレットで……。
「……ガラクタ、ダナ」
邪神の悪意たっぷりな台詞に、アレクスの理性は崩壊した。
「うぁああああああ!!」
今までの激しくとも論理的な戦い方とは違い、がむしゃらに突撃していく。
(性格わりぃ……)
それを見ながら、これには俺も顔をしかめていた。
邪神の倒した相手の装備を奪うという特殊能力は敵をおちょくるためのものだったらしい。
これもどうせ猫耳猫スタッフが考えていた演出なんだろうが、悪い意味で流石だ。
そして、そこから崩壊は加速していく。
九対一でかろうじて拮抗していた戦局から一人が脱落すれば、そこから崩れていくのは明白だ。
「アレクス落ち着いて! 冷静さを失えば敵の――」
「姫、危ない!」
次の犠牲者は神弓師ローデンだった。
アレクスを落ち着かせようとしたシエルに向けて邪神の光線が飛び、それをかばったローデンは一瞬で身体を貫かれて死んだ。
「ローデン? くそ、くそぉおおおおお!」
倒れるローデンを見たアレクスはさらに奮起するが、それで戦況が変わることもなく。
むしろ集まってきたアレクスたちに対し、邪神は全身から瘴気を噴き出させて対抗。
ある者は麻痺に、ある者は眠りに、またある者は瘴気を避けようとしているところを触手にはたかれ、アレクスたちは奮闘空しく、その場に倒れた。
「……ここまで、ですね」
――ただ一人、光の王女と呼ばれたシエル・エルルーナという少女を除いて。
シエルは瘴気が渦巻く中、ルーナに回復魔法をかけると、アレクスの許へと駆け寄った。
だがアレクスの隣にやってきたシエルが行ったのは、アレクスを助けることではなく、その手から剣を、魔族リヒターが変化した剣、騎士剣リヒターを取り上げることだった。
「シ、エル……?」
何が起きているのか分からない。
そんな顔をするアレクスに、シエルは優しく微笑むと、騎士剣リヒターを手にしたまま、反対の手で小さな宝珠を掲げた。
「まさ、か……」
それは、魔族の一部と、王家にしか存在していないと言われる竜の秘宝。
彼女はそれを掲げ、そして……。
「アレクス、あなたを、愛していました。……どうか、世界を、よろしくお願いしますね」
「やめろ! やめるんだ、シエル!!」
制止の言葉にやはり悲しげな微笑を浮かべたまま、彼女はその言葉を口にする。
「――騎士剣、シエル・エルルーナ」
変化は、瞬く間に起こる。
透き通る白い肌はやはり白い刀身に、美しい銀の髪は、その切っ先に。
可憐な少女はその生を終え、闇を払う聖剣へと生まれ変わる。
「……シ、エル」
そうつぶやいたアレクスが何を思ったか、どんな表情をしていたか、それは分からない。
だが、生まれたばかりの『騎士剣シエル』を手に立ちあがったアレクスの目には、決して折れない強い輝きが宿っていた。
「……邪神、ディズ・アスター。お前は、俺が、滅ぼす!」
アレクスはそう静かな宣言をして、それから……。
「……ぁ」
次の瞬間、石板に残された映像は終わり、俺たちは元の部屋にもどされていたのだった。
しばらく、俺たちは顔を見合わせたまま、何も言えなかった。
ここまで前向きな話が続いていたので、その落差に対応出来なかったのだ。
話としては、分かる。
最終決戦でヒロインがその身を犠牲にして主人公に力を与える。
よくある展開と言えばよくある展開だ。
そして、ゲーム的なシステムについて考えても、分かる。
竜の秘宝は、装備品補正を含めた能力を参照して武器を作る。
つまり、すでに竜の秘宝の武器を持った人間がさらに竜の秘宝を使えば、生まれる武器の能力は「前のキャラの補正+今のキャラの能力値」となり、一人が竜の秘宝を使った時と比べ物にならない強力な剣が出来るのだ。
それは、分かる。
分かるのに、アレクスたちに感情移入しすぎてしまったせいか、どうにもその事実を呑み込むことが出来なかった。
「……とりあえず、解散しましょう」
比較的ショックを受けていない様子のミツキがまずそう言って、全員がぽつぽつと帰っていった。
そして最後に、ミツキが残った。
最後に残ったのがミツキだったことに、特に意味はないと思う。
彼女自身何か意図があったとか、そういうことではたぶんなかった。
でも俺はそれで気が緩んだのか、思わずミツキに向かって誰も話さなかった今回の話の感想を口にしていた。
「……びっくりしたな。分かってたはずだけど、ああやって人が死ぬのを見ると、ちょっとさ」
いや、映画やゲームでも人が死ぬところは何度も見たはずだ。
しかし、今回はリアリティが違った。
魔王や邪神の欠片とは俺たちだって戦った。
あれもあと一歩間違えれば今回の話のように犠牲が出ていたはずだ。
そう考えると、どうしても他人事とは思えなかった。
「そう、ですね。ですが、世界を救うとは、それくらいの難業です。
何の犠牲もなしに出来るような事ではない」
「ああ。まあ、そうなん、だろうな」
誰かが死ぬリスク、というのは常に意識していたはずだ。
なのに今さらになってそれを突きつけられるなんて、変な話だ。
顔を伏せる俺に、けれどミツキは優しく声をかけた。
「そんな顔を、しないで下さい。貴方は、救国の英雄ソーマです。
一人の犠牲も出さずに世界を救ってみせた貴方は、彼ら以上の事をしたのですよ」
「いや、だけど俺は……」
反論をしようとする俺を封じるように、ミツキはそっと指を俺の唇に当てた。
「貴方の行いは、私が知っています。
ラムリックにいた時から、良い事も悪い事も、しっかりと見てきました」
「ミツキ……」
俺と一緒にいた時間についてはリンゴと同じくらいに長く、そして出会った時期で言えばリンゴよりも早い。
そのミツキにそんな風に言われてしまえば、俺は何も言えなかった。
「その上で、言います。貴方は十分に頑張りました。
だから貴方は何も気兼ねせず、思う通りに進んでいいと思います」
「思う通り、って……」
俺の疑問に答えることはなく、ミツキはすっと俺から離れた。
「明日はいよいよ十五話、最終話です。
長い冒険が終わる時が、来たのかもしれませんね」
そんな言葉を残して去っていくミツキの背中を見送りながら、俺は考える。
――長い冒険の終わり。
それはアレクスたちの旅のことだろうか、それとも……。
猫耳猫四巻の発売日が決まったので活動報告更新
早速一日間に合いませんでしたが、次回も懲りずに明後日更新の予定!!
だったのに、ゲームには勝てなかったよ……




