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予言ちゃん  作者: たまと
2/4

告白される。



「リナちゃんは、今日、告白されるよ。」


朝、登校してきたら『おはよう』の代わりに予言ちゃんから、そう言われた。


予言ちゃんの予言は、侮れない。


予言ちゃんは、“予言ちゃん”と呼ばれてるわりには、そう頻繁に予言をしない。

だけど、たまに予言をしたらその予言は必ず当たる。

一番、皆に有名な予言は、“校長交通事故”の予言と一年前の“斉藤君の骨折”の予言だろう。


そんな予言ちゃんの予言だから今回も必ず当たるのだろう。


「え、誰に?誰に?」

「さあ?わからない。」

予言ちゃんは、必ず当たる予言しかしない。

当たるかどうかわからない予言はしないらしい。


「予言ちゃん、お願い!予言じゃなくて、予想でいいから教えて!」


自分が、告白されるんだ。

そうしつこく訊くほど気になってしょうがない。


「うーん、どうだろう。木村君かタカシあたりじゃないかな。あと加賀君とか…、ダメだ。わからない。」


頼りない答え。

でも、今日告白されるのは、きっと確実。


そんな状況は、相手が誰かわからくてもワクワクする。


でも、こんな急に告白なんて…






あ、


「“リナちゃん”って、D組の藤堂さんじゃないでしょうね?」


去年の終わり頃、私は予言ちゃんにこう予言された。

『リナちゃんは、来年はD組だよ。』

そしたら、見事に藤堂さんが、D組になった。

確かに二人共、名前が“リナ”だから間違いではないけれど…


「大丈夫。今日は佐伯利奈が誰かに告白される。」


・・・


なんかほっとしたような、拍子抜けしたような変な気分。


「『告白される』か…。あんまり好きじゃないなぁ。」

予言ちゃんが、呟く。


「え、なんで?」

他愛もない質問。


「だって、嫌じゃない?たとえ、両想いだとしても相手の方が気持ちが上な気がして…」


予言ちゃんが、そう言ったところで鐘がなる。


* * *


『相手の方が気持ちが上な気がして…』

予言ちゃんの言葉は、四時限になった今でも何故か頭の中で何度もリピートする。


そういえば、今まで告白したことないな。


されたことはある。告白されたら、その人がいい人だったら、他に気になってる人がいてもOKしてしまう。

そんな私。








ダメだな、私。

大体、今日、告白してくる人は誰か想像はつく。

私もその人の事は、前から気になっていた。


予言ちゃんの今まで百発百中の予言を外したくなった。




私から告白する。








* * *


放課後


結果から言うと私から告白するという予言への抵抗で行った告白はうまくいった。


私は、今日の昼食時間の始めに加賀君に告白した。


うまくいった私の初めての告白。

うまくいった、予言ちゃんの予言外し。


と、言いたいけど…






うん、嘘。

告白も予言外しもうまくいかなかった。

加賀君は、彼女がいるという理由で断られた。

予言の方は、加賀君に告白したあとに、斉藤君から告白された。


残念な結果。


だけど、心はそんなに暗くない。

むしろ清々しい。

自分から告白する勇気を得たから。


斉藤君には、『ちょっと考えさせて』と言ったが、明日断るつもりだ。


でも、今日の斉藤君の告白でちょっと斉藤君のことを好きになってしまった。

あんな大胆な告白されたらねぇ…

かなりドキッとした。


だけど、断る。

だから、断る。


いつか私からもっと斉藤君のことが好きになったら私から告白したい。

私の方が、気持ちが上という証明に私の方が大胆な告白をしようと思っている。










私の高校にいる予言ちゃん。

その予言は今のところ百発百中だ。



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