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キューティーズは胸の前で両腕を組み、マミカに迫った。
「そんなパフォーマンスしか出来ないなら、もう地下アイドルを辞めなさいよ!」
ベニコの非難に、マミカが青ざめる。
「ベニコちゃん、ひどいよ!」
たまらず、純男が口を挟んだ。
「純男さんとガヤオさんが甘やかすから!」
ベニコが2人をにらんだ。
「ええ!? 俺も!?」
ガヤオが怯む。
「ここまで言われて、ひと言も返さないなんて、どんだけ恥ずかしがり屋なのよ!」
ベニコがマミカに視線を戻す。
「いいわ。じゃあ、3日後の夜、ライブで勝負よ!」
「ライブで!?」
純男が慌てた。
「ええ。お客さん100人に、マミカと私たち、どっちのパフォーマンスが良いか審査してもらうの。そして、負けた方が地下アイドルを辞めるのよ!」
「やや、辞める!? マミカちゃんがアイドルを! 辞める!?」
純男が白眼を剥き、後ろに倒れるのをガヤオが支える。
「1日くらい、まともなパフォーマンスをして見せるのね!」
捨て台詞を残し、キューティーズは去った。
青くなったマミカ、そして白眼の純男、未だ状況がよく分からないガヤオが残される。
「ど、どうしよう⋯勝負なんて⋯わたし⋯」
マミカが項垂れた。
「ハッ!」
純男が復活する。
「マミカちゃん! 大丈夫だよ! ボクは君が、たくさん練習しているのを知ってる! 恥ずかしさを克服して実力を出せば、キューティーズにだって負けないよ!」
「純男さん⋯」
マミカの大きな瞳が潤んだ。
「ボクは全身全霊でマミカちゃんを応援する! ガヤオくんだって! ねぇ!」
純男が、ガヤオを見つめる。
「え!? あ、ああ⋯俺は助っ人だからな」
ガヤオは頷いた。
「ガヤオさん⋯」
マミカが、ガヤオを見つめる。
「よーし! そうと決まったら、応援の特訓だ!」
3日後の対決に備え、ガヤオと純男は練習を開始した。
オタ芸は想像より難しく、体力も要った。
ガヤオは純男のマミカへの真摯な情熱に打たれ、自分も本気で取り組んだ。
努力の甲斐あって、何とか様になってくる。
「よし! あとはマミカちゃんを信じるだけだ!」
純男の鼻息は荒い。
そして、決戦当日。
ガヤオと純男を加えた100人の観客が、劇場にひしめいた。
ステージにキューティーズが登場すれば、彼らはワーと盛り上がる。
(むぅ⋯さすが言うだけはあるな)
彼女たちのステージに、ガヤオは感心した。
(マミカちゃんがポテンシャルを発揮しないと厳しいな)
キューティーズの歌とダンスは大盛況で終わった。
彼女たちと入れ替わりに、マミカが登場する。
普段とは違う観客の多さに、ブルブルと震えていた。
「マミカちゃーん!」
純男が叫ぶ。
「マミカちゃーん!」
ガヤオも続いた。
2人の声を聞いたマミカが少々、血の気を取り戻す。
曲のイントロが流れた。
マミカが踊りだす。
やはり、ぎこちない。
観客たちの前に出た純男とガヤオはメロディーに乗り、全力でサイリウム・ダンスした。
2人以外の客は、呆気に取られている。




