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「3人目のヒーメさん、貴族のお姫様ッスよ」


 カルナディアの勇者ガヤオのお見合いは続いていた。


 城の大広間で行われるパーティーの中、ネココの紹介で20代前半の美しい姫ヒーメが現れる。


(おお! かわいいー!)


 ガヤオはドキドキした。


「勇者様。踊りましょう」


 ヒーメがエメラルド色のロングヘアを揺らし、右手を差し出す。


「え! 俺、ダンスは上手くなくて⋯」


 オドオドしつつ、ガヤオはヒーメの手を取った。


「大丈夫。わたくしがリードしますから」


 ヒーメがチャーミングに微笑んだ。


 生オーケストラが演奏を始める。


 2人は他の貴族たちと共に、ダンスフロアでクルクルと踊りだした。


 ヒーメが導いてくれ、ガヤオも何とかついていく。


「わたくしと結婚していただければ、ダンスにもすぐに慣れますわ。毎日、観劇したり、お菓子を食べたりして楽しく過ごせますのよ」


「ええ!? 毎日!?」


「はい。わたくしとでは退屈ですか?」


 ヒーメの表情が曇った。


「い、いえ! ただ俺には、勇者の役目が⋯」


「それは心配要りません。勇者様のお仕事は全て、わたくしのお父様の家来たちが引き受けますから。わたくしと勇者様は、お城でゆっくりくつろいでいれば良いのです」


「えー!? そ、そんな⋯」


 ガヤオが困惑した、その時。


「これは!」


 ミョーン感覚が襲ってきた。


 身体が半透明になる。


「あら!? 勇者様!?」


「済みません! 続きは後で!」


 謝ったガヤオは、別世界へと移動していた。


 目の前の小さなステージ上で、アイドル衣装を着た10代後半のかわいい女性がスポットライトを浴びて立っている。


「あ⋯あの⋯その⋯」


 彼女の顔が真っ赤だ。


「マミカちゃん、最高ー!」


 ガランとした劇場内で、たった1人の青年が、マミカを応援している。


 彼は20代後半で、丸眼鏡をかけ、チェック柄のシャツとデニムパンツ姿だ。


「「あ!」」


 ステージのマミカと眼鏡青年が同時に、ガヤオに気付いた。


 マミカはますます赤くなり、青年はガヤオに抱きつく。


「おおおー! ついにボク以外のマミカちゃんファンが! (きみ)の名前は!?」


「え? 俺はカルナディアのガヤオ」


「ガヤオくん! ボクは純男(すみお)! マミカちゃんの大ファンさ!」


「そうか⋯マミカちゃん?」


 ガヤオがマミカを見る。


 彼女は、下を向いてしまった。


「そう! 地下アイドルのマミカちゃん!」


 ガヤオは何のことやら、さっぱり分からない。


「あれ? ガヤオくん、RPGの勇者みたいな格好してるね。そうか、コスプレイヤーなんだ! そして、マミカちゃんのファン!」


 全然、分からない。


「さあ、2人でマミカちゃんを応援しよう!」


 純男に肩を組まれ、マミカの前に立った。


「あ! ああっ⋯あうぅ⋯」


 マミカが両手で、顔を隠す。


「マミカちゃん! ガヤオくんも来てくれたよ! 頑張って! ほら、ガヤオくんも!」


「え? あー⋯頑張って」


「は、はは、はい!」


 マミカがマイクを(くち)の前戻した。


「し、新曲の⋯『ズッキュン♡マミカ・ラブ』⋯聴いてください⋯」


 ポップなイントロが流れ、マミカがぎこちなく踊りだす。


「うおおぉー!」


 興奮した純男が背中のリュックから4本のサイリウムを取り出した。


 2本をガヤオに握らせる。


 光らせ(かた)も教えてくれた。


 マミカが唄いだす。


(声、ちっちゃ!)


 彼女の声は、ほとんど聞こえない。


 しかし純男は、大喜びで両手のサイリウムを振り回し、懸命に声援を送っている。


 その様子に気圧(けお)され、ガヤオも動きは真似できないまでも、マミカを応援した。


 曲が終わり、顔を赤くしたマミカが肩をすくめて小さくなる。


「最高だよ、マミカちゃーん!」


 純男が満面の笑みを見せる。


「ちょっと待ちなさい!」


 声と共に、アイドル衣装姿の3人の娘たちがステージ袖から現れた。


「あ! キューティーズ!」


 純男が驚く。


「最初から最後まで全然、声が出てないのよ! ダンスも下手すぎ!」


 それぞれ赤青黃色の衣装の真ん中、赤の女子が怒った。


「キューティーズのリーダー、ベニコちゃんだよ」と、純男がガヤオに教えてくれる。










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