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第5話:障害物検知

 洞窟の出口まで、直線距離で残り四十二メートル。


 最短経路上の岩陰には、先程の二足歩行個体群――「未知生物」が密集していた。


 個体数は、現在十四。


 彼らは手に保持した燃焼器具や、金属製の細長い構造体(武器と推測される)を外側へ向け、扇状の陣形を展開している。


 その挙動は、特定の領域に対する組織的な防衛、あるいは封鎖を示唆していた。


進行方向に複数の動的障害物を検知。

接触による機体損傷リスク:0.01%未満。

推奨行動:障害物の自発的排除までの待機。


 「01」は、岩壁の窪みに機体を収容し、全機能を低電力モードへ移行させた。


 光学センサーのゲインを下げ、熱源探知のみを維持する。


 障害物が移動し、ルートが開放されるのを待つのが、エネルギー効率において最適であるという演算結果に基づく判断だ。


 だが、事態は予測モデルから逸脱し始めた。


「……イ、……! ……オ……ッ、……ア!!」


 未知生物たちの発声は、時間と共に振幅と頻度を増していく。


 彼らは周囲の岩石を叩き、地面を削り、特定の規則性を持って「01」が潜む方向へ距離を詰めてきた。


予測モデルと不一致。

障害物の滞留時間が想定を350%超過。

移動パターン解析:不規則。

知性的反応による包囲行動と再定義。


 「01」は、至近距離まで接近した個体を詳細に走査した。


 個体が握り締めている金属製の棒。

その表面を赤外線分光で解析する。


成分解析:鉄、炭素、微量の不純物。

分子構造:鍛造による圧縮。

データ照合:本星における「旧型手動掘削工具(廃棄済み)」と一致。


 彼らが「決死の武器」として構えているものは、「01」の文明においては、数世代前にゴミ捨て場へ捨てられた旧時代の工具の、さらに劣化コピーに過ぎなかった。


 人類側の緊迫した表情、震える指先、滴る汗。


 それら一切の生物的反応はログに記録されることなく、ただの「非効率な熱エネルギーの放出」として処理される。


 通信途絶から、既に十二時間が経過している。


 「01」にとって、この惑星における「探査」と「本星への帰還」が最優先プロトコルである事実に変わりはない。


行動方針、再定義。

障害物の自発的移動は期待不能。

ルート確保のため、物理的排除の優先順位を「最高」に設定。


 低電力モードが解除される。


 機体内部で核融合炉が微かにうなりを上げ、全身のサーボモーターに高圧電流が奔った。


 「01」は、岩の影から一歩、外へ踏み出した。


 その瞬間、未知生物たちが一斉に絶叫し、手にした工具を振り上げる。


 「01」の視界メインモニタには、彼らの姿は映っていない。


 ただ、最短ルート上に存在する「排除すべき座標」が、赤いワイヤーフレームで強調されているだけだった。


排除シーケンス、開始。



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