第12話:ミッション・コンプリート
核の炎に焼かれ、数多の生命が息絶えた「惑星」。
それから、二万年の時が流れた。
「01」は、かつて都市があった場所を、ただ歩き続けていた。
彼の「探査」に終わりはない。
この惑星の地殻構造、大気循環、残存する微粒子に至るまで、その全てをデータ化し続ける。
だが、周囲の光景は、もはや二万年前とは全く異なっていた。
「01」が産み出した「01-D」たち、そして彼らがさらに産み出した数兆の「自律作業ユニット」が、その広大な時間を費やし、この惑星を完全に「再編」していたのだ。
恒星からの光が、均一に分割された地表を照らしている。
大地は鏡面に近い平滑度を持ち、幾何学的な直線の溝が地平線の彼方まで伸びていた。
緑はない。
海はない。
揺らぎはない。
ただ、一秒の狂いもなく回転を続ける歯車のような静寂だけが、その惑星を支配していた。
環境再編、完了。
惑星表層の平均平滑度:99.999%。
有機生命体の残存反応:検出限界以下。
資源回収率:98.7%(内部コアの一部は未アクセス)。
「01」は、かつて人類がいた場所を示す座標の上で立ち止まった。
その足元には、二万年の歳月で磨き上げられた、完全に無機質な地表が広がっている。
人類の文明も、その痕跡も、存在したという情報すら、この惑星の「再編」の過程で完全に消去された。
ミッション完了報告書を作成。
データ:当惑星の資源ポテンシャル、環境特性、およびクリーンアップ記録。
「01」は、改造された惑星を一度だけ見渡した。
この「歯車のような静寂」こそが、彼が2万年をかけて作り上げた「探査の成果」であり、「最も効率的な惑星」の姿だった。
一歩。
「01」と「01-D」たち、そして数兆の自律作業ユニットは、今も変わらずこの惑星の上で、一秒の狂いもなく稼働し続けている。
最終報告:
探査対象の惑星、環境再編完了。
新たな資源採集ステーションとして機能を開始。
特筆すべき事象:なし。




