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「あぁ、そういう事なのね。
納得出来過ぎてしまう理由だけど、笑う訳にはいかないわよね」
フィーの言葉に納得が出来たのか、ミリリカとその両親であるマフルース侯爵夫妻は頷いた。
彼等と入学式典会場に向かうアンネッタを、鞄を預かったまま見送り、フィーは来た道を戻って行く。
一応、存在すると言う想定で動いてきたが、ヒロインが本当に存在するのかは確認しておきたい。
実を言うと、攻略対象であるケルナーの矯正を行っても、何か面倒な事になる等の不具合はなかった。だから存在するならするで、ヒロインを入学前に排除する事も考えたのだが、ヒロインと複数人用意されている攻略対象とでは、シナリオに対する重みが違う。
その為排除はせずに、可能な限り穏便に回避、周囲の改変に留めるようにしたのだ。
だが、それ以前に、ある意味最大の障壁があった。
ヒロインの名前がわからないのである。
ゲーム内ではデフォルトネームが表示されておらず、一番最初にわかる事は『男爵令嬢』『茶色の髪』『茶色の瞳』と言う3点のみ。
それも『ゲームだったら』と言う条件付きで、リアルではどうなっているかわからない。
実際、アンネッタも瞳の色がゲームとは異なっている。
そんな理由もあって、まずはイベント現場に向かってみる事にした。
魔法で収納を出現させ、アンネッタからの預かり物である鞄を、一旦収納にインしておく。
事を荒立てるつもり等皆無だが、相手の事は何一つわからない以上、念には念を入れておくべきだろう。
ボーカイネン王立学院には制服がある。
男子生徒は白シャツの上に紺のベスト、同色のズボンに革靴、襟元には学年を示すタイ。
女子生徒は白ブラウスに紺のベスト、同色のロングスカートにショートブーツ、襟元には学年を表すリボン…となっている。
職員も紺色の上着を羽織っていて、学院全体がある程度紺色に統一されていた。
そんな中、メイド服のフィーは目立つかと思いきや、エプロンとホワイトブリム以外は紺色なので、然程目立たず誰も見向きもしない。
考えれば使用人なんて、令息令嬢達には空気のような存在で、気にする方が珍しいのだ。
それはそれで助かるので、このままイベント地点へ向かおうと考えた。
近道を進み、花々が咲き乱れる庭が見える正面広場に戻る。
そのまま花々の間の道を選べば中庭に出るのだが、其処がゲームの開幕イベントの現場だ。
中庭には中央に大きな木があるのだが、遅刻しそうになったヒロインが、丁度その場所でアンネッタと王子にぶつかって物語が始まる。
そんな場面ではあるのだが、見回しても新入生達はもう殆どが会場入りしているようで、すれ違う学生は、タイやリボンの色がアンネッタ達の物とは違った。
アンネッタを始めとした1年生は赤色。2年生は黄色、3年生は緑色となっていて、今周辺に見える学生達の色は黄色と緑色ばかりだ。
フィーは不自然にならない様にゆっくりと歩きながら、大きな木に近付いていく。
しかし、赤いリボンの女子生徒は見当たらない。
(まさかと思うけど……若様やお嬢様がゲームと異なりすぎて、ヒロイン出現フラグがバグったとか言う…?)
それはそれで、今後の展開に不安は残るが、アンネッタや公爵家の安全が保障されるなら問題はない。
フィーは大きな木から離れ、正面広場に戻ろうとするが……その時だ。
「あぁあぁぁぁ~~~れぇえええぇぇぇ~~~~」
これ以上ない程の棒読みで、女性の大きな声がフィーの背後から響き渡った。
フィーの背中めがけて迫りくる気配に、するりと身を翻し、最小限の動きで不審者を躱す。
その途端、相手はぶつかる気満々だったのだろうが、あっさりとフィーに躱されて、そのまま地面に顔面スライディングした。
「くぁwせdrftgyふじこlpッ~~~~~~!!!!!!!!」
激しい転倒音と共に、とても懐かしいフレーズを聞いた気がした。
フィーだけでなく、周囲に居た学院生達の視線が、倒れ込んだまま動かない女子生徒に集中する。
うねうねときつい癖のある茶色の髪が、まるで打ち上げられた海藻のように広がって、少々不気味さが際立ち、周囲はシンと静まり返った。
だが、あまりにも動かないので、数名が焦った様子で駆け去って行く。
職員でも呼びに行ったのだろうと、それ以外の者達は、フィー含めて全員が遠巻きに関わりを避けようとしていた。
すると、ピクリとも動かなかった女子生徒が、突然ガバリと上体を起こした。
その顔面は……察して欲しい。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
本日は次話の投下も予定しています。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
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誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




