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「あの……売り子の他に、メイドとかはあったりしませんか?
お姉ちゃんは住み込みでメイドをしてたんです。でもお父さんが倒れて、戻ってきてくれる事になって……だから同じような仕事があると嬉しいなって…」
女店主は腕組みをして考え込む。
「メイドかぁ…。
この辺でメイドを探してるような……となるとビモッツ家かモーソー家だけど……ん~どっちも男爵家だけど…あたいはおススメはしないねぇ…」
フィーは内心でガッツポーズを決める。
『おススメ』じゃなくて構わない。どうせ職を探して居る姉なんて、何処にも居ないのだ。色々と話してくれさえすればそれで良い。
勿論表情にも行動にも出さないが、不自然にならないよう気を付けながら、更に詳しく聞き始めた。
「そうなのですか?
私はどちらの御家もあまり知らなくて…」
困ったように呟くと、女店主は周囲を見回してから突然手招きをしだす。
どうやら店番の交代をお願いする様だ。
交代が終わると、女店主はエプロンを外しながら、もう一度フィーに手招きをする。
「流石にねぇ…あんな通りのド真ん中でする話じゃないからさ」
そう言うと彼女は、苦笑を浮かべて肩を竦めながら近くの物陰に入った。
彼女は名をノギーと言い、この露店通りの顔役の一人なのだそうだ。
どうりで色々と知っている……。
彼女によると、ビモッツ家が募集しているのは子守メイドらしい。
しかしビモッツ家はあまり余裕がある家ではないらしく、前任のメイドが辞めたのは給金と仕事が見合っていなかったからだそうだ。
つまり安い給金であれこもれもとこき使ったらしい。
なるほど…と神妙な顔をして頷くが、フィーが知りたい本命ではない。
「じゃあもう一方の…えっと…」
「モーソー家だねぇ…あっちはあっちで問題大ありなんだよ。
あそこはそこそこ裕福で、給金の心配はあんまりしなくても大丈夫だと思うんだけどねぇ…」
ノギーは顔を顰めると、大きく溜息を吐いた。
「嬢ちゃんみたいな小さい子に聞かせたくない話なんだけど……。
でもまぁ、嬢ちゃんは苦労してるようだし、見たまんまの子供って訳じゃないから大丈夫か…う~ん…」
聞かせるには少々年齢的に…と言う話題らしい。
となると大体絞れる。
「もしかして女癖が悪いんですか?
それとも暴力をふるう方…だとか…ですか?」
ノギーがポカンとした顔をしてから笑い出した。
「あたいが思った以上に、嬢ちゃんは大人だったみたいだねぇ。
大丈夫そうだから話すけど…。
あっこの当主は、そりゃあ女癖が悪いのさ。
奥方は他所から嫁いできた人だから、あんまり強く言えないんだろうねぇ…女の尻ばっかり追っかける旦那をすっかり見限って、息子にばっかり構ってるよ」
フィーも勿論事前調査をしている。
モーソー家は直系の当主と、彼に嫁いできた奥方、その間に1男1女という家族構成らしい。
その1女と言うのがドニカである。
家としてはノギーも言っていたが、今の所、困窮はしていない。
その財は先代のモーソー家当主が築いたものなのだが、先代の息子である現当主は、それを食い潰すしか能のない人物だそうで、このまま散財を続ければ、いずれは困窮する日が来る事になるだろう。
下半身男だと言うのは調べ切れていなかったが、奥方が見限るのもある意味当然だと思われる。
「そんな家だからか、息子の方も厄介っちゃぁ厄介だねぇ。
奥様が溺愛するもんだから、かなり横柄に育っちまってねぇ…まぁ坊ちゃんも被害者かもしれないけど、一番の被害者はお嬢さんの方さ。
って、やだよ…あたいったら、こんなベラベラと…」
ノギーがハッと気づいたように困り顔を浮かべる。
「いえ、出来ればもっと詳しく教えて頂けませんか?
お給金の事を考えたら、お姉ちゃんにはそのモーソー様を勧めるべきなんでしょうけど……」
「あぁ、そうだったねぇ。
嬢ちゃんは姉さんの仕事先を前もって探してるんだったっけか…」
思い出したようにノギー一人で納得している。
その調子で、どんどんモーソー家の話を続けてくれと、フィーは先を促した。
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