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とりあえず見ててわかったのは、一応セルがこの3名の中では一番の頂点らしい事。
そのセルの助手としてこの場に居るので、恐らく命の危険はないと思うのだが……それにしたって剣呑すぎる空気に、フィーはどうしたものかと考える。
(困ったわね。
でもあれよ…別にこの人達の行動を邪魔する気はないのだし、反対に応援したいくらいなんだから、探すのも手伝うと言えば少しは空気が和らいだりしないかしら……。
これから顔を合わせる機会もゼロとはいかないだろうし、出来る事ならあんまりギスりたくないのだけど…)
やらない後悔をするより、やって後悔する方が建設的だと考えて、フィーは後回しになっていた挨拶もついでにしてしまおうと、深く頭を下げた。
「改めまして御挨拶申し上げます。
名はフィーと申します。
オファーロ公爵家のメイドでございます。
そしてかぼ……んん…『ガヴォッドラーヘン』と言う単語についてですが、セル様には既にお話しした通り、私には幼い頃の記憶がなく、もしかすると失った記憶の時期に、聞いた事があったのかもしれません。
ですので追及されてもお答え出来る事はない状態なのです。
お役に立てず、本当に申し訳ございません」
フィーは一旦言葉を区切り、目だけ動かしてシャフとルルの様子を窺う。
シャフもルルも、さっきまでの刺々しさが少し抜け落ちて、憐憫のような感情が表情に入り混じっていた。
「助手を務めさせて頂くのですから、皆様の探し物の邪魔をする気はございません。何でしたら手隙の時間でしたら、お手伝いも問題なくさせて頂きます」
一気にそこまで言い切って頭を上げると、シャフとルルは気まずそうに視線を彷徨わせていた。
チョロいもんである。
「えっとぉ…その、ごめん。
辛い事言わせてしまったよな…」
「わたしも…申し訳ないです…」
心底悪いと思っているのが滲み出ていて、フィーの方が申し訳ない気持ちになる。
何とも言えない空気を払拭しようとしているのか、ルルが少々ズレた話題を出してきた。
「えっと…フィーだっけ?
この国じゃ珍しい髪色してるもんな。
もしかしたら違う国の生まれなのかもしれないよな」
確かに珍しいかもしれない。
少なくともフィーは自分と似た色味を持った人と、これまで出会った事はない。
指摘されて初めて思い至ったが、確かに他国で生まれたと考える方が自然かもしれなかった。
「それはそうかもしれないね。
君の様な鮮やかな蜂蜜色の髪は、少なくともこの国でも隣国でも見た事はないかもしれない」
セルの言葉にフィーは石化した。
(え…?
待って…待って……蜂蜜色? えーっとつまり金髪っぽく見えてるって事?
噓でしょ…だって自分では撫子色に見えてるのに?
どう言う事なの……?
もしかして瞳の色も違って見えてる?)
声に出さなかった事を自分で褒めてやりたいくらいだ。
おかげでフィーの動揺は、セル達には気取られていない。
「なぁ、今回限定かもだけどさ、フィーは俺達の仲間になるんだろ?
じゃあついでだし、ガヴォッドラーヘンの調査の合間に、フィーの出身についても調べてみようぜ」
髪が短くとも、本当に愛らしい美少女メイドにしか見えないルルが言い出す。
「あぁ、それは良い案かもしれません。
学院ですし、人材に期待は出来なくても書庫もありますしね。
少なくともカザロ学院長の造詣の深さは申し分ないと言われています……まぁ、噂に違わなければ…ですが」
シャフも同調するが、セルは苦い表情のままシャフとルルを見てから、フィーへと顔を向けた。
「出身を探るのは……当人の気持ちを無視するのはいけないよ。
フィー自身がどう考えているかが最優先だからね。
彼女が今が一番大切で、過去はどうでも良いと言うのなら、無理に穿り返す事もないと思うのだけど……どうかな?」
セルだけでなく、シャフとルルの視線もフィーに集中する。
どう返答すれば良いのか…フィーは若干顔を引き攣らせながら、必死に頭をフル回転させていた。
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