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「そうだね…至って普通に僕の助手を務めて貰いたいのと、後は詮索しないで貰えると助かる……かな」
助手を務めると言うのは、元々此処を訪れた目的でもあるし問題はない。しかし『詮索しない』と言うのは、躊躇してしまう。
フィーは剣呑に少年を見つめた。
「…犯罪に絡むのであれば……頷けません。
申し訳ございません」
彼はその言葉に一瞬目を丸くしてから、フッと困ったように笑う。
そんなちょっとした仕草でさえも、彼の美貌を損なわない…いや割り増しされているようにさえ感じられて、つい推しモードが発動してしまいそうになる。
フィー…と言うか、内部に残っている芙美子が『心がぴょんぴょんするんじゃぁぁ~~~!』と、勝手に踊らされているだけなのだが、ほんの少しばかり癪に障った。
それはそうだろう…一応敵認定しているのだから、安易に踊らされるのは不味い。
フィーの内心の葛藤なんて知る由もない彼は、更に笑顔のサービスを上乗せしてきた。
「うん、誠実で良いね。
ん~……誠実な君になら話しても良いか…。
どう言えば良いかな……そう、忘れ去られた過去を探してるとでも言えば……あまりに抽象的か…。
そうだね……誰からも忘れられ、埋もれてしまった遺物を探して居るだけだよ。それも犯罪になるかな?」
つまりは歴史探訪と言うか、遺跡発掘みたいなものと言う事か……と納得しかけたが、彼の話にフィーの脳内で何かのピースが嵌った。
学院で遺物……。
ゲーム『流星の贈り物~恋も乙女の大事なお仕事~』に出てきたアレの事ではないだろうか…。
『流星の贈り物~恋も乙女の大事なお仕事~』と言うゲームは、平凡なヒロインを育成して、ラスボス討伐を目指すのだが、その育成中にパラメータによって『クラス』……他のゲームで言う所の『称号』や『肩書』みたいなモノが変化する。
フィーが覚えているモノを挙げるなら『淑女』や『聖女』、他には『魔女』なんて言うのもあった気がするが、そのクラスによって最終ボスへ向かう為の経路と鍵に若干の違いがあった。
経路の方は言うなれば右に進むか左に進むかと言った感じで、途中で拾えるアイテムやイベントに差が生じる。
そして鍵の方だが、それが『遺物』なのだ。
最初は全て『遺物』としかテキストに出てこないので、何の事だかわからないままゲームを進める事になるのだが、当然1周目では鍵である遺物が複数ある事には気付かない。
とは言え、複数ある事に何か意味があるのかと問われれば、『まぁ、なくはない』と言った程度だ。
『淑女』ルートならオーブ。『聖女』ルートなら錫杖と言った具合に、出てくる品がそのままラスボスへ至る道の鍵であり、ヒロインの武器になるのだが、ぶっちゃけ見た目が違うだけと言っても過言ではない。
いや、一応攻撃エフェクトや技名等の違いはあったが、言ってしまえばそれだけだ。
勿論全スチル収集等を目指すなら、そこは避けて通れない苦行ではあるのだが……。
結局の所、品は違えど全てが『鍵』で『武器』で……『遺物』である。
この遺物には『ガヴォッドラーヘン』と言う中二病を拗らせたと言うか……一応『栄光』と言う意味がある外国語を捩った名が冠されていた。
だが、一部のユーザー達からは中二病全開過ぎだの、小っ恥ずかしいだのと敬遠され、結局『かぼちゃラーメン』と言う愛称(?)が定着していた。
それを記憶の隅に覚えていたフィーは、その名を無意識に呟いてしまった。
「!?」
少年の顔から笑みが消える。
あまりに無表情で、フィーは思わず半歩後退ってしまった。
フィーが下がった分、少年が同じだけ進み出る。
「それ……何処で聞いたのかな?」
どうやら地雷を踏んでしまったようだ。
じりじりと詰められ、フィーはとうとう壁際まで追い込まれる。
流石に壁ドンはなくホッと胸を撫で下ろすが、当然追及の手が止まった訳ではなかった。
「もう一度聞くね?
何故その名称が出てきたのかな?」
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
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