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悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


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3



「フィー?、フィーってば!」


 いけない…つい過去に思いを馳せてしまっていたようだ。

 公爵令嬢の専属になったとは言え、メイドと言う身分でしかない。にも拘らず、フィーは仕えるアンネッタと同じ馬車に乗り、更には隣に腰掛ける事も特別に許可されている。


 その為すぐ隣のアンネッタが声を掛けてきていたようなのだが、さっきまで窓の外の風景を眺めてはしゃいでいたのに、何事だろう…?


「失礼しました。

 お嬢様、如何なさいました?」

「別に何もないけど、なんだかフィーがぼうっとしてるみたいで、疲れてるのかなって心配になっちゃったの」



 あの最悪の出会いから(およ)そ2年……。

 フィーの努力の甲斐あって、未来の悪役令嬢アンネッタ・オファーロは、とても素直で愛らしい令嬢に成長した。


 落ち着きだとか、まだ少し足りない所もあるのだが、S組に入れたのだから問題はない。

 ちなみに過去、アンネッタを階段上で突き飛ばした少年――アンネッタの兄であり攻略対象の一人であるケルナー・オファーロは、S組ではなく1組である。

 これには理由もあるのだが、今は置いておこう。


 学院のクラスは各学年5クラス置かれている。

 成績最上位者が集うS組。そこから成績順に1組から4組までの合計5クラスだ。

 1クラス当たりの人数は多くなく、S組に配される人数は更に少ない。



「私は大丈夫でございます。

 ただ学院内の配置を、再度思い返していただけです」


 目礼をしながらそう言うと、アンネッタは呆れたように眉尻を下げた。


「フィーったら……。

 馬車での移動中くらい、もう少し気を抜いていいのに」

「滅相もございません。

 私の職務はお嬢様のお世話だけでなく、安全を確保する事も含まれております」


 アンネッタは肩を竦める。


「もう、相変わらず真面目なんだから」

「お嬢様、そのように肩を…」

「今はフィーと二人きりなんだから良いじゃない。

 他に見てる人なんていないわ。

 馬車から降りたらちゃんとするから」


 今度はフィーの方が困ったように眉をハの字にした。


 馬車がゆっくりと速度を緩めていく。

 車窓から外を見れば、美しく整えられた生垣の奥に、白亜の建物群が見えていた。

 ゲームの舞台となる『ボーカイネン王立学院』だ。


 馬車は尚も速度を緩めながら、馬車止めに入った。

 御者が外の施錠を外し声掛けしてくるのを、ドアの内側でフィーは待つ。

 確かに御者の声である事、窓から姿も確認して内鍵を外し、アンネッタの鞄を持って先に外に降り立った。


 アンネッタに向けて手を差し出し、降車を補助する。

 地面に降り立ったアンネッタは、学院の真新しい制服の上にフードマントを羽織って、(そび)え立つ建物群を見上げた。


「これからここで学ぶのね」


 水色の瞳を輝かせ、アンネッタが呟いた。

 そう、アンネッタの髪色はゲームそのままの若草色だが、瞳の色はピンクではなく水色である。

 ちなみに顔つきも、我儘さを滲ませていた2年程前とは違い、とても愛らしい顔立ちになっている。


 だが…いつまでも此処(ここ)で立ち止まっている訳にはいかない。

 何故なら、もう少しするとアンネッタの婚約者であるボーカイネン王国王子『エネオット・ボーカイネン』がやってくる…かもしれないからだ。

 一応手は打ってみたが、どうなるかはわからない。




 ただのメイドに過ぎないフィーでは、婚約そのものを阻止する事は出来なかった。


 前世の芙美子としての記憶を根拠に、やんわりと王家との縁は避けた方が良いと吹き込み続けた結果、アンネッタ本人は勿論、公爵夫妻も婚約回避、拒否の方に傾いてくれたのだが、最終的には王命と言うゴリ押しをされ、抗う事が出来なかった。



 ところで、攻略対象でもある王子だが……王家側からの懇願で成った婚約である以上、王子はゲーム開始の後に一変するタイプかと思っていたのだが、その期待は直ぐに裏切られた。


 一変もなにも、端からアンネッタと交流を持とうとしていない。

 予定されている交流の為の茶会は、前もって無理と言う連絡が来れば良い方で、大抵はドタキャン。


 贈り物についても、時折思い出したように届いていたが、恐らく人任せに違いない。

 それと言うのも、添えられているカードの文面はいつも同じ。けれど筆跡が違うのだ。侍従等に適当に選ばせて、事務的に送り付けているだけなのだろう。

 どう言う考えを基にしての行動か、フィーには全く理解出来なかった。


 所謂(いわゆる)シナリオの強制力と言う奴かもしれないが、ヒロインとの邂逅前からこれでは、先が思いやられる。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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