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喚き続けているドニカを、フィーは冷めた半眼で見つめた。
(あ……めっちゃ化粧濃い…。
もしかしてやっぱりまだサイケでモザイクな顔面なのかなぁ…。
すんごい勢いで地面に突撃していたもんなぁ…それを考えるとあの厚塗りも仕方ないのかもしれない。
って言うか、厚塗りで極彩色の顔面を人間に見せられる腕が凄いわ……。
ナホミさんが手掛けたのかしら…だったら彼女の化粧術は侮れないわね)
そんなどうでも良い事を考えていると、流石に顔に出てしまっていたのか、ドニカが更に大口を開けて騒ぎ出した。
「ちゃんと聞きなさいよ!!
アンタのせいであたしは酷い目に遭ったのよ!!
謝んなさいってば!
あ~せいしんせいい…? よくわかんないけど、しっかり謝ってよね!!」
その途端、口角の塗装にヒビ割れが生じた。
「ぁ…」
フィーが思わず漏らした声に、ドニカは怪訝な顔をした。
流石に可哀想かと思い、フィーは促す様に自分の口角を無言で指差した。
「へ…?」
おずおずと言った感じで、ドニカが自分の口元に手の先を伸ばす。
そして指先が触れた途端、バッと手で口元を覆って真っ赤になった。
感触で、厚塗り化粧にヒビが入っている事にやっと気付いてくれたらしい。
彼女の場合、怒りなのか羞恥なのかわからないが、逆上していない所を見ると羞恥の方が勝っているように見える。
「ぅ……く…」
口元を真っ赤になって覆って動かないドニカの膝で、伸びていたエネオットも気が付いた様だ、
小さく呻きながら。ゆるゆると首を振り、手で額を押さえている。
だが、意識がしっかり戻ってくると、怒りの表情でフィーを睨み上げた。
「お、おのれ……よくも…。
王族にメイド風情が手をかける等許せん!!
その罪はお前の命でも足りないからなっ!!!
ハッ…そ、そうだ……アンネッタ、お前も同罪だ!!
公爵家にも責を問うから覚悟しておけ!!」
ゼーハーと肩で息をしながらそこまで言い切ったエネオットに、フィーは無表情でポケットに手を突っ込んだ。
取り出しされたのは金で縁取られた金属プレート。
それをズイッとエネオットに見せつける。
「あ”?」
プレートに刻まれている文字が少々小さいので、エネオットは半身を起こして、目を細めながら顔を近づけた。
「なんだよ…それ…」
文句を言いながらも盤面の文字を読んでいるようだ。
真っ赤だったエネオットの顔は、だんだんとその色を無くしていく。
それだけでなく表情も怒りから変化し、今は驚愕と言う単語の方が相応しい。
「な……な、な……」
言葉が続かない様子のエネオットに、石化していたドニカがやっと動き出した。
「エ、ネオット……?
ちょ、頭でも打った?」
真っ青になってプレートを指差し、ガクガクと震えるエネオットだったが、次の瞬間一気に真っ赤に戻った。
いやぁ、見ていて飽きないとはこの事だろう。
「な、何でお前!!
そんな物、俺は認めない!! 認めないからな!!
ありえないだろ…絶対嘘だろ!!??」
笑いで崩れそうになる顔を引き締め、フィーはコテリと首を傾ける。
「認めないとおっしゃいましても……。
これは先日私が賜った物でございます。
それにほら、此処に王族皆様の御名がしっかりと連名で刻まれておりますし、何より偽造でないことを示すために魔力印も押されております」
魔力印というのは文字や印章に魔力を付与し、誰がその文字を書いたか、印章を使ったかをはっきりとさせる為に付与されるモノである。
アンネッタも興味を持ったようなので、プレートをアンネッタに見せた。
そこには……。
『オファーロ公爵家メイドであるフィーに、エネオットとその側近に対し、いかなる行動言動をとろうとも、命に別状がない限り不問とし、一切の罪を問わない。
クーノ・ボーカイネン
ヨリアンナ・ボーカイネン
ネルローネ・ボーカイネン』
と言う文言が、燦然と輝いていた。
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