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目の前の騒動に、ニミーはおろおろするばかり。
ミリリカも物申すには相手が悪く、口を挟めないでいる。
アンネッタは全く気にする様子はなく、普段通りにお茶を楽しんでいた。
そんな3人を前に、無駄に声の大きな男女2名……。
「これがエネオットの婚約者なの!?」
「そう! 信じられないだろ!
こんな不愛想なのが俺の婚約者なんて!」
アンネッタとミリリカが食事をしていた四阿に、突然押し掛けてきたのはエネオットとドニカだ。
エネオットはアンネッタをビシリと指差す。
「で、こいつなんだよな?
俺のドニカを虐めたって言うのは!」
「エネオットの婚約者がそいつなら、たぶんこれから虐められる!………の、かも…?」
「『かも』ってなんだよ!? 『かも』って…」
ドニカは周囲を見回した。
「だって~…もっとド派手な色だったしぃ!
後は…あ! よくわかんないんだけど、メイドだって言われた~。
でも~あたしを虐めるのは悪役な令嬢で、悪役なメイドじゃないんだって~」
アンネッタ達の食事は済んでいて、現在は焼き菓子を摘まみながらお茶をしている所だった為、テーブルには数種類の焼き菓子が並んでいる。
そこへ乱入してきて、更に意味不明な…返事になっていない返事をするドニカは、その菓子に目が釘付けになっていて、エネオットが首を傾げているのにも気付いていなかった。
美味しそうな焼き菓子に、そ~っと手を伸ばしかけている。
自己主張の激しい2名に全く頓着していないアンネッタ以外の二人は、それに気づいたが……曲がりなりにも王子が居るこの場で、注意する事も難しい。
「……あ”?………。
メイド?
ドニカを虐めて大怪我を負わせたのはメイドなのか!?」
エネオットが『聞いてないぞ』と喚きながら、ドニカの腕を掴んで強引に自分の方を向かせた。
「あああ!
もう! 邪魔しないでよ!」
むすくれるドニカに、エネオットは眉間の皺を深くして大声で確認する。
「じゃあこの場にはいないのか!?
そっちのメイドじゃないんだな!?
……だったらどこのどいつだよ!!??」
「だ~か~らぁ~、ド派手な色の女の子だったって言ったじゃん!」
「ド派手な女って言うだけじゃわからないって……」
「えっとぉ…こうキンキラキラ~~~って感じで、蜂蜜色…みたいな?」
『蜂蜜色』と言う単語に、アンネッタが視線を揺らした。
そして、再びテーブルの上の焼き菓子に伸ばそうとしているドニカの手を、普段使う事のない扇を態々取り出して、ピシリと叩き落とす。
「ったぁぁ~~~い!!!」
ドニカは手を引っ込め、赤くなった手の甲にふぅふぅと息を吹きかけている。
「いけませんわ。
まず席を勧められてもいないのに、立ったままだなんて……マナー違反ですわ。
それに、わたくし…貴方を存じ上げません」
「はぁ!?
マナーとか、ウザ~~~い!!
これだから嫌なのよね!」
キーキー騒ぐドニカをスルーして、アンネッタはエネオットを不思議そうに見上げる。
エネオットの隣で『ちょっと聞きなさいよ!!』と喚いているドニカの事も、まるっとアウトオブ眼中だ。
「あの、殿下?
ここにお探しの方は居ないのですよね?
でしたら、何故ここに留まっていらっしゃるのでしょう?」
本当にわからないと言いたげに、アンネッタはきょとんと小首を傾げた。
エネオットは、やっと反応したアンネッタをキッと睨み付ける。
「本当に可愛げのない女だ……。
あ、それと、生徒会の仕事も忘れるなよ!」
イライラと吐き捨てるように言うエネオットに、アンネッタは目をパチパチと瞬かせた。
「あら、それは私が手を出してはいけない事だと言われましたのよ。
手を出してしまったら、殿下や皆様の成長の邪魔になってしまうのですわ。わたくしも言われて初めて気が付きましたの……。
殿下と生徒会の皆様が一丸となって乗り越えた先にこそ、成長があるのです!
ですから……わたくしは応援をさせて頂くに留めておきますわね」
アンネッタは屈託なく、フィーから言われた事をそのまま力説した。
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