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舞台はボーカイネン王国の王立学院。
季節は春、桜が咲き誇る中での入学式、この日から始まる。
ヒロインはデフォルトネームが『〇〇』となっていて、設定されていない男爵令嬢。
デフォルトネームがないと言うのも珍しいが、それはさておき……。
彼女は入学式に遅刻しそうになり、そこで攻略対象の一人である王子と、その婚約者である公爵令嬢にぶつかってしまう。
お約束過ぎて欠伸が出るような展開だが、冒頭部分なんてそんなモノだ。決して文句を言ってはいけない。
そしてぶつかられた二人の反応は対照的で、王子の方は転んでしまった男爵令嬢を案じて駆け寄るが、王子の婚約者である公爵令嬢の方は、男爵令嬢を罵り見下す。
そんな婚約者に嫌悪を露わにする王子…と言うのが開幕イベントだったのだが、少々お約束から外れる部分があった。
ヒロインは飛びぬけた才能なんて全くない、ただの男爵家の娘。
プレイヤーに馴染んで貰いやすい様に…とでも考えたのだろうが、身分も何も関係なく、見事に周囲を振り回す。
リアルとゲームを混同するなと言われればそれまでだが、少し視点を変えれば、ヒロインはマナーのなっていないお子様だ。
そんな彼女を、プレイヤーは学院での授業やモンスター討伐で育成していく。パラメータによって淑女だの聖女だのと多少の変化はあるが、最終的にはラスボスを倒して攻略対象との恋愛を成就させる……というのが骨子で、公爵令嬢は恋の障害でスパイスとなる、所謂悪役令嬢と言う|役所《やくどころ。
その悪役令嬢こそが、フィーの仕えるアンネッタ・オファーロ公爵令嬢だったのだ。
昏睡状態に陥って数日後、何とか目を覚ます事は出来たが、全身を苛む痛みは酷く、下手に動こうとすれば呻き声が漏れてしまう。
動くのを諦め、簡素なベッドに身を預けて目を閉じた。
そしてフィーは、色々と考えた結果とある決意に至る。
フィーの意思に関係なく、支度金と言う名目で金銭の授受が行われ、仲の良かった孤児仲間達に別れの言葉も言えないまま、無情に馬車へ放り込まれた。
せめて一言、それが駄目ならせめて最後に顔だけでも…と、泣いて懇願しても無駄だった。
頭では分かっていたのだ。
孤児院経営は苦しく、孤児達だけでなく、世話人達も痩せ細っていて、一刻も早くお金が欲しかったのだと……。
だから、仕方なかったのだとわかっている。
だが、感情は付いてこない。
ほんの少しの挨拶くらい、許可してくれたって良いじゃないか…と、どうしても思ってしまうが、恐らく会わせた結果、フィーがどうしてもいやだと暴れたり、最悪逃亡する等を危惧したのだろう。
感情は付いてこないが、今更何をどう言った所で無駄なのも事実。
それに、どう考えても自分は異世界転生と言うか……ゲーム世界転生とか言う奴を、望んでいなかったにも拘らず、果たしてしまったようだった。
アンネッタ・オファーロと言う名前。
若草色の、柔らかく波打つ髪。
整ってはいるが、我儘さを滲ませる顔立ち。
瞳の色はゲームと違ってピンクではなく水色だったが……。
悪役令嬢と言う立場を押し付けられた彼女は、最後には断罪される。
しかし、ゲームを進めながらフィーの前世である芙美子は思った……。
『これ、アンネッタ…悪くなくね?』と……。
そう、普通にリアルに置き換えれば、周囲を振り回して迷惑をかけまくっても気にしない、お子様暴君大魔王なヒロインの方が、どう見たって悪い。
『混ぜるな危険!!』も甚だしい事故案件である。
それに味方する攻略対象達も、頭のねじが外れているだろう。
『残念イケメン、ここに極まれり』である。
育成と言う部分が楽しくて嵌ってしまったが、ヒロイン側のキャラクターには、あまり思い入れを抱く事は出来なかった。
そんな世界に転生してしまった。
出来る事は多くはないだろう……しかし折角公爵邸に連れてこられたのだ。
給金の支給先が倒れるのは宜しくない…非常に宜しくない。
いや、最悪使用人まで含めた全員が、お頭花盛りな連中に処断されるかもしれない。
そうなれば最早対岸の火事では済まない。
更にヒロイン陣営に思い入れはなく、どちらかと言えば悪役令嬢側を哀れに思っていた。
ならば……精々足掻いてみようではないか。
芙美子だった時の記憶を生かし、悪役令嬢側に肩入れする。
そして自分を筆頭に、公爵家側の救済、もしくは回避ルートを模索するのだ。
あぁ、勿論、公爵邸に到着した早々こんな大怪我を負ってしまった事で、放り出されてしまえば、そんな決意も全くの無駄になるだろうが……。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
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誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




