表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役メイドだなんて言われましても困ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

17



 扉の事は兎も角、『隠し』だとしても攻略対象の可能性がある以上『触らぬ神に祟りなし』だ。

 フィーは少年に気付かれない程度に目を細める。


(敵認定OK。

 お嬢様と公爵家に仇為(あだな)す可能性がある限り、何処(どこ)何方(どなた)かは存じませんが……貴方は敵と考えますね)


 これ以上無駄に関わるのは利益にならないと判断し、フィーはとっとと退散の構えに移行する。


「お許し頂けたと思って宜しゅうございましょうか?

 であれば、お邪魔をするのは本意ではございませんので、これにて失礼させて頂きます」


 深々と一礼してからフィーは立ち去ろうとする。

 その様子に少年の方が慌てた。


「ちょっと待って。

 本当に怪我はないの?」


 一瞬ムッとするが、表情には出さず足を止め、振り返ってから『はい』と返事をすると、またフィーは歩き出す。


「私……ぁ、僕はセルフィ…ぃゃ、セル!

 セルって呼んで。

 次、何処(どこ)かで会えたら、驚かせたお詫びをさせて欲しい」


 どうにも胡散臭い。

 顔面偏差値トップクラスと言うだけで、フィーの頭の中には警鐘が鳴り響いているのだ。

 何より次があるとは考えにくい。


 ただ、偽名の可能性があるとは言え、名乗られた以上フィーもそれに応える必要があるだろう。

 言葉遣いや雰囲気からも育ちの良さは垣間見える為、例え敵であってもフィーの方から敵対するのは避けた方が無難だ。


「失礼しました。

 私はフィーと申します。

 ですが貴方様に詫びて頂くような事は、何もございません。

 それでは失礼致します」


 セルと名乗った少年の視線を背中に感じながら、フィーはその場を後にした。




(ったく……要注意人物が増えちゃったじゃない…)


 声には出さないままぶつくさと愚痴りつつ歩いていると、奥の方に小さな建物が見えてきた。

 フィーは歩みを止めて来た道を振り返り、それから先に見えてきた建物に顔を向け直した。


(あぁ、ぐるりと外周を通って来た感じかしらね。

 あれは何の建物かしら…)


 近づくにつれて、バシャバシャと水音がするのに気が付いた。

 例えるなら盛大に水を刎ねさせるような…そんな感じ。


 恐らく洗い場が近いのだろう。

 つまりは学院で働いている人がそこに居ると言う事で、少し話をしてみたいと考える。

 しかし、どうせ話しかけるのなら良好な関係を築く為にも、ある程度しっかり時間を取って話したいのだが、今日は時間があまりない。


 そろそろ授業が終わる頃合いなので、アンネッタの付き添いに戻らなければならないのだ。

 話しかけるのは次の機会にする事にして、今日はそっと様子を窺うに留めると決める。


 水音が煩いので、少しくらいの物音では気付かれないと思うが、念には念を入れるべきである。

 足音を忍ばせ、静かに大きな木の影に入り込む。

 そぅっと覗き見ると、そこには数人の女性達が談笑しながら洗濯に勤しんでいた。


「そうそう、なんかあの先生、最近行動が怪しいのよね~」

「あ、あたしも思ってたんだよ!

 だってさぁ、裏口から出入りするのに、何度も周囲をみるんだよ。

 こう…キョロキョロってさぁ」

「あはは。

 ありゃ絶対何かやってるねぇ」


 なるほど……学院の噂話を仕入れるにはもってこいの場所かもしれない。

 やはり早々に、此処(ここ)で働く人達とは縁を繋いだ方が良さそうだ。


 洗濯に従事している女性達の多くは、それなりに年齢を重ねた御婦人に見えるが、その中で一人だけ年若い女性が居た。

 まだ少女と言っても通りそうな見た目で、肩口で切り揃えた茶色の髪は、ふわふわと波打っていてとても柔らかそうだ。

 瞳も焦茶色で平凡だが、笑顔が可愛い。

 華やかな美貌がないのは確かだが、愛嬌はあると言った感じと言えば伝わるだろうか…。


 他の女性達の話に笑顔で相槌を打っているようだ。


「それにしたってアンタも大変だねぇ」


 洗濯する手を止めずに婦人の一人が、その少女に話しかける。

 少女の方は一瞬形容し難い表情をするが、直ぐに笑顔を貼り付けた。


「お嬢様は悪い方じゃ……。

 ちょっと元気なだけ…で…」

「あれは元気っていう範囲を超えてると思うけどねぇ」


 別の女性も口を挟んでくる。


「入学初っ端から保健室行きぃの、警備兵に囲まれぇの…って言うのは、元気とは違うと思うよ」

「……でもぉ…」


 フィーは目を眇め、更に耳を澄ます。


「どうしても働かないといけないならさぁ、職場は選ばないと」

「そうそう、ナホミちゃんはまだ若いんだし」


 彼女が探していたナホミ・バナカ男爵令嬢か……と、フィーはじっと見つめた。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ