第四話 あなたは?
『第一章シングスブライトの戦い』
【第四話 あなたは?】
「ふぅ、、、、また来たか。」
それは、何度もゴーストと向き合ってきた何者かの声だった。
「倒れたって聞いて、様子を見に来たら、やっぱりだったね。みんな行こう!」
「だいぶ世界がやられて、ボコボコじゃん!巨大化してるし!」
ここは妖精界。ノイズたちが生活する異空間。莉奈たちが一度退いた場所に、誰かがまたやってきた。
彼女たちは莉奈のマネージャーにスカウトされて、事務所に呼ばれていた。ちょうど事務所に入った時に、マネージャーが倒れたことを知った。以前は、別の事務所に所属していた3人はアイドルグループとしても活動経験があった。そんな中、事務所が倒産し、行き場を無くした彼女たちを見つけたのが莉奈たちのマネージャーだった。彼女たちにとって、マネージャーには沢山の恩があった。社長にも口をきいてくれて、入所の手続きもスムーズに完了した。彼女たちは事務所に入所はしているが、今後の話しを聞くために事務所にやってきたのだ。その時に聞いたのがマネージャーの件だった。彼女たちには過去の経験から感じている部分があった。3人で話し合い、行ってみることにした。妖精界へ。
この世界はアイドルグループの数が沢山ある。彼女たちの経験が導き出していた答えがあった。それは、アイドルグループの数だけ、ノイズが住む妖精界が存在するということ。関わった人たちの負の感情を鎮めるために選ばれたのだから、それは必然なのかもしれない。アイドルを経験してきた彼女たちは戦うことが当たり前になっていた。
「真由と霧子行くよ!」
「タク、頑張ろうねぇ~。」
「トモもいくよ~!!」
「ハル君、気を付けて、頑張ろ。」
三種三様で見事に個性がバラバラな三人だった。友美がこのチームの指示役を任されている。3人の特質を理解し、より良いタイミングで妖精には外側の影を破壊してもらい、核に向けて何度もハートプロジェクションを打ち込んで、核の場所を特定するのがこの3人のやり方だ。ゴーストに近づく前に、戦法を決めるのもこの3人の特徴である。
ゴーストは3人の人間と3匹の妖精の様子を見ている。臨戦態勢で様子を伺っている。
3匹の妖精はゴーストの周りを飛び回っている。かく乱するように飛び続けた。ゴーストは、無差別に黒いビームを打ってきた。木に穴があき山も削れ、それはもう見事までに無差別で決まったルールもない。そんな中、3匹の妖精は器用に避けていた。そして、友美はこの中で唯一、一人で使える魔法があった。それはフガードという防御魔法だった。この魔法は人間を守る為の魔法だ。妖精が戦っている間は無防備になりがちの人間側の防御を友美は習得していた。過去にもゴーストの鎮静化を経験として積んで、培った経験値で必死に考えて作り出したのである。
霧子はタクに弱体の魔法を放つように指示をした。
「ミントティー!」
タクの習得している魔法はどんなゴーストにも効く。負の感情を中和する効果があり、ゴーストの攻撃を弱体化することが出来る。癒しの効果で攻撃を弱体したのち、トモがゴーストを囲うように岩壁を作って、防壁を作る。その後、ハルのフレアで燃やすというのが定番の戦い方だった。
タクの魔法の後に、トモがいつも通り、壁を作った。しかし、作ったそばから、破壊されてしまう。巨人化しているゴーストの方がパワーが強い。再び、タクがミントティーを口にめがけて打ち込んだ。黒いビームは細くなり、弱くなったのを感じた。地面を響かせながら、壁を生成していくトモ。厚みのある壁はゴーストのビームを防いでいた。すかさず、ハルが炎魔法のフレアをゴーストに打ち込んだ。轟音と共に赤い炎の玉がゴーストにまっすぐ飛んでいった。ゴーストは攻撃のスピードに怯んでいた。
「「ハートプロジェクション!!」」
霧子と友美と真由美は、タイミングを合わせて、魔法を使った。1発目は外した。次の狙いは足にした。何度も試すように、魔法を打ち込んだ。そのたびに、ゴーストのうめき声と、ゴーストに傷をつけていく。3人の特質のお陰で痛みは抑えられている。しかし、痛みがないわけではない。何度も繰り返すたびに、心は疲弊してくるのだ。霧子は負の感情を中和する。友美は感情をそのまま受け取るが、抱える力を持つ。真由美は明かりを灯す役割を担う。この3人の役割で、初めて負の感情を抑え込み、何度もハートプロジェクションを使うことが許される。
ゴーストは何度も魔法を受けた事で核があらわになってきた。3人は核に魔法を放った。パリパリと核が割れる音がした。ひびが入り、真っ二つに割れた。その時、ゴーストがノイズへと戻り、変化する。ゴーストのいた場所には小さいノイズが複数匹地面を這っていて、もうゴーストの気配はなくなった。
「やったね!安心したらお腹すいちゃった~。早くご飯に行こうよ。」
「まったく、霧子は~。これで、大丈夫だね。」
「ハハハ、ねぇねぇ、これからどうする?」
「そうだなぁ、ここのメンバーに会いに行ってみる?」
「会うのはいつでもできるでしょ?先にご飯だからね!ねっ!」
3人は妖精界を離れ、人間界へと帰っていった。
一方、その頃。
莉奈たちはマネージャーが目覚め、ライブの事やレッスンの事も報告していた。
「早く回復してくださいよ~。待ってるんですから。」
「あぁ、もう大丈夫なんだけど、一応念のため。原因がわかってなくて。」
莉奈たちは原因が何か知っているが、特に口に出すことはしなかった。マネージャーにステージの袖で見ていてほしい事も伝え、この日の面談を終えた。さやと莉奈は病院の通路を歩いて入り口に向かっていた。その時、見知らぬ同世代の3人の女の子たちが、歩いてきていた。
(マネージャーの知り合いかな?)
莉奈はそんな事を頭で考えていた。その時、一人の女の子が少し反応したように、莉奈は感じ、声に思わず出してしまったのかとひやひやしていた。
『莉奈、あの3人も妖精連れてる。でも、僕は見たことない。何故かはわからないけど、今度マスターに聞いてみようよ。』
(ねぇ、もしかして、ゴーストがいなくなったのって、あの3人に関係してたりしない?)
『わからない。気づいたらいなくなってたから。』
『あいつらは、違う妖精界にいたやつらって事だろ?』
『ジン、何か知ってるのか?知ってるなら聞かせてくれよ。』
『リオが知らないなんて珍しぃなぁ。いいぜ、教えてやるよ。妖精界はいくつもの世界があるらしいんだ。だけど、それは、いわゆるパラレルワールドみたいなもので、基本的には妖精界から妖精界を移動できるわけではない。莉奈が活動する世界と別の誰かが活動する世界は別で交わることはほぼない。ただ、何かしらの条件が重なった時、交わりが生まれる。その時は同じ妖精界に出入りすることが出来るようになるらしいんだ。これはマスターから教えてもらったことなんだが、運命的にひかれあう人間は必ず出会い、同じ妖精界で戦う仲間になるんだってよ。本当かウソかわからないんだけどな。』
(それが、もし本当だとしたら?彼女たちは…。)
莉奈は真相を知りたくなった。彼女たちは何者なのか、どこまで妖精界の事を知っているのか、ゴーストの件も彼女たちなのか。調べるには、まずマスターに話しを聞く必要があった。




