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俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。  作者: 甘酢ニノ
第1章 彼女いない歴=年齢だけど、ツンデレが隣にいた件。

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7 恋バナ参謀、登場

翌朝、教室に入ると、佐伯が満面の笑みで近づいてきた。

嫌な予感しかしない。


「おはよう、リア充相沢くん」


「おはようの前に誤解を解け」


「黒瀬と放課後ショッピングデート、楽しかった?」


「デートじゃねぇ。買い出しだ」


「でもさ、買い出しであの空気は、ちょっと甘かったぞ?」


「誰情報!?」


「クラスの女子。偶然見かけたらしい」


 ……やっぱり、見られてたのか。

 黒瀬の耳が赤くなってたの、思い出して心臓が変なリズムを刻む。


「で? どうなんだ?」


「どうって?」


「黒瀬のこと、気になってんだろ」


「いや、別に。ただのクラスメートだし」


「ふーん。そういう“別に”って言い方、完全にフラグだぞ」


「うるさいな……」


 佐伯は椅子を逆向きに座って、腕を組んだ。

 やたら真剣な顔で言う。


「いいか、蓮。ツンデレは“ツンが強い時期”に距離を詰めるのが肝心だ」


「何を真顔で分析してんだお前は」


「恋愛も戦略だ。タイミングを逃すな」


 こいつ、恋愛アドバイザー気取りか。

 でも、妙に説得力があるのが腹立つ。



昼休み、黒瀬がプリントを配りに来た。

俺の机の前で一瞬止まり、何か言いたそうにして──結局、そっとプリントを置くだけだった。


「……ありがと」


「別に」


 そう言いながら、ほんの少し口元が柔らかくなった気がした。

 その瞬間。


「おーい黒瀬ー! 相沢のこと、どう思ってんのー!?」


 教室の後ろから、佐伯の爆弾発言。


「お前ぇぇええ!?」


 俺が振り向いた時にはもう遅い。

 黒瀬の顔が一瞬で真っ赤に染まっていた。


「な、なに言ってんのよっ!? バカじゃないの!?」


 そして、逃げるように教室を出て行った。

 残された俺と佐伯の間に、妙な沈黙。


「……お前、マジで殺されるぞ」


「だって気になったんだもん」


「俺の命の保証をしてから聞け!」


 窓の外、廊下を早足で歩いていく黒瀬の背中を見ながら、

 俺はため息をついた。


 けどその背中が、ほんの少し揺れていたのを、

 俺は見逃さなかった。


 怒ってる……けど、それだけじゃない気がした。

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