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俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。  作者: 甘酢ニノ
第4章 なんか最近、目が合うだけで心臓うるさいんですけど!?

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48 気づいてしまった瞬間に

週明けの放課後。

窓の外では、オレンジ色の夕陽がゆっくりと沈んでいく。

教室には、蓮と咲、そして黒瀬の三人だけが残っていた。


黒瀬は机に向かってプリントを整理している。

咲はその隣でノートをまとめながら、ちらりと蓮を見た。


「ねえ、蓮くん」

「ん?」

「葵のこと、どう思ってる?」


唐突な問いに、蓮は手を止めた。


「どうって……クラスメイトだし」

「ふーん」

「なんだよ、その“ふーん”」

「ううん、なんでも」


咲は微笑んだ。

けれど、その笑顔はどこか優しすぎた。


「私ね、前に言ったこと、覚えてる?」

「え?」

「“整理する”って言ったやつ」

「ああ……」


「もう、整理ついた」

咲は窓の外を見ながら言った。

夕陽の光が頬を照らし、どこか儚く見える。


「葵のこと、ちゃんと見てあげて」

「咲……」

「大丈夫。私は、もう前向いたから」


その言葉を最後に、咲は静かに笑ってカバンを持った。

「じゃあね、二人とも。また明日」


教室を出る咲の背中を見送りながら、蓮の胸の奥がきゅっと締めつけられた。


(……咲、気づいてたんだな)


黒瀬が顔を上げる。

「どうしたの?」

「いや、なんでも」


沈黙が落ちた。

窓の外の夕陽が、二人の影を長く伸ばしている。


「……なあ、黒瀬」

「なに?」

「この前の校外学習のこと、覚えてるか?」

「えっ……そ、そんな前の話、覚えてないし」


黒瀬はわざとらしく目を逸らす。

耳の先が、ほんのり赤く染まっていた。


蓮は思わず笑ってしまう。

「わかりやすいな」

「な、なにがっ」

「いや……ほんとに、変わったよな」


黒瀬が目を瞬かせる。

「なにそれ」

「前より、よく笑うようになった」


黒瀬は少しだけ黙り、そして小さくつぶやいた。

「……あんたのせいでしょ」

「え?」

「なんでもない!」


ぷいっと顔を背けるその横顔が、夕陽に照らされて眩しかった。


 


帰り道。

二人で歩く道は、どこかいつもより静かだった。


通学路の並木道を抜けたところで、黒瀬が足を止める。

「ねえ、蓮」

「ん?」

「……ありがと。いろいろ」

「いろいろって?」

「……全部」


そう言って、黒瀬は少し照れくさそうに笑った。


その笑顔を見て、蓮の胸の奥で何かが弾けた。


(ああ──俺、こいつのことが好きなんだ)


気づいた瞬間、息が詰まる。

どうして今までわからなかったんだろう。

ツンデレだの面倒くさいだの言ってきたけど、全部ひっくるめて彼女が“葵”なんだ。


蓮は、口の中でそっと言葉を転がした。

「……葵」


「え?」

「なんでもない」

「なによ、気持ち悪い」

「今、絶対“気持ち悪い”って言ったな」

「言ってない!」


顔を赤くして怒る黒瀬を見て、蓮は笑った。

その笑い声につられるように、黒瀬もふっと微笑む。


──そして、二人の距離はまた少しだけ近づいた。


 


夜。

咲はベランダで夜風を感じながら空を見上げていた。


(よかった。葵、ちゃんと笑ってる)


スマホの写真フォルダには、校外学習のときに撮った三人の写真。

咲はそれを見つめ、静かに微笑む。


「ほんと、バカだな。私も」


それでも、少しだけ胸が温かかった。

恋が終わっても、友情が残る。

そんな関係を、きっとこれからも大切にしていける気がした。


 


一方その頃、蓮はベッドの上でスマホを見ていた。

画面には黒瀬とのメッセージ。

たった一言、「おやすみ」とだけ書かれたそれに、蓮は微笑んだ。


(“おやすみ”か……なんか、それだけで十分だな)


目を閉じる。

彼女の笑顔が浮かぶ。

そして心の奥で、静かに確信した。


(俺は、黒瀬葵が好きだ)


 


──こうして、校外学習をきっかけに変わり始めた想いは、

もう、元には戻れなくなっていた。

4章まで読んでくださってありがとうございます!次章では、ついに“デレ期”が本格開花!?

よかったら、感想や★評価で応援してもらえると嬉しいです!

5章もよろしくお願いします!

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