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俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。  作者: 甘酢ニノ
第1章 彼女いない歴=年齢だけど、ツンデレが隣にいた件。

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3 秘密、バレたかもしれない

放課後の商店街。

部活もない日は、いつもまっすぐ帰る。

──はずだった。


「……ん?」


アニメショップの前で立ち止まる女子がいた。

見覚えのある黒髪、すっとした背筋。

……いやいや、まさか。


「黒瀬……!?」


ショーウィンドウに映る姿は、まぎれもなく黒瀬葵だった。

制服の上にカーディガンを羽織り、手には“ぷりん太フェア”の紙袋。


──完璧超人、終了のお知らせ。


「な、なんであんたがここにいるの!?」


「いや、こっちが聞きたいわ。黒瀬こそ……」


「違うの! これは、その……妹に頼まれて!」


「妹、いたっけ?」


「い、いないけど!」


「矛盾してるよね!?」


 真っ赤になった顔をそむけながら、黒瀬はそそくさと歩き出した。

 でも、早足のわりに、どこか動揺している。

 紙袋が揺れるたび、ぷりん太のシールがちらっと見える。


「待てって。別にバカにしたりしないって」


「うるさい! ついてこないで!」


 ……と言いつつ、なぜか同じ方向に帰ることになるのが俺たちの運命らしい。



 住宅街の角を曲がったところで、突然黒瀬が立ち止まった。

 振り返ると、少しだけ困ったような顔をしている。


「……あんた、誰にも言わないでよ。今日のこと」


「言わないって。秘密、守るから」


「ほんとに?」


「ほんとに」


「……そ、そう」


 少し安心したのか、黒瀬の肩の力が抜けた。

 その拍子に、彼女のカーディガンの袖がふわっと俺の手に触れる。


 たったそれだけで、心臓が変に跳ねた。


「……な、なに?」


「いや、なんでもない」


 黒瀬は一瞬こっちを見上げて、すぐ視線を逸らす。

 頬にかかった髪の隙間から見えた横顔が、

 いつもの無表情よりずっと、近くて柔らかく見えた。


「……へんな顔してる」


「黒瀬が急に素直だから、びっくりしてるだけ」


「べ、別に素直じゃないし!」


 そう言って、ぷいっと顔をそむける。

 でもその耳はまた、ほんのり赤い。


 帰り道の沈黙が、なぜか少し心地よかった。

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