表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。  作者: 甘酢ニノ
第2章 ツンデレが本気でムカついてると思ったら、どうやら恋らしい。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/28

19 白川、ついに仕掛ける!?

翌日。

教室の空気が、なんとなく落ち着かない。

……主に俺のせいで。


原因は、昨日のショッピングモール事件。

尾行、転倒、赤面──全部ひっくるめて、黒瀬の黒歴史更新デー。


「……昨日のこと、言いふらしたら殺すから」

「言いふらすわけないだろ」

「ほんとに? 信用していいの?」

「命を賭けても」

「じゃあ、生きて帰れるかは分からないわね」

「いや脅迫!?」


そのやり取りを聞いて、

近くの席の咲がクスクス笑っていた。


「ねぇ相沢くん、昨日はごめんね。

 あんな形で黒瀬にバレるとは思わなかったから」

「まぁ、あれは……予想外すぎたな」


咲は笑いながらも、どこか申し訳なさそうな目をしていた。

(あの目、ずるいんだよな。罪悪感を残さない笑い方するから)



昼休み。

咲が弁当を持って俺の席にやってきた。

「ねぇ相沢くん、ちょっと恋愛相談してもいい?」

「恋愛!?」

「うん。ちょっとだけ気になる人がいて」


黒瀬が前の席で、ぴくりと反応するのが見えた。


「どんな人?」

「んー……ちょっと鈍くて、でも優しくて、

 たまに見せる真剣な顔がカッコいい人」

「……それ、まさか──」

「んふふ、誰だと思う?」


わざとらしく笑って、咲は俺の目をのぞき込む。

距離が近い。

周りの女子が「え、なにあの二人?」ってざわついてる。


黒瀬はずっと黙っていた。

箸を動かす手が止まり、視線は机の一点に落ちたまま。



放課後。

黒瀬は珍しく先に帰らなかった。

帰り支度をする俺の後ろから、小さな声がした。


「……恋愛相談って、何?」

「え?」

「咲が言ってたじゃない。“気になる人がいる”って」

「いや、詳しくは言ってなかったけど……」

「でも、なんか……嬉しそうだった」


黒瀬はカバンの持ち手をぎゅっと握りしめた。

「……あんたって、そういうの、鈍すぎ」

「え?」

「だからムカつくのよ!」


教室を出ていく背中。

その小さな肩が、少し震えていた。



その日の夜。

スマホに通知。

“咲:今日はありがと! 明日また相談乗ってね♫”


短いメッセージ。

けど、それを見た瞬間、

昼間の黒瀬の表情が頭に浮かんだ。


(……笑ってなかった)


あいつがあんな顔をするなんて、

たぶん、初めて見た。


俺はスマホを伏せ、天井を見上げる。


「なぁ、咲……お前、ほんとは何を狙ってるんだ?」


だけどその“狙い”が、恋か、それとも試しか。

まだ誰も分かっていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ