再会の時
「お兄ちゃん……アマンダ様」
「ミシェルちゃん話は聞いた?」
「はい、お兄様とアマンダ様が婚約だなんて私は嬉しいですわ」
「いや、ミシェル。まだ正式には決まってないぞ」
「そうね……アマンダ様はお兄ちゃんでいいの?」
「当たり前よ。こうして逞しい殿方に嫁げるなんて夢の様ですわ。ミシェルちゃんにも話が?」
「えぇ……近衛騎士団の方の身分を上げる為の婚約ですわ。でもこの国の為です。私は受けようと思ってますわ」
「近衛騎士団?ミシェル……名前は?」
「知りませんわ」
「アマンダ様……知ってますか?」
「えぇ、しかし内緒です」
「ダミアン副団長、ちょっと急な案件の相談をと団長が」
「……アマンダ様、少し席を外しても?」
「勿論ですわ。ミシェルちゃんとお話して待ちますわ」
ダミアンは部下と共に席を後にしたのだった。
「ミシェルちゃん、パパがごめんなさいね」
「いいのですよ。これも貴族の役目ですわ。優しい人だといいのですが、私なんかでいいのかしら」
「ミシェルちゃんは可愛いわよ。私とダミアン様が守るから安心して。それよりも……いいの?」
「ん?……いいのですよ。暫く会ってないのでこれも運命なのですから」
数個離れた席に座る集団がいた。白い騎士服を纏う男達だった。
「おい。今日なのか?」
「ん……まぁな」
「どんな子かな?可愛いといいな」
「ん……別にどうでもいいし」
「暫く遊んでないだろ?勤務が終わったら娼館に行くか?」
「ん〜いいや」
ぼ〜と辺りを見回す男、ふと横に目をやると、そこにいたのはアマンダだった。
「くそっ、1番見たくない女だ」
「ん?アマンダ様か。綺麗な人じゃないか、勿体ないな」
「そうか」
「それよりさ、一緒にいる子なんだけど可愛らしいな。友達かな?紹介してくれないかな。おい話しかけてこいよ。アマンダ様の元婚約者さん」
「うるさい……一緒にいる子?ん……ウソだろ………何で今日に限っているんだよ」
「知り合い?紹介してよ。それとも既に手を出してるのかな〜」
(なんでミシェルがいるのだ……アマンダよりも見られたくない子だよ。しかし、可愛いな……)
――――同じ頃――――
(あら、シリルが来たわ。さぁ、どう出るかな)
「ミシェル、近衛兵を見た事ある?」
「ないわ。王族の近くの人達だしね」
「ちょうど、あそこにいるわ。こっそり見て」
「わぁ。素敵な制服ですわね」
「そうよね、確かに白い騎士服はいいわ。あの人達の顔は?一応、近衛騎士団は見目も良いのを揃えているからさ」
「ん〜」
――――――
「可愛い子がこっちを見たぞ」
その1人がミシェルに手を振る。
「ん?」
(ここは未来の近衛兵の妻よ。愛想良くしとくのが得策よ)
ニコリと笑い手を振るミシェルであった。
「ミシェル?」
「だって未来の夫の同僚となる方達よ、今から愛想良くしないと」
「ぷぷぷ……そうね。確かに夫の同僚だわね」
「うわっ、めっちゃ可愛い。彼女にしたい」
「向こうで話して来てもいいかな?お前も行く?」
「行きたい。お前は……もうすぐ見合い相手がくるからダメだな」
「いや……行く。その代わり、お前らは俺の名前を呼ぶなよ。あと、アマンダの元婚約者なのも無しだ」
「おぉ。見合い前なのにナンパなんて……流石だな」
(アマンダのやつ気付いてるだろうし。まあ、ミシェルの事を知るには丁度いいな)
アマンダとミシェルの元に近く近衛騎士団の男達。
「やぁ、お嬢さん達。楽しそうで。2人はお友達?」
近衛騎士の男が話かける。
「僕ね。マイクだよ。よろしくね。ねぇ、君可愛いね、お友達にならない?」
「…………アマンダ様……もしやコレは」
「ふふっ、ナンパってやつよ。ミシェルちゃん。マイク、私の大切なお友達なんだから、ちょっかいかけないで」
「はいはい、この度は、残念でしたね」
「いいのよ。代わりに素敵な婚約者が私の元に来たわ」
「………………」
「それよりも、ミシェルちゃんって言うのよ可愛いでしょ」
「うん。めちゃくちゃ可愛い」
「なぁ、シ…………師匠」
「ぶぶっ……ちょっと師匠って」
思わず吹き出す、アマンダであった。
「アマンダ様、お久しぶりですね。お元気そうで、所で婚約者が出来たと?」
「えぇ、とっても素敵な殿方よ」
「初めましてミシェルです」
「所で次の婚約者は誰?」
「まだ秘密、そのうち来るわ」
「そう……まだ……ここにいるつもり?」
(早くミシェルを連れて何処かへ行け)
「いちゃマズの?」
(これからが楽しい所なのよ。絶対にここにいるわ)
「いや〜こいつこれから……何でもないです。よければ向こうで4人でお話しませんか?可愛いミシェルちゃん?」
「あの、私も約束があるので」
「そう、残念だな」
「ミシェルちゃん、どう?近くで見る近衛騎士団は」
「はい、白の制服がお似合いですね」
アマンダはミシェルに問う。
「…………それだけ?顔がいいとか、遊んでそうとか」
「あぁ、皆様とても素敵ですわ」
「ミシェルちゃん、珍しいね。女性の多くは師匠の顔を頬を染めながら穴が開く程見るんだがね」
「…………そうなのですか。見つめたらいいのですか?師匠?」
「ふふっ、大丈夫だよ」
「ん?師匠の声は知り合いに似てますわね。それに同じ所にホクロがありますわ」
「ん?あぁ、ここ?みんな顔ばかり見るから気づく人は少ないよ」
「でも、私の知り合いは師匠の様に素敵な騎士様とは違いますわ。もっと素朴な……そう瞳の色も髪の色も…………あら同じね。きっと前世では兄弟かも知れませんわね」
「その人の事を?」
「私の片想いですわ」
「そうか……その人と想いが通じるといいな」
「もういいのです。私は貴族ですから親と国の薦める相手もと結婚しますので」
「結婚?ミシェルが……誰と?」
慌てるシリル。
「まだ、わからないですけど。私の事を気に入ってもらえたら嬉しいですわ」
「師匠が慌てるの……珍しいな」
「さあ、2人はそれぞれ約束があるのでしょう。私達は向こうに行きましょうか」
その時だった。
「アマンダ様、ミシェル、待たせたな」
「ダミアン様、お帰りなさい」
「お兄ちゃん、お仕事終わり?」
「あぁ、今日は早退だよ」
「で、お前らは?」
「お兄ちゃん……って、ミシェルちゃんのお兄ちゃんはダミアン副団長?」
「そうだが何か問題でも?」
「は……嘘だろ。熊の妹が天使だなんて」
「シスコンになるのも納得だな。たまたま声を掛けただけだ」
「それでは、私の婚約者のダミアン様。行きましょう。ミシェルちゃんはお見合いがあるから待ってて」
「お見合い……ミシェル?」
「シリル、何故お前が妹を呼び捨てにするんだ」
「シリルさま?え?」
「すまない、ミシェル……俺だよ」
撫で上げた髪を下ろし申し訳なさそうに話すシリル。
「ダミアン様には私から説明しますわ。行きましょう。ほらあんた達も行くわよ」
「え?シリルの知り合いなの?」
「どういう関係なの?」
「アマンダ様、ミシェルとシリルは知り合いなのですか」
「…………向こうで話します」
アマンダは男3人を連れ席を離れるのだった。
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