眼鏡屋と九尾の手当
スタスタ、路地を通り、木々の間を通り、一つの家にたどり着いた。
都会といえば都会だし、田舎といえば田舎。緑が生い茂るが、数分歩くと大きなショッピングモールが見えるところだ。
外見は、3階建てで、3階の屋根まである大きな木があり、その大きな葉が少しかかっていて、葉の隙間からこぼれ落ちる陽の光に照らされた三階の部屋は心地良さそうだ。
なんて考えていると、梵さんが部屋を開けた。
「こちらへ、早く来ないと閉めちゃいますよ」
と茶化すように言う。
「待ってくださいよ〜!」
中に入ると、光が差し込む部屋は、沢山の機器がありながらも、和風モダンに馴染んでいた。ガラスケースに入っているのは、どれも眼鏡が入っている。そういえば、看板に眼鏡屋と描いていた気がする・・・。掠れて見えにくかったから、そこまで自信はなかった。
キョロキョロしていると、
「そんなに見られると、少し照れてしまいますよ」
テキパキと九尾の葉っぱをすり潰しながら、言う。なので話題を変えようと模索した。
「あ、えっと、九尾はどうなんですか?」
すり潰した葉を色々な薬品を入れながら混ぜ、ガーゼに塗り、九尾に貼り付けた。
「うん、これでよし。この子はもう大丈夫だよ。」
九尾は気がついたようで、目をぱっちり開けた。ガーゼが痛々しいが、もう大丈夫そうだ。
「よかった。お前、もう大丈夫なんだな。」
と、手を出すとぺろっと舐めた。
「可愛いな〜」
「そうですね。でもこの子は野生だから、そろそろ返してあげましょう」
と、九尾を抱え、ドアに近づき、道をつくり、おろそうとする。でも、九尾は梵さんの腕から離れようとしない。
「キュ、キュー」
必死に梵さんの腕にしがみつく。
「あらあら、どうやら、気に入られてしまいましたね。」
「そう見たいですね。このまま無理に返すのもようないですよね・・・?」
「そうだね、怪我もしているし・・・しばらくは、ここにいてもいいかな」