貴方はこっち(見える)側の人なのか?
「あれれ、見えない人なのですか?大楠の爺さんが気にかけるからてっきり・・・」
だんだん小声になりながら、ぶつぶつ独り言を言っている。
それを遮って、思い切って言ってみることにした。もしかしたら、この旅の目的達成が一歩前進するかもしれないから。
「あ、あの!見えるって、いわゆる、妖怪とかお化けのことですか?ぼ、僕見えます!」
そういうと、妖美な笑顔になって、
「やっぱり、そうなんですね。大楠の爺さんが姿こそは現しませんでしたが、初めて来た人を祝福するなんて、今まで、ありませんでしたから。」
そう言うと、若葉を巻き上げながら、強めの風がビューっと吹いた。
「あはは、すみません、念には念をおきたいものですから。話がわからない人なら、困るのですよ。貴方ほどのお気に入りでも。」
そう言うと、穏やかな風がまた吹き始め、ひらひらと梵さんの手のひらに、新緑のそれも真新しい葉が落ちた。
「まあ、大楠の爺さんもお人が悪い。これでおあいこですよ。」
ポカーンと眺めていた僕に気づくと、罰が悪そうに
「すみません、見苦しいところを見せましたね。それでは行きましょう」
と、いきなり歩き出す。あまりにも優雅に歩くものだから、つい、見惚れてしまいそうになるが、聞かなければ。
「ちょ、あの、どこに行くんですか?」
次は九尾がでてくる!