おやすみなさい、良い夢を
市井の薬屋で、ひっそりと『眠り玉屋』を開業しているマールは十五歳の少女。彼女の処方する眠り玉は、一般的な眠り薬よりもよく効き、安眠を保障する。噂を聞いて顧客になってくれた女騎士ジョゼの頼みで、マールは出張販売を請け負うが、連れて行かれたのは王宮にある執政宮。そこの長である四大公爵家のひとつレスタンクールの息子エデュアールに紹介されるが、彼に正体を暴かれてしまう。マールは四大公爵家のブランシャール家の娘。第三王子の婚約者候補でもある乙女ゲームの悪役令嬢だった。これは生まれ持った魔法属性が闇だったことで忌み嫌われ、家族から疎外された少女に転生したマールが、ありのままの自分で生きられる相手と居場所を見つける物語。前後編で完結。約3万字。