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1話

キャラ名考えるときカタカナの名前をテキトーに考えるんだけど、どういう名前が男性の名前で女性の名前なのか分からないね。

異世界だからなんでもいいか。

僕は、鍛冶屋のコンコン。和名は、渾と書いてコンと読み、コンコンじゃない。

和名とは、日本名。

つまり、異世界転生のようなことをした人間ということ。


この世界では、日本語を使うことは危険だ。

使わないほうがいいかもしれない。

僕はたまに使うんだけど。


日本語は、危険な言語。

危険な理由はというと、呪印言語、悪音言語と呼ばれるように、日本語という文字印率、音色は、この世界に合っていない。


基本日本語はこの世界で使うと、危険。

呪いの言語だ。


たとえば、火を使うとき、普通の酸素と窒素の割合が保たれた場所でちゃんとした用途で使えば問題ないだろう。

しかし、水素や粉塵などが充満した場所で使えば爆発し、重大な事故を引き起こす原因となる。


それと似たような話、日本で日本語を使っても何も起きないが、この異世界で使えば、例えば、吐き気がして嘔吐したり、身体が痺れたりなどの現象が起きたりする。

この世界で日本語をどう使えば何が起こるかという知識を持っていない限り、日本語は絶対に使ってはいけない言語なのだ。


僕は元日本人だが、ここの日本語の知識は一切もっていなかった。

ここの日本語と日本の日本語は効力がまるで違うから。

まず、僕には日本での、人生、生き様のような記憶が一切残っていない。

名前が『渾』だったと言うこと以外、まるで覚えていない。

それは、日本での自分やそこにいた人間に関することだけの話で。

日本にいたころの、万人に通用していた、使われていたような知識に関する記憶はある程度残っている。

人物になると、歴史人物だろうがなんだろうが、全く思い浮かばないけど。その人物が残した知識や有名なセリフなどの記憶はあったりなかったりする。


僕には狐の耳が付いている。狐の特徴は母親の血である。

人の耳もついている。父親はそういう獣な特徴のない普通の人間である。狐の尻尾や鼻はなく、耳だけである。





鍛冶屋の一人息子として産まれた僕は、8歳の頃、興味本位で父が絶対に入るなと言っていた部屋に侵入した。


その部屋には、禍々しいオーラを放った武器や防具が色々置かれていた。


そのうちの一つに、日本語が帯びた武器があったのだ。

その武器を見た途端、蘇ったのが日本に関する知識と僕の和名だ。


そして、吐き気、めまいがした。




父は3年ほど前に病で死んだ。

母親も2年くらい前から意識がないらしい。


母親とは産まれたときと意識を失ったあと以外はほとんど会ったことがない。


母親はいつも手紙を送ってきて、僕のことを心配していた。


でも、母親は、僕を見ると僕を産んだときの苦しみがよみがえるため、僕に会えないのである。


僕が産まれたとき、僕は日本語で泣いていた。


おんぎゃーおんぎゃー

怨犧悪ー吽戯飽ー


呪呪呪呪呪ー呪呪呪呪呪ー




母は僕のせいで、生死をさまようことになる。

二度と子供を産めない身体になった。

産道を中心に腹から膝あたりにかけて、黒い模様の火傷のようなものができた。



母が僕に会うと、震えが止まらず、そのまま失神するそうだ。



2年前から意識の戻らない母の顔は、綺麗だった。

綺麗な人。僕が産まれたことは、この人を苦しめ続けた。



僕が無意識に日本語を使ったのは、産まれてから5分だけだった。


その5分で母をこんな目にあわせたのだ。




しかし、8歳以降、僕は日本語を使うのをやめなかった。



日本語とはもうひとつの母国語だ。

僕の記憶が正しければ、日本語とは本来ほとんど何の力もないただの言葉。

この異世界の公用語と何ら変わらない存在。


僕は、鍛冶バカだった。

武器、防具、刃物系統、農具、工具、その他道具。


色々なものを作る。


作るときに、魔法言語系統を使うこともある。

日本語だって、呪印言語ではあるが、ちゃんとした呪いの薄い武器も作れるはずなんだ。


作ってみたい。日本語を使って、最強の武器とか!


今の僕は17歳。性別は男。


あー、武器作りたい気分だ。


僕の父親は、平凡な武具職人だった。

特にすごい評価されたわけでもない。普通の武具職人。

武具が売れないときは、包丁などを売りにでかけていた。



僕は、父親が死んだあと、優れた武具職人としてこの町じゃそこそこ有名になっているらしい。


僕は別に父より優れているとは思わない。

父は、わざとそこまで評価はされないような絶妙に普通の武具を作っていた。


父は平凡が好きだった。なぜ、こんなに普通の武具を作るのかと聞くと、お金や名誉を手にしたからと言って、幸せとは限らない、そう言っていた。


普通の武具だからと言って、作るときの手間はあまり変わらない。工程もそこまで違わない。

それでも父は、ただただ平凡な武具を作り続けた。

父にとって平凡こそが、なによりも勝るものだった。


そして、普通の武具をこんなの普通だ、平凡だとバカにしたように言われることを父は少し、嫌っていた。

父は変わっていたのだ。



僕は、特に出し惜しみしない。


父とは違い、普通に武具を作ってきた。

だから、地元じゃ有名だ。


しかし、別に有名になりたいわけではない。

ただ、なによりも勝る武具を作ってみたいだけだ。

勝ると言うのは強さだけではない。

僕は父を越えるため、平凡過ぎる武具を作ることに必死に励んだこともある。


父は、半年に一回ほど、優れた武具、道具を作ろうとした。

平凡以外も作れるんだぞ、と息子に自慢したかったのだろうか。



僕が今旅に持ち歩く剣は、父が作ったものである。

この剣は、見た目が平凡というか、なんなら最弱感満載なのだが、血が付きっぱなしでも全然錆びないし、どんな生き物でもスッと切れる。石もまあ簡単に切れるし、腕力があれば鉄も切れるだろう。刃こぼれ全然しないし。

素材がいいと言うのもあるのだけど、父しか作れない武具だと思う。

最近気付いたのだが、特殊言語を組み込みやすく作られているので、ここに日本語を組み込んで面白おかしく最強の剣にしてみたいと少し思っている。


前の世界の日本語の知識はかなりあっても、ここでの日本語の及ぼす力などの知識はあまりなかった。

ので、僕は日本語を研究する人たちと仲良くなっている。


この国で、この異世界に及ぼす日本語に関する研究者は、3人しかいない。

この3人は、元日本人ではおそらくない。

そして、この3人は公では身分を隠している。


理由は単純で、こんな呪いの言語を研究している輩は、国家転覆を企んでいるのではないかと一部の市民や貴族が暴動を起こし、元は30人くらいいた優秀な研究者が10分の1になったので、というわけだ。



僕だってちょっとした日本語の研究者仲間みたいな者だが、3人は僕よりかなり詳しく研究をしている。


その3人から日本語の知識をパクり、前いた世界での日本語の単語の意味などをかわりに教える、提供するのである。


日本語研究者が多数殺されているのだから、もちろん僕だって迫害を受ける。

でも別にこの王国には、元日本人だから、日本の研究者だからと言う理由で死刑にしたりする国ではない。

市民や貴族が勝手に独断で行うだけで、そう言うことを行なった人たちは逮捕され、相応の罪が下される。


法律上少しは守られていても、迫害をそこそこ受けてしまうということだ。


どっかの団体に懸賞金をかけられたこともある。

日本円で言うとこの一千万円相当の懸賞金だ。


僕は優れた武具職人として有名なのと同時に、悪評高い。

僕の売りさばく武具、道具は、全て日本語などの言語で呪われていると言う噂も結構広まっている。


もちろん噂であり、そんな呪いの武器ばかり売っていない。


今の僕は、魔法言語A、Bと一部の日本語を使い、日本語に対してある程度耐性をつけて接することができる。



日本語を帯びたものを持ってこられて、処理を頼まれることもある。



あ、僕の鍛冶商店に誰か来たようだ。


「コンコンちゃん、呪われた箱がでてきたのよ!すぐに来てくれる?」


普通のおばさんだ。


「依頼料取りますよ。。」


鍛冶屋の仕事ではないな。

本職は鍛冶屋だが、呪いの対処なども僕の仕事になっている。

この国には、日本語に対処することには免許も何も用意されていないためか、勝手に対処しても法律上は微妙なのだが、黙認される。

僕が日本語で武具作っても、黙認されたり、通報されたりと色々あるが、今のところ罰則を与えられたことはない。

この王国は、日本語に関して緩いのだと思う。


呪われた箱というのは、このおばさんの知り合いのじいさんが開いた道場の敷地内に埋まっていた。

埋まったままだ。



「ここに変なオーラが出てるでしょ?箱があると思うのよ。」



昔、ここでなにかしらの箱が埋められたという文献が残っていたらしい。



とにかく皆をその場から遠ざけて、僕は魔法言語A、呪い軽減効果を塗りたくった手作りスコップを使い、箱を掘り出す。


嘔吐物をぶちまけた。ぶちまける、ぶちまける。

笑けてくるほどぶちまけた。

一昨日の朝飯までぶちまけただろう。

勘弁してほしい。それに、なんか性的に少し興奮してきた。

なんだこれ、吐き気するわ、興奮するわ、もうなにこのヤバい言語……あ、前世の母国語だった。


その箱には、「大好き♡」とだけ書かれていた。

なんと禍々しい。禍々しいぞこれ……。


僕は、「それより飯食いにいかない?」と書かれた日本語を帯びた、ほこりや砂をつかんではくはずのとこが鉄以上に硬い物質でできた、鉄草のほうきで、大好き♡をバシベシはきまくった。

大好きの文字を消したあと、「それより飯食いにいかない?」をほうきから剥がしとり、魔法言語に混ぜて溶かす。


箱を開けると、僕の写真が入っていた。


日本語の研究者3人のうちの1人は同い年の女の子である。

僕はその子に求婚を持ち込まれて、結婚したのだ。



しかし、その子は日本語を悪用した罪で、王国に捕まり、刑期はあと半年残っている。



僕は結構その子のことが好きなのだが、その子は何故か僕が嫌っているんじゃないかと不安に感じていて、何度もこういうことをしてくるのである。


悪用というのも、僕に宛てた日本語に他人が触れてしまい、火傷を負わせたというようなもの。


研究者のうちのもう1人も2つ年上の女性で、陽気な子で、僕の妻と仲良しのため、おそらくその子が妻に頼まれて、この道場に日本語の箱を埋めたのだろう。

勘弁してほしい。


「おばさん、本当におばさんですか?」


「あ、バレましたー?」



おばさんが研究者であった。


ちなみにこの偽おばさんには、日本語嫌いな団体から、10億円相当の懸賞金がかけられている。

僕の妻も同様であるため、厳重な警備のもとで収監されている。

この研究者はそれを心配し、頻繁に僕の妻に会いに行く。



「いやぁ、あの子も暇でしょ?これくらいしてあげないと」



「だから捕まったんですよ。加担したら、あなたも王国政府に捕まりますよ?」



「それは怖い、怖い」


と言いながら、とってもニコニコしている。


読んでくださりありがとうございました。

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