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その公爵様とメイドの事情  作者: ロマンスメーカー
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第68話 ハエリス公爵の失踪(2)

挿絵(By みてみん)


私はカルロス皇太子とヤン男爵を交互に見つめながら悲壮に言った。


「はい…。私がダンスをしながら、人々に睡眠毒を空気中に撒いて中毒をさせようと思います。一応睡眠毒を作る様々な薬剤が必要です。専門の踊り子の方と私の衣装と髪、化粧をしてくれる方も必要です。明日の宴会に私と踊り子の皆さんが参加できるように手を打ってくださらなければなりません」


私の話を聞いたカルロス皇太子とヤン男爵はしばらく悩んだ。


「どうしましょうか?殿下…?」


「ふぅ…。エレイン、しばらく外に出て待っていてくれる?話をしてみるよ」


「はい、分かりました。殿下」


私は会議室のドアの外に出てしばらく焦燥感でカルロス皇太子の返事を待った。

どれだけ時間が経っただろうか。かなり長い時間が経った後、会議室のドアがぱっと開いた。

ヤン男爵が中に入って来いと目を向けると、私は頷きながら会議室に入った。

会議室に入ると、心配そうなカルロス皇太子の視線が私に刺さった。

彼は気に入らないようにしばらく私を眺めていたけど、仕方なく小さく頷いた。


「ふぅ、わかった。エレイン、やってみよう!」


「はい!ありがとうございます。殿下!」


カルロス皇太子は、私の計画をあまり好んでなかったけど、何とか彼の許可を得ることができた。

私は紙とペンを持って必要な薬剤を几帳面に書いてヤン男爵に渡した。

1、2時間が経つと、ヤン男爵が一つも欠かさず必要な薬剤をすべて空輸してきた。

私はこの邸宅の広いダイニングルームで臼で薬草を取り除き、混ぜながら睡眠毒を作った。

ベテルニー山脈のように大量の毒が必要ではなく、幸いだった。

ペパーミントキャンデを食べながら睡眠毒を作っていたけど、しきりに眠気が襲ってきた。

私は気が遠くなるたびに、ペパーミントキャンデを取り出して口にくわえた。


(トントン)


ヤン男爵が慌ただしく散らかっているダイニングルームを見て回りながら口を開いた。


「エレインさん。ただいま踊り子たちが到着しました」


「はい、私も睡眠毒を作り終わりました。それでは私を踊り子たちがいるところに案内してください」


「はい…、こちらへどうぞ」


ヤン男爵に沿って階段を上ってみると、邸宅の会議室に8人の美しい女性たちが集まっていた。

彼女たちはフェルデン王国の伝統衣装でカーディガンを脱いだままだったけど、その姿は非常にいやらしいように見えた。

まるで前世の成人雑誌に出てくる扇情的な姿で、同じ女だけど、自分の目をどこに置けばいいのか分からなかった。

ヤン男爵が赤くなった顔で何度も咳払いをしながら自分の頭を掻いた。


「初めまして。私はヤレンス舞踊団長のジョエルと申します。この方がおっしゃってくれた、まさにあの方ですか?」


明るい性格にみえる茶色いくせ毛の女性が私に明るく微笑んだ。

若い頃はとても美しかったはずの40代半ばの中年女性だった。

私は面食らった表情で彼女と多くの踊り子に丁寧に挨拶を渡した。


「初めまして。私はエレインと申します」


「事情は大体聞きました。私たちにとって重要なお客様なので、今回だけ特別にお手伝いします。次にこんなことをさせたら絶対しませんからね!分かりましたか?」


「はい!分かりました。手伝ってください、ありがとうございました。 ジョエル様」


「ふむ。ところでダンスは踊ったことありますか?」


ジョエルは私を上下に見て心配そうな表情で言葉を切り出した。

私はしばらく何と話そうか悩んだ末、彼女に答えた。


「はい、子供の頃に…。少し」


「お!そうなんですか?一度できるダンスがあれば踊ってみてください!それでも最初から踊ってない人よりはましでしょうね?今楽団がないですが、私が手拍子を打ってあげます。明日のイベントにすぐ投入されるようなので、私たちがエレインさんの実力を見て合わせなければならないようです。さあ、一度やってみますか?」


「はい、やってみます!」


ジョエルはあまり期待のない表情で手をたたいて、私にリズムを合わせてくれた。

私はしばらく拍手を聞いて突然頭の中に浮かんだジャズダンスが浮かんだ。

基本的にバレエと放送ダンスを習わないと踊れないダンスだった。

子役時代、両親が私の人気のために3ヵ月間青少年を対象にプロのダンサーを養成する番組に出したことがあった。

番組後半に惜しくも脱落の苦杯を喫したけど、その時学んだ踊りをジョエルの叩いてくれた拍子に合わせて踊った。

ダンスが終わると、ジョエルとダンサーたち、そしてそばにいたヤン男爵、皆が驚いた表情で私を眺めた。


(パチパチ)


「これはどこで習ったダンスですか?本当に洗練されて新鮮です。私たちがエレインさんに学ばなければならないようですね。もし失礼でなければ…、師匠のお名前は?”


「よく分からないと思います。おそらく、人前に出るのがあまり好きではない方だったので」


「ああ…、そうなんですね」


私は彼女に前世のバラエティー番組で習いました。と、どうしても言えず、ただ渋い笑みを浮かべた。


「それでは一緒に呼吸を合わせてみましょうか?」


ヤン男爵が会議場を外に出たのを確認した後、私たちは広い会議場でお互いの踊りを見て一生懸命息を合わせた。


「こちらに一周しながら笑わなければなりません!エレインさん!もっと魅惑的に!美しく!」


「あ、はい…!」


「ダンスは動作が重要ではないんですよ?踊る人の感情が見えてこそ、美しい一つの公演を作ることができるのです」


「はい!分かりました」


私は単純に毒をまくるために公演しようと思ったけど、ジョエルは欲張ったのか、一つの美しい公演をやりたがっていた。

私は彼女の色んな要求を受け入れ、様々な身振りと表情を浮かべながら踊った。

彼女たちは優れた踊り子なので私の少し下手な動作にも上手く歩調を合わせてくれた。

何となく思いもよらない一つの美しいダンス公演がその場で作られた。

恐らく公演を見た人たちはその場でぐっすり眠るだろうけど、専門家ではない私から見てもとても美しい公演になりそうだった。

その時、会議場のドアが開かれ、私たちがどの程度準備ができたのか確認するためにカルロス皇太子とヤン男爵が入ってきた。

しかし、カルロス皇太子の顔にはまだ心配している様子がありありと見えた。

ヤン男爵は、私たちの公演を少し見たので、全く心配のない表情でカルロス皇太子に何かと耳打ちで話した。

カルロス皇太子の緑眼の中に何だか興味深い目つきが漂っているようだった。


「さあ、一度踊ってみます。エレインさん!準備できましたか?」


「はい!準備できました」


「パチパチパチ!」


楽団なしで拍手喝采だけのダンス公演が始まった。

私と踊り子たちはさっきお互いに息を合わせたとおりに美しい動作で踊った。

すべてのダンスが終わると、ヤン男爵がまるでオットセイのような拍手をしながら、私たちとカルロス皇太子を眺めながら話した。


「わぁ!エレインさん、本当にすごいですよね?本当にダンサーみたいです。そうじゃないですか?殿下?」


ヤン男爵の言葉にカルロス皇太子が熱い視線で私をじっと眺めた。


「うん、上手く…やるね。エレイン」


「まあ…、これくらいなら問題ないと思います。ハハ、殿下に下に行って続けて話しましょう。もう時間後には作戦開始なので、時間があまりないです」


ヤン男爵の言葉にカルロス皇太子が頷きながら会議場のドアを開けて出た。

私は何度もダンサーたちと呼吸を合わせ、彼女たちが用意したダンスウェアをもらってきた。

踊るたびに空気中によく広がるように、私の服と踊り子たちの服に睡眠毒をたっぷり撒いた。

そしてさっき作っていた睡眠毒の解毒剤を一生懸命作って別に準備した。

一応、私が作った睡眠毒に露出すれば、露出後、およそ1時間後から5時間以上は深い眠りに落ちるはずだった。

言葉だけ毒であって、強く眠れる成分なので起きるとすっきり眠った感じがするだろう。

私は解毒剤よりは率直に毒を作るのがもっと得意ではあるけど、人の命を奪う毒は絶対作りたくなかった。


「エレインさん。今日、ジュディオの商団に訪れるㇻピオン王子はフェルデン王国の第7部族出身の王族です。フェルデン王国の暗黒街の大物とも呼ばれます。彼は女が大好きで、彼の意に逆らう人を殺す行為を平気に思う部類です。非常に気をつけなければならない者です」


「はい、そうなんですね…。了解致しました」


「絶対に気をつけてください!」


ヤン男爵がとても心配そうな顔で私に念を押した。

私たちのそばにいたカルロス皇太子がしばらくためらって、深いため息をついた。

公演服を着た私の裸の肩に彼の視線がしばらく留まるようだった。


「本当にその服はないと思うよ。エレイン…」


「ああ…。これは公演の時に着る服なので、ちょっと派手みたいですね。私もあまりにもエッチな気がして別に聞いてみたんですが、他の公演服はないそうです」


私は両肩とへそがむき出しになったエッチな舞台衣装を見ながら、照れくさそうに笑った。

カルロス皇太子が眉間をひそめ、自分の手に持っていた薄いカーディガンを私の肩にかけてくれた。

いつ準備したのか分からないけど、彼の心遣いがとてもありがたくて明るく微笑んだ。


「気を遣って頂いてありがとうございます、殿下。宴会の1時間後から睡眠毒が広がるので、その時に入ってきたらいいと思います。どうかハエリス公爵をきちんと探してください。ぜひお願いします」


「エレイン」


「はい?」


「俺、聞きたいことがある。ハエリス公爵がそんなに好きなの?」


いきなりカルロス皇太子が、意味の分からない質問を私に投げかけた。

私はとても恥ずかしくて言いずらかったけど、カルロス皇太子の青緑色の瞳を避けずに答えた。


「はい、好きです。私の命をかけることができるほどです…」


私の答えにカルロス皇太子の顔に何か分からない苦さが一瞬にして過ぎ去ったようだった。

しばらく低くため息をついた彼が優しい目で私に口を開いた。


「分かった。ハエリスをこんなに愛しているというのに、俺がどうやってエレインを…。いや、ふう。体に気をつけてね」


「はい!殿下。ありがとうございます」


「すぐに俺たちがついて行くからあまり心配しないで…」


「はい!分かりました」


私と踊り子たちはヤン男爵が用意した馬車に乗ってジュディオ商団に出発した。

以前、多くの人の前でピアノを弾いた時よりは緊張感がなかったけど、ハエリス公爵の安全性が心配でとても不安だった。

私は両手を合わせて、私の知っている全ての神々に祈った。


⦅ハリス公爵が無事であるように助けてください…。どうか!⦆


***


ジュディオ商団の商団主のルイマンは緊張した表情を隠し、徹底的に宴会準備に拍車をかけた。

今日訪れる客はフェルデン王国の第7部族出身のㇻピオンという王子だった。

残酷な性格に優れた頭で、現フェルデン王国の隠れた実力者だった。

自分の意思に逆らう人がいれば、首を切って邸宅のドアの外に展示するのは普通で、性的趣向も格別で、彼と一夜を過ごすと、女性たちは半分は仏具になるという噂が広まっていた。

あまりにも見当のつかない人だったので、ささやかに気にすることが一つや二つではなかった。

正直、ㇻピオン王子のためにこのような宴会を開いたくなかったが、今後の商団の未来のために投資を受けなければならなかった。

ルイマンは緊張した表情を隠し、宴会場を見て回り、何か必要なものはないか鷹の目で見ていた。

その時ルイマンに彼の商団で働いている使用人一人が近づいて報告した。


「ルイマン商団主様、今日の宴会に立つ踊り子たち10チームを連れてきました。確認してみて下さい」


「ああ、行こう」


ルイマンは踊り子が集まっている商団の中央に広い演舞場に向かった。

普段は商団の武士たちが武芸を訓練する場所だったが、今日は美しい踊り子たちが演舞場の中を埋め尽くしていた。

彼は日よけの陰に座り、多くの踊り子が踊るのをじっと鑑賞した。

皆、ダンスを上手く踊っているように見えたが、数多くの宴会を楽しんだㇻピオン王子の目を引く舞踊団はいないようだった。

なぜか口の中が苦くなったルイマンの目に赤いゆらゆらの舞踊服を着て美しく踊るチームが見えた。


「おぉ!」


「どうしたんですか?商団主様!」


ルイマンの視線を一気に捕らえるある美しい踊り子が静かに踊っていた。

赤色の舞踊服を着たあの踊り子はユリのように清純に見えたが、華やかな衣装のせいでとげを抱いたバラの花のような感じもした。

踊りも蝶が空を飛ぶように美しく、彼の頭の中にまさにこの人だという感じがした。


「フフ…。今日のステージのスタートをあのチームにしよう。ㇻピオン王子様が気に入ると思うな!」


「はい、かしこまりました。ルイマン商団主様」

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