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その公爵様とメイドの事情  作者: ロマンスメーカー
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第48話 近づく危険

挿絵(By みてみん)


「はいっ!」


(パカラッパカラッ)


ハエリス公爵と暗室騎士団10人は国境を越えてリベア王国に向かっていた。

はげしく走る馬のひづめに大地の砂がぼやけた霧のように四方に散らばった。

リベア王宮南側メトリン侯爵領ペテス上段を調査していた途中、ルースセン花を育てていると推定される花卉業主ゲスティンの行方についての手がかりを見つけた。

ゲスティンは、メトリン侯爵家から提供する隠れ家に隠れていたようだったが、しつこい追跡の末、ついに尾を捕まえたのだった。


「どうどう」


ハエリス公爵が馬を止めると、暗室騎士団10人も同時に馬を止めた。

彼らが止まった場所は、メトリン侯爵領と2日距離のトルジェ男爵の領地だった。

暗室騎士団の1組組長エデンがハエリス公爵のそばに近づき、声をかけた。


「主君。ここからは私がご案内いたします。内側の人間が運営する商団は、トルジェ男爵領地外郭の小さな村にあります。私についてきてください」


ハエリス公爵と暗室騎士団はエデン騎士の案内でトルジェ男爵領地にある「ケルバン」商団というところに向かった。

一目で見ても、静かで静かな小さな村の中に、ケルバン上段はその中では規模があるように見えた。

村の中心に3階建ての建物と3、4軒の離れのできる広い庭がある規模の大きな商団だった。

商団主クーレンはハエリス公爵に丁寧に挨拶し、彼を迎えた。


「あらら、いらっしゃいましたか。若旦那」


「会えて嬉しい。クーレン」


ハエリス公爵はかすかに微笑み、彼の挨拶を受けた。

ハエリス公爵と暗室騎士団は商団の人々に話しを任せて、ケルバン商団の建物の中に入った。


「こちらへどうぞ。わが商団の中で最もセキュリティが行き届いている会議室が一つあります」


ハエリス公爵と暗室騎士団は鉄の門の会議室に案内された。

中に入ってみると、会議室には緑色の黒板が3、4枚、壁に並んで張られていた。

特別な飾りが一つもなく、がらんとした空間には広いテーブルと沢山の椅子が用意されていた。

ハエリス公爵と暗室の騎士たちは、それぞれの椅子に座って商団クーレンを眺めた。

クーレンは、これまで自分が知っていたいくつかの事実と花卉業主のゲスティンが隠れている隠れ家をハエリス公爵と暗室技師たちに詳しく説明した。


「以上です。主君」


「これまで大変苦労したな。ご苦労さま」


「いいえ。隣の部屋にリベアの商人がたくさん着る服が用意されています。着替えて甲冑と武器を私にくだされば、目立たないようにちゃんと処理します」


「わかった」


ハエリス公爵と暗室騎士団は事前の計画どおりに一般商人のように変装した。

最初から傭兵団であるかのようにすればもっと楽だったが、傭兵団は各国に事業を登録しなければならなかったので、検問所ですぐに確認することができた。

このため、もし問題が起これば、敵に身元が一つ一つ露出される危険があった。

なのでまず商人に変装し、メトリン侯爵家の検問所を無事に通過することにした。

ハエリス公爵と暗室騎士団はリベアの商人たちの服装に着替えて、ケルバンの上の広い庭に出てきた。

庭には商団主のクーレンが準備した様々な穀物を積む馬や車10台が一列に並んでいた。

ハエリス公爵と暗室の騎士たちがその車を引き、メトリン侯爵領に向かった。

メトリン侯爵領に入る検問所には、領地近衛技師が身分を確認していた。


「さあ、次」


「はい。お疲れ様です。私たちは「ケルバン商団」の商人です」


「ケルバン?あ!トルジェ男爵の領地にある規模が少しある商団だよね?」


「ハハハ。はい!そのとおりです。騎士さん、こちらがケルバン商団の事業証書です」


暗室記事のエデンがケルバン商団の事業証書を見せると、近衛記事が偽造されたものかどうかを几帳面に調べた。


「通過。さあ、次」


ハエリス公爵と暗室の騎士は幸いにも難なく検問所を通過することができた。


「主君。こちらに密かに設けられた当の臨時連絡所があります。私についてきてください」


暗室騎士団1組長のエデン騎士が、ハエリス公爵と暗室騎士団をメトリン侯爵領の外郭に密かに設けられた宿所に案内した。

彼らは宿舎に着くや否や、荷車の上に載せてある穀物袋をすべて取り除いた。

車の中にはエンブレムのない銀色の鎧や様々な武器類が積み重ねられていた。

暗室の騎士たちは車の中から自分たちの体に合うよろいや武器を探してバランスよく配分した。

ハエリス公爵と騎士たちは鎧に着替えて、今度は傭兵団のように変装した。

作戦を開始するまで時間が残っていたので、彼らは簡単に食事をし、しばらく休憩を取ることにした。

騎士のエデンは、椅子に座って休んでいるハエリス公爵に近づき、礼を尽くして言った。


「主君、すぐに仕事を始めたらいいと思います。花卉業主のゲスティンが週に1度隠れ家を離れて、ペテス商団の騎士たちと一緒にどこかへ行く日です。 ばれたらしっぽを切ってしまうかと思って、まだどこに行くのか深く追跡していません」


「よくやった。絶対追跡していることを敵に露出されてはいけない。今日、彼らがどこへ行くのか、何をするのか、必ず突き止めなければならない。そして、できれば花卉業者のゲスティンを生け捕りにしたほうがいいな」


「はい!かしこまりました。主君」


ハエリス公爵と暗室の騎士たちは、闇が訪れるまでしばらくの間「蜂蜜」のような甘い休息を取った後、次第に暗い闇が降りてくると密かに動いた。

ケルバン商団主のクーレンが教えた略図どおり、彼らは隠れ家に到着することができた。

どれくらい待ったのだろうか?ついに闇に紛れて隠れ家を離れる花卉業者のゲスティンと護衛技師を見つけた。

ゲスティンは十人ほどの武装した武士に護衛されながら、商団の馬車に乗り込んだが、周りを見回す様子は非常に慎重に見えた。

ハエリス公爵と暗室の騎士たちは足音も立てずに猛スピードで馬車の後を追いかけた。

馬に乗って移動すると場所がばれる可能性があったので、できるだけ近道で彼らを追いかけた。

およそ1時間も休まずに追いかけた末、馬車から降りるゲスティンを確認することができた。

ゲスティンと武装した武士たちが人通りの少ない野山に登っていくのが見えた。

ハエリス公爵は彼の左の指を3本伸ばして手信号を送った。

良く訓練を受けた3人の暗室技師が、ゲスティンと武装した商団護衛の武士よりも早く山を登り、上の道を塞いだ。

残りの7名の騎士はハエリス公爵と共に息を殺して彼らを追いかけた。

花卉業主のゲスティンと商団護衛武士たちがくねくねとしてて狭苦しい森の道を通って山奥に入った。

彼らの後をつけてみると、広々とした平地に建てられたドーム型のガラス温室が数十室現れた。

ついにゲスティンが直接大量にルースセンの花を育てている温室農場を見つけたのだ。

久しぶりにハエリス公爵の赤い唇が魅惑的に長く上がった。

彼は右手を上げて拳を握り、暗室の騎士団に手信号を送った。

その手信号を確認した暗室技師団は素早く奇襲攻撃を開始した。

ハエリス公爵も彼らと一緒にペテスの商団にいる騎士たちを襲った。


「うわっ!」


(キンキン)


(ブチッ!)


剣の刃がぶつかると、明かり一つない暗い山の中で、赤くて青い炎があちこちから飛び散った。

ペテスの商団の武士の実力は驚くべきことにハエリス公爵の暗室騎士団と肩を並べていた。

ハエリス公爵と暗室騎士団は内心ひどく驚きながら彼らを相手した。

一方で震えながら戦闘を見守っていた花卉業主のゲスティンがそれとなく顔色をうかがいながら素早く逃走した。

しかし、ハエリス公爵は逃げるゲスティンをあえて捕まえることなく、彼の前に立ちはだかった刀を持った武士を相手にした。


「ウヤッ!」


(キン!キン!)


2mを超える巨体の筋肉質な男が両手に持っている剣を素早く交差させ、ハエリス公爵を攻撃した。

ハエリス公爵は彼の剣を横にして筋肉質の男性を2本の剣をすばやく倒した。

武士の手から一つの剣が空の上に舞い上がり、大きな放物線を描きながら地面にすっぽり突き刺さった。


(キン!!)


「ウウウー、ブチッ」


ハエリス公爵は休む暇もなく鋭い剣を叩きつけ、筋肉質の男性の片腕を切り落とした。


(サクッ)


「ウーッ!!!」


武士の片腕が空に跳ね上がり、長い放物線を描いて地面にばたばたと落ちた。

一瞬にして片腕になった武士は赤い血を流しながら怒りを込めてハエリス公爵に飛びかかった。


「ウウウー!!」


しかし、興奮した騎士は、もはやハエリス公爵の相手にならなかった。

ハエリス公爵がサソリのように体を下に曲げて剣を素早く逃れた後、再びその反動で立ち上がり、左足でその片腕が武士の顎を強く蹴った。


(ブチッ)


片腕が武士のあごの裂ける音が暗い森の中にひやりと響いた。

巨体の男は地面に顔を突き刺されたまま、気を失って気絶した。


(キンキン!)


「ううっ」


「はぁ…、うっ」


ハエリス公爵と暗室騎士団は残りの武士たちと激しい戦いを繰り広げた。

幸い、よく訓練された暗室技師は一人も大きな怪我をせず、ペテス上段の護衛武士をうまく処理することができた。

さっきハエリス公爵が気絶させたペテス上段の無事だけが生き残ったようだった。

ハエリス公爵は気絶した騎士を殺さず、暗室の騎士団に指示してロープで縛り付けた。

しばらく息を整えたハエリス公爵と暗室騎士団はガラスの温室をゆっくり見て回った。


「主君。お察しのとおりすべてルースセンの花々です」


「そうなんだ…」


「どのように処理すべきでしょうか?」


「全部焼き払うつもりだ」


やはり予想通り大量のルースセンの花がガラスの温室の中でいっぱい育っていた。

花をすべて移すにはどうしても人員が足りないため、ハエリス公爵と暗室騎士団は花を燃やすことにした。

暗室の運転手たちが素早くガラスの温室の中にあったシャベルで土を掘り、大きな穴を作った。

彼らはすばやい手つきでガラスの温室に育っている花々の全てを拾い集めた。

深く掘った穴の中にルースセンの花と薪を入れて火をつけると赤黒い炎が燃え、すべて飲み込んだ。


(ガラガラ)


(バタバタ!)


深い暗い夜の森の空には、黒い煙がたなびいていた。


「主君!捕らえて参りました」


上の方に前もって待機していた3人の暗室騎士団が逃げて捕まった花卉業主ゲスティンをつかまえて連れてきた。

彼を見つめるハエリス公爵の2つの瞳に冷たい冷気があふれていた。


「た、助けてください。助けてください!!」


花卉業主のゲスティンが涙を流しながらひざまずいて「助けてください」と哀願した。

ハエリス公爵は涼しそうに彼を見つめながら殺気に満ちた微笑みを見せた。


「いよいよ…もう胴体を探せばいいのか?」


(パカラッパカラッ)


ハエリス公爵はたまった業務を処理するために、暗室の騎士団にゲスティンを預け、馬車に乗ってベイリオ皇国に移動していた。

迅速に問題を処理した後、再び馬に乗ってベイリオ皇居に行くつもりだった。

ハエリス公爵は自分のポケットからペパーミントキャンディーを1粒取り出して口にくわえた。

早く仕事を全部終えて待っている彼女に急いで駆け付けたかった。

ハエリス公爵の頭の中に熱い視線を向けたエレインの眼差しが浮かんだ。

深いキスをした後、大きな抵抗もなく自分の胸に抱かれていたエレインだった。

照れくさくてどうしても彼女に愛してると言えなかったが、あえて色んな言葉をを言わなくても分かった。

二人がお互いに同じ感情だということを…。

エレインの唇が甘すぎて飴のように飲み込もうとすると、つい心の準備ができていない彼女の口の中に自分の舌が入った。

驚いた表情で両目を丸くし、自分を強く押しのけていた彼女の姿がはっきりと思い浮かぶ。

実は自分も異性との口づけが初めてだったが、おそらく彼女も異性と口づけしたのが初めてのようだった。

最初は物凄く慌てふためいていたが、いつの間にか互いを行き来しながら深いキスをするようになった。

無理やりに彼女の口を開けて薬を飲ませる時とはまた違う感じだった。

下手だったが、それなりに頑張るエレインの姿がとても愛らしくて、一瞬心臓が止まりそうになった。

ハエリス公爵の口元が密かに魅惑的に上がっていった。

自分を待っているはずのエレインに駆けつけるため、彼は少しの間も目をつけずに業務に集中した。


(ヒヒーン)


その時、速く走っていた公爵家の馬車が急に道端で止まった。

誰かハエリス公爵が乗った馬車を止めたようだった。

ハエリス公爵は怪訝な表情で馬車の出入り口をじっと見つめた。


(トントン)


「入って」


(ガタン)


背が低くてすらっとしているような男がハエリス公爵に書類を一つ渡して素早く姿を消した。

書類の封筒の表を見ると、ハエリス公爵家の象徴であるワシが描かれていたが、恐らくベル執事からの急な手紙のようだった。

書類の封筒を開けてみると、中には短いメモがぽつんと入っていた。

ハエリス公爵は怪訝な表情でゆっくりとメモを読んだ。


[ハエリス公爵閣下、疑問の敵にエレインさんの素性が露出されそうです。早く処理しなければならないようです。- 執事のベルより - ]


ハエリス公爵の黒い2つの瞳はまるで地震のように速く揺れた。

彼の顔には深い闇の影が立ち込めていた。

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