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その公爵様とメイドの事情  作者: ロマンスメーカー
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第27-2話  ハエリス公爵の一日

挿絵(By みてみん)


「わははは!」


ゲリマン皇帝の気持ちよい笑い声が皇帝宮に響き渡った。


「君が黄色くなった皇后の顔を直接見るべきだったよ!ははは。とてもスカッとしたんだよな」


ベイリオ皇国の皇帝ゲリマンは笑いすぎて、しわだらけの目元に涙まで浮かんだ。

彼は絹のハンカチで自分の涙をぬぐいながらくすくす笑った。

ハエリス公爵は無表情で父親の皇帝ゲリマンの前に立っていた。


「そう、そう。実に立派だ。ハエリス。毎年皇后が演劇祭だの、音楽会だの、詩の朗読大会だの、狂ったように数万枚の金貨をばらまいてこれまで皇室の財政が非常に厳しかったんだ。今回、皇后の金の出所がなくなって何年間は身動きできなさそうだ。それがどれだけ香ばしい事か! やっぱり私の息子だ!本当によくやった!よくやったよ!ハハハ」


「恐れ入ります。陛下」


ハエリス公爵はゲリマン皇帝に俯いた。

ゲリマン皇帝は息子のハエリス公爵を大変満足げに眺めていた。


「ところで、もうそんな時期になったのか。数ヵ月後には、グレース皇子が成人式を行うことになるな。年月が過ぎるのは本当に早い…」


無表情だったハエリス公爵の顔に、皇帝に対する軽蔑の表情が一瞬浮かんではすぐに消えた。

ゲリマン皇帝は息子の感情の変化を全く考慮せず、自分の考えだけを述べるのに汲々としていた。


「ハエリス。俺が君たち2人を得るのにどれだけ苦労したか知ってるか?君の母親側のベイク家は長年ベイリオ皇国では本当に頭の痛い家門だった。ベイリオ皇帝たちは千年間、君の母方の勢力の顔色だけをうかがっていた。遠い先祖から偶然混じった「ブラックドラゴン」の血の力を信じて傲慢に振舞う姿とは…。身の程知らずにも臣下なんかが神の定めた皇帝より大きな権力を欲しがるのは有り得ないことだったな!クククッ…」


ゲリマン皇帝は、自らがとても誇らしげに意気揚々とした表情を見せた。

そして彼は、自分の言葉に続けて口を開いた。


「しかし俺は他の先皇帝たちとは違っていた!まさにお前の母の心をつかんだんだ!そして君たち2人を得た。1人でもなく、2人も!ははは。このベイリオ皇族の血筋にもついにドラゴンの血が流れる君たちができたのさ…。とても祝福すべきことだったよ。君たち二人は、我がベイリオ皇国の大きな福だ!だからもうお前も諦めろ。これはすべて我がベイリオ皇国のための事だ。ハエリス公爵!」


ゲリマン皇帝がハエリス公爵にせがむように語った。

しかし、ハエリス公爵は同意できないという意思をほのめかし、ゲリマン皇帝に口を開いた。


「皇帝陛下、グレース皇子は体が弱く、魔手の認証を受けることが難しいです。下手すると命を落とすこともあります。私一人で満足してください。私が必ず二人分の役割を果たします」


ゲリマン皇帝はハエリス公爵の言葉を全く聞いていなかった。

ハエリス公爵にただ自分の考えを述べただけだった。


「ハエリス、俺も父として息子を死地に追いやるのは胸が痛い。お前ならそうしないと思うか??しかし、皇国に「魔手」の認証を受けた皇子が一人でもいるなら、どれだけ安心できるか沢山悩んださ。我がベイリオ皇国の辺境の時も君の手柄が一番大きい。しかし、もし君が怪我をしたり死んだりしたら?もう代案がないんじゃないか?俺が殺してしまったベイク伯爵の首を付けて再び生き返らせることができる訳でもないしな。大義を考えることが、この皇帝の座における難儀であろう。俺は自分の息子のグレース皇子を信じている。きっと魔手の認証を受けられるはずだ。成人式の前にだけ受けられる魔手の認証だから、経験者として良く準備を手伝ってもらいたいものだな!」


ハエリス公爵が癇癪を起こしながら握っていた二つの拳に筋を突き立てた。

気に入る状況ではなかったが、仕方なくハエリス公爵は自分の父親であるゲリマン皇帝を見つめながら言った。


「それでは陛下、私がグレース皇子にお供させていただきます。許可を頂きたく存じます」


ハエリス公爵の言葉に、ゲリマン皇帝はしばらく悩んでいるようだった。

よくよく考えてみると、ハエリス公爵が一緒にいれば、さらに効果的だと思えてきた。


「よし!いいだろう!それでは準備期間はどのくらいかかると思うか?」


「はい。陛下、二か月以内に準備し、魔手の森へ向かいます」


「よろしい!そうするがいい。ハエリス公爵」


「恐れ入ります、皇帝陛下」


ハエリス公爵は丁重に礼を挙げ、皇帝宮を去った。

ぐっと握り締めた彼の拳から血が抜け出て、真っ白になったようだった。

彼の頭の中には、自分の弟を守ろうと中毒になったまま亡くなった母レインネ皇妃の顔が浮かんでから消えた。

ハエリス公爵は涼しげな目つきで、金で華やかに飾られた皇帝宮を睨んだ。


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