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その公爵様とメイドの事情  作者: ロマンスメーカー
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第24-1話  皇室音楽会

挿絵(By みてみん)


ジェイラル皇后がスタジオ宮殿を出ると、再び素早く皇室音楽会の準備が始まった。

私はまだぶるぶる震える両手を握った。

皇太子カルロスは驚いた表情で、両目を丸くして私に近づいてきた。

カルロス皇太子のそばにいたセレナが、濡れた私の手に自分のハンカチを握らせてくれた。


「本当に驚きましたよ。エレインちゃん!ピアノ演奏とても素晴らしいですね」


私は彼女に頭を下げて感謝の意を表した。


「そうよ、生まれて初めて聞く美しいピアノ曲でした。エレイン!どうしてこんな曲が演奏できるのか…、本当に驚きました」


「ありがとうございます。皇太子殿下…」


カルロス皇太子とセレナは、私を非常に驚いた表情で私を見ていた。

私は何故か恥ずかしくなってきて顔が赤くなったようだった。

周りを見ると、いつの間にか私を殴ろうとした少女の群れはどこかに消えた後だった。

侍女に殴られ、まだひりひりする私の頬にそっと手を当ててみた。

頬がぶくぶく膨れ上がり、ぽかぽかと熱が上がっているようだった。

私はしばらく息を整えた後、皇太子カルロスとセレナを眺めながら話した。


「カルロス皇太子殿下、セレナ様、お願いがあります。私が救恤所でグレース皇子様を救った事は、お二人以外には秘密にして欲しいのです」


カルロス皇太子の緑眼に濃い疑問が宿った。


「エレイン…?詳しい説明をしてもらえますか?」


私は彼の問いに私は首を振りながら言った。


「いいえ、申し訳ありません。説明することはできないと思います」


「ふむ…、そうですね。では、ひょっとして…、それはグレースの為のものですか?」


カルロス皇太子の質問に私はじっと頷いた。

カルロス皇太子とセレナは、お互いに向き合ってしばらく視線を交わしてから小声でうなずいた。


「分かりました。とりあえず、そうしましょう。私たちだけの秘密にしましょう。でも、その顔をなんとかしなければ」


カルロス皇太子が気の毒そうな表情で私の膨らんだ頬を見ながら言った。

セレナは私に近づき、私の膨らんだ頬をじっと見た。


「あらら、ずいぶん痛かったでしょうね。口の中が割けたりしなかったですか?」


私は努めて微笑んで心配そうな二人に向かって口を開いた。


「ああ…少しだけです。今は大丈夫だと思います」


「それでも治療は受けた方がいいと思うんだけど…。セレナ、治療をお願い」


「そうですね。治療を受けたほうがいいでしょう。私がパッと治療してあげますわ。ここでするのではなく、皆で一緒にグレース皇子様宮に行きましょう!」


セレナの言葉に私とカルロス皇太子は頷いた。

私は2人と一緒にグレース皇子宮に到着した。

書斎で本を読んでいたグレース皇子が私の顔を見ながらびっくりした表情で走ってきた。


「エレイン!これは一体何があったの?」


グレース皇子は私の膨らんでいる頬を見つめながら深刻な表情で言った。


「大したことではありません。皇子様、ご心配なく」


外で私の話を聞いてきたアンナ夫人が急いでグレース皇子宮に入ってきた。

彼女は皇太子であるカルロスとセレナに礼を述べ、深刻な表情で私の顔を見回した。

アンナ夫人が私にとても申し訳なさそうな顔をしながら口を開いた。


「先程シャーロットに話を聞いて驚きました。どうしてこんなに酷いことを…」


「一体何があったの?」


「はい、グレース皇子様。私は体が老いて、今回の皇室音楽会の準備をここにいるエレインさんが代わりに行きました。そこで悪い侍女たちがエレインさんの出自を問題視して頬を叩いたと聞きました」


やっとカルロス皇太子とセレナも事の顛末を全て知ることになり、気の毒な表情で私を見つめた。

私はなぜかきまり悪く、恥ずかしくて顔が赤く燃え上がるようだった。


「あら!本当に悪い人たちですね。こちらに座ってください。エレインちゃん、私がしっかり治療してあげますわ」


セレナはグレース皇子宮の救急箱を見つけて、頬を消毒して軟膏を塗った。


「これはあざを抑える薬なんですよ。以前はグレース皇子様がよく転んでいくつか皇子宮に持ってきていたのですが、幸い使うようになりましたね」


セレナは、私の頬に軟膏を塗ってやる途中、思わず強く押した。


「あっ!」


「あら、ごめんなさい。私も知らずに力が入ってしまったようですわ」


「いいえ、大丈夫です…」


「この軟膏は、エレインちゃんが作ったものと同じくらい効果がいいんですよ。1日に3回、傷部位に塗ればいいと思いますわ」


「はい、ありがとうございます。セレナ様」


グレース皇太子とカルロス皇太子は、私がセレナのそばで治療を受けるのをじっと見ていた。

とても悔しかったのか、グレース皇子がとても不愉快そうな表情で自分の拳をギュッと握った。


「エレイン!僕が絶対侍女たちを懲らしめてやるよ!心配しないで。け、結構疲れてるよね?今日はもう帰って休んだ方がいいよ」


「そうですね。3日後にピアノ演奏をする事にもなったし、ゆっくり休んでください。休まないと、あざはすぐに取れませんわ」


セレナの言葉にグレース皇子はとても驚いた様子で私を聞き返した。


「これはまたどういうこと?エレインがピアノを弾くとか??」


「あ…それが…、何となくそうなってしまいましたね」


私はとても気まずそうに微笑んだ。

今日一日とても疲れてくたびれていて、気になっているグレース皇子に簡単に説明した。

治療を終えた私は、グレース皇子宮に集まっている人たち全員に挨拶をして、ようやく自分の部屋に戻ってくることができた。

緊張がいっぺんに解けたのか、部屋に帰って来るなり、うつらうつらと深い眠りに落ちた。



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