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その公爵様とメイドの事情  作者: ロマンスメーカー
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第18-1話  グレース皇子宮での生活

挿絵(By みてみん)


(ちゅんちゅん)


「ううん…」


私は早朝から鳥のさえずりを聞きながら、夢うつつの眠りから覚めた。

ここは、昨日割り当てられたグレース皇子宮の片隅に用意された宿所だった。

皇子の保母は本来、準貴族の身分以上しかできなかったため、メイドの宿舎とは別に設けられていた。

この階には、これから一緒に仕事をする女中長のアンナ夫人とグレース皇子の侍従を持つ首席メイドのシャーロットが一緒に部屋にいた。

ハエリス公爵家のメイドとして働いていた時より良い点が一つあって、それは宿舎が前世のワンルームのように部屋中にトイレとシャワールームが一緒に備えてあるということだ。

メイド宿舎はすべてが共用だったけど、宿舎が変わると私の生活の質はかなり向上した気がした。

私はとぼとぼ歩きながら大きく伸びをして、シャワーを浴び始めた。

ハエリス公爵邸にも上下水施設がありシャワーはできたけど、皇居の上下水施設はハエリス公爵家よりも高級感があった。

水栓一つにも金が塗られ、皇室の伝統的な高級文様が施されていた。


(サァァァ)


シャワー機から水があふれ出て、冷たい水が私の体へとあふれ出た。

上下水施設は整っているけど、この世界ではまだ技術が発達しておらず、ボイラーはなかった。

そのため、シャワー機からは冷たい水だけが流れ出ていた。

もしお湯を使いたければ熱いお湯を別に持ってこなければならなかった。

高い貴族達はいつでも温かいお湯を使うことができたけど、一般の人は高価な焚き物を使うことができなかった。

そのため、この世界に来てから冷たいシャワーにはもう凄く慣れてきていた。

夜明けから冷水シャワーを浴びると、私は全身がぞくぞくしてきた。

私は普段寒がりなので、あらかじめ用意した大きなタオルで巻いて、体を包んでシャワー室の外に出た。

それでもあまりに寒くて、ベッドの上に置いてあるふとんを抱えてしばらく座っていた。


「うぅ…、寒い」


ある程度体が温まってきたら、私は濡れた髪をしばらくタオルで叩きながら乾かした。

髪の水気がほとんど乾いているようだったので、自分の部屋の箪笥に足を運んだ。

ロングハンガーには様々な種類の婦人服が掛かっていたけど、一つ一つ取り出して、私の体に当ててみた。

私の体のサイズをどうやって分かったか分からないけど、服はある程度私にぴったり合いそうだった。

これらの服はすべてグレース皇子宮から提供された服だったけど、布地を触ってみると質感がかなりよく、高級にそうだった。

私は色んな服の中から、フリルの入った白いシャツとひざ丈の淡黄色の端正なスカートを出して履いた。

そして、シャツとセットの黄色いカボチャのリボンブローチを胸につけた。

最後に私の長い髪を丸く一つに丸めて上げたら、かなり皇子の保母のような形になった。


(コンコン、コンコン)


「あ!はい!」


ドアを開けて出て行くと、私の隣の部屋にいるメイドのシャーロットがにっこりと笑いながら挨拶をした。


「こんにちは。保母さん! おやすみになれましたか?」


「はい、おはようございます。シャーロットさん」


「皇居生活は初めてのような気がしまして。私と一緒に食事に行きませんか?」


親切なメイドであるシャーロットの言葉に、私はにっこりと笑い、彼女を見つめながら彼女に返事した。


「はい!気遣ってくれてありがとうございます!」


数日ですぐに、私はグレース皇子の保母の仕事に慣れることができた。

早朝に起きて準備を終えた後、皇居使用人の食堂で食事をした。

そしてメイドのシャーロットに暖かい洗顔用のお湯をもらってきて、グレース皇子が起きるのをドアの外で待っていた。

グレース皇子が起きて洗顔をすると、私は皇子宮下女官のアンナ夫人が先に選んでおいたグレース皇子の服をドレスルームから持ってきて置いたら終わりだった。

前世での秘書のように食事の時間、散歩の時間、訪問家庭教師が来る時間だけ予め皇子に時間を知らせて、たまにお客さんが来る時は簡単なお茶とお茶菓子ぐらい用意するのが私の役目だった。

仕事をして数日も経っていないのでよく分からないけど、まだ皇太子宮にはカルロス皇太子しか訪れる人がいなかった。

私はまもなく成人を控えた皇子の保母として、私がどんな仕事をすることになるのか心配が多かった。

しかし、そのような心配は杞憂だったようで、今は特に大してやることがないというのがもっと心配だった。

給料は週給で1週間に金貨3枚、5週で金貨15枚。本当に開いた口がふさがらない金額だった。

さらに良いのは、週給と月給でそれぞれ希望する方法で精算を受けることができたが、私は週給を選択した。

その方ががもっと働く気になるからだ。

もう1回の週給精算を受けた私は、懐が潤い気持ちが良かった。

グレース皇子が成人式を終えた後には私はすぐに皇子の保母の仕事をやめなければならなくなるけど、その時まででも最善を尽くすと念を押した。


「ふあー…」


「よくお休みになれましたか。グレース皇子様?」


「うん。おはよう。エレイン…」


私はお湯の入ったたらいを、グレース皇子の寝室の簡易棚の前に注意深くあげて置いた。

寝ぼけて夢うつつに歩いてきたグレース皇子は、顔に適当に水だけつける猫のような洗顔をした。

あまりにも適当に洗ってるようだったから、私はあらかじめ用意しておいた綿のタオルにお湯をつけて、グレース皇子の顔を丁寧に拭いた。

私のそばにいた女中のアンナ夫人は、まだ眠っているグレース皇子を椅子に引き寄せてよく座らせた。

彼女は芝生の草人形のようにボサボサのグレース皇子の髪をよくとかして、綺麗にポマードスタイルにしてくれた。

私はドレスルームから今日着るグレース皇子の服を取り出して彼のそばに立った。

彼は私が渡した服を受け取り、部屋にある日よけ幕の中に自分で服を着て出てきた。

適当に着こなしてばかりいたので、乱れた彼の身なりに気を配って、もう一度几帳面に着こなした。

朝の装いを全て終えると、グレース皇子は横から見ても上から見ても誰から見ても高貴な顔に見えた。

グレース皇子を見て、ハエリス公爵の子ども時代もこんな姿だったのかな?とふと気になってきた。

ハエリス公爵の子供時代を想像すると、いつの間にか私の口元には微笑が浮かんだようだった。

私は今日の日程表を頭の中でじっくり整理した後、グレース皇子に話した。


「グレース皇子様。これから朝食を食べに行く時間です。今日の食事は薔薇宮に行ってください」


昨日女中長のアンナ夫人からのスケジュール表通りにグレース皇子に報告した。


「はあ、本当?今日があの日だったの?なんで一ヶ月はこんなにすぐ過ぎるんだろうね?本当に行きたくない」


月に1度はまだ禁軍と爵位を受けることができず、宮中にいる皇子たちが皇帝や皇后、皇太子とともに朝食をとる日だという。

グレース皇子は本当に行きたくなさそうに顔をしかめた。

私は頬がふっくらと膨れているグレース皇子の身なりをもう一度丁寧に手入れしてあげながら言った。


「グレース皇子様、避けられないのなら楽しめ!こんな言葉もあるんですよ!」


「え?それはどういう意味なの?エレイン?」


「どうせ行かないわけにはいかないから。楽しむ気持ちで難しいことに向き合おうという意味です…」


私はアンナ夫人が後片付けをしている間に、こっそりとグレース皇子のベストの中に小さなチョコレートをいくつか入れてあげた。

グレース皇子の黒真珠のような2つの瞳がキラキラ輝いていた。

私がシッと目で合図すると、グレースはうなずいて明るく微笑んだ。

皇子宮で彼と数日間一緒に過ごしているうちに知り合ったが、グレース皇子は甘い物が大好きだった。

それで彼をなだめる時には、このような甘いものが最高だった。


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