第8-2話 愛は自ら勝ち取るもの! ロマンチックな言葉だな!
私は再び兵舎の中に戻ることは思いもよらず、周囲を徘徊していた時、救恤活動中のセレナに会うことができた。
彼女は全身に汗をびっしょりかきながら頑張って救助活動をしていた。
背後から自分をじっと見ていることに気づいたのかセレナが治療を素早く終え、明るく微笑みながら私のそばに歩いてきた。
セレナの白いガウンは血まみれになっていたけど、彼女はこの世の誰よりも美しく見えた。
「エレインちゃん!今まで患者の世話で忙しくて会いに行けなかったんですよ。救恤所に着いたという話はお聞きましたけどね。こうやって救恤所まで来てくれて本当にありがとうございます。」
「そんなことないですよ、何か私にできることはありますか?」
「ふっ、やることは多いでしょう!私のことちょっと手伝ってくれますか?エレイン?」
「はい!何でも言ってください!セレナ様」
セレナは、救恤所のあちこちで親切に教えながら、私にすべきことを教えてくれた。
彼女は救恤所のベッドに横になっている患者に温かい慰めの言葉をかけながら、膿で汚れた包帯を新しい包帯に取り替えた。
頑張って救恤の奉仕をしているセレナを見つめていた私は自然と出てくる微笑みを隠せなかった。
((そう、こんな女性手に入れたくて、気が揉めるのは当たり前だよ!))
私から見ても彼女は救恤所のナイチンゲールのような天使のようだった。
ハエリス公爵とカルロス皇太子の中で誰がセレナを迎えるのか分からないけど、どちらにせよ迎えた方はとても幸せだろう。
元々は私が初めて小説を書いた時から私の心は、ハエリス公爵とセレナの愛が叶うことを願う方だった。
男性主人公であるハエリス公爵の不幸な人生をセレナが救ってくれることを望んだためだった。
しかし、さっきカルロス皇太子の切ない瞳で攻撃を受けてからは、私の心はもうボロボロになっているように感じられた。
ハエリス公爵とカルロス皇太子、皆私が大好きなキャラクターだったからもう私は誰の味方もできなくなっていた。
その時の私の思いを悟らせるセレナの差し迫った声が聞こえた。
「こちらで包帯を掴んでくれますか?エレインちゃん?」
「はい、セレナ様!こうすればいいですか?」
「そう、合ってますわ。こちらの包帯をもっと強く掴んでくださいね」
「はい!」
「あの…、この支柱が揺れないようにもっとぎゅっと締めてくれますか??」
「はい、わかりました」
「うわぁっ!」
足を骨折した男性は冷や汗をたらたら流しながらひどく苦しんでいた。
彼はあまりの痛みのせいか、涙がとめどなく両目から流れ落ちた。
「少しの辛抱です。頑張ってください!!」
セレナは上手に彼の折れた足の骨を正常な位置に戻した。男性は大きな悲鳴をあげ、気絶しそうに全身をバタバタさせた。
「ウアアアッ!」
やっと男の足骨を合わせ終わったセレナが、汗まみれの彼女の額を手の甲でふいた。
私は彼女に自分で直接作ったバーセルボンの軟膏を手渡した。
「セレナ様。これは私が作った軟膏です。バルカルン医員もこの軟膏を使用することを承諾してくださいました。再生の効果があるので、こういう折れた骨にいいんですよ。」
「ああ! 本当にありがとう。エレイン!」
私は返事の代わりに、彼女に暖かい笑みを投げかけた。
そして心の中で献身的な彼女に何度も感心し、もっと頑張ってセレナの手助けをした。
彼女と私は何十個もの兵舎を回りながら負傷者の手当てをした。
大体はヘイリオ皇国の皇室救恤所がオープンするという噂を聞いて、数十日かけて遠くから救恤所を訪れた患者たちだった。
大抵の患者の病状は軽くない重症の患者だったため、治療するのは簡単ではなかった。
それまでも救恤所に訪れた子供たちは比較的軽い皮膚病が多かったけど、幸いにも私の軟膏で治療の効果があった。
この時代にはこのような皮膚病でも感染がひどくなったら死ぬこともあった。
幸い、私の軟膏は抗生剤の成分が入った軟膏だっただめ、子供たちに效果が直ちに現われるようだった。
体中に吹き出物ができ、ひどく搔いた傷跡にも軟膏を塗ると、たった数時間でも次第に滑らかになるのが見えた。
セレナは私の軟膏の効能を見て非常に驚いた目つきで私を見た。
「この軟膏、非常に効果が高いですね!本当エレイン、すごいですわ!!」
「ち、違います…。大したことないですよ」
彼女の褒め言葉に私は訳もなく照れくさくて身の置き所がなかった。
救恤の現場で直接奉仕をしてみると、一日中ばたばたして体がとても大変だった。
しかし、胸がいっぱいになるような気がして、後で機会があれば、セレナのようにこのような救恤ボランティア活動をしてもいいかなと思った。
いつの間にかベイリオ皇室救恤所に真っ暗な夜が訪れた。