真実を頑なに認めないひとに、どう対応したらいいのかわからない
ごきげんよう。弓良 十矢です。
今回はちょっと苦慮していることについて、ご意見を伺いたく筆を執った所存です。
皆さん、梅干しって食べたことありますでしょうか?
多くの日本在住のかたが食べたことがあるかと思います。
すっぱくて、塩からくて、ご飯がすすむあれ。おにぎりの具になるあれ。鶏むね肉と一緒に大葉で巻いて揚げたらおいしいあれ。
ところでうちでは梅を毎年漬けます。
わたしが梅干しよりも梅漬け、なかでも白梅が好きなので、最近はあまり土用干ししないのですが、昔は100%梅干しにしていました。
簡単な区分は、
梅の実をお塩に漬けたもの=白梅漬け。
梅の実をお塩に漬けたものを土用に干したもの=白梅干し。
梅の実をお塩に漬けたものにあく抜きした紫蘇を加えたもの=梅漬け。
梅漬けを土用に干したもの=梅干し。
みたいな感じです。
うちには梅の木があり、なった実はほぼすべてお塩で漬けます。傷が多いものは、完熟なら傷部分をとりのぞいてお塩をつけて食べるか、お砂糖で煮て甘いジャムにするか、砂糖漬けにしてシロップにするか。まだ青いなら、青梅煮にするか。
そんなふうに、とれたものは成る丈余さず、食べられるように加工します。
で、です。
そんなふうにしていると当然、お弁当などに梅漬けや梅干しをつかうのです。
それを外で食べれば、同席したかたから「いい香りねえ」と誉めてもらうこともしばしば。となると、こちらは調子にのって、幾らかさしあげましょうか、という話に。
壜を煮沸消毒して幾らか詰め、さしあげると、大変喜ばれます。それはいいのです。
が。
そういうかたは律義というか、かならず後から「おいしかったよ」「ご飯にのせて食べたよ」というようにご報告くださるのですが、判で押したようにおっしゃるんです。
「紫蘇の香りがすごくよかった」と。
皆さん、梅酒って呑んだことありますでしょうか。
呑んだことあるよというかた。梅干しに似た香りがしませんでしたか?
青じそドレッシングでサラダを食べたことがあるかた、いらっしゃるでしょうか。
食べたことがあるかた、あの香りって梅干しとは違いますよね?
そうなんです。
梅干しの香りって、紫蘇の香りではないんです。
正確には、「紫蘇のみの香りではない」、ですかね。
当然ですが、梅の実の香りが含まれています。というか、ほぼそれです。
このエッセイを書くにあたって、白梅漬けと梅漬けとを比べてみましたが、絶大な違いはありませんでした。かすかに違いは感じましたから、それが紫蘇の部分です。
ほんとに少しの差です。
梅シロップ、梅ジャムなども、梅干しに似た香りがするのですが、そちらには紫蘇はいれません。
梅肉エキスや梅酒も、紫蘇をいれずにつくるのですが、香りは梅干しの系統……という感じ。塩気のある・なしの差です。
ショックをうけたかたがいたらごめんなさい。
でもあれは、梅の香りなんです。
なので勿論、説明します。「梅の香りですよ」と。
ところが、何故か、それは受け容れられません。
冗談でもいったような空気になって終わるのです。
もしかして、梅干しの匂いを紫蘇の香りだと思い込むあまりに、「それ、梅の香りですよ」という言葉が耳にはいらなくなっているんでしょうか。
それとも、決して認められない事実を前にして、心の防衛機能が働き、冗談だと断じているんでしょうか。
でもあれは、梅の実の香りなんです。
今から梅雨にかけて、庭には梅の、甘くて爽やかな香りがたちこめています。その香りを閉じ込めたのが、梅干しであり、梅漬けであり、梅酒であり、青梅煮であり、梅シロップであり、梅ジャムなんです。
皆さんだけでもこの事実を知って下さい。
出来れば、頑なに事実を認めようとしないかた達にどうやったら話が通じるか、教えてください。
あのひと達にもわかってほしいんです。
わたしがしているのは余計なことなんでしょうか?