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廃棄姫

廃棄姫はなぜか今日も忙しい

作者: 屋津摩崎

 


 この国のお姫様の顔には大きな傷がある。



 この国の王女メリルを美醜で語れば、間違いなく醜い分類に入るのだろう。なぜなら顔に消える事のない大きな傷跡があるからだ。それは例え王家の人間だからと言っても覆せない悲しい事実だった。


 傷の原因は誰のせいでもなくメリル本人のせいだ。

 幼い頃、大きな木に子猫が降りられなくなって鳴いていたのを見つけた。心優しいメリルは自分の手で子猫を助けてあげようと木に登った。上手く木に登って子猫を救出したまでは良かったがバランスを崩して転落、運悪く尖った枝が頬を切り裂き、さらに高い場所から落ちて頭を打って意識を失ってしまった。

 そして数日後に目が覚めた時、周囲の喜びと心配のお叱りをメリルは今でも覚えている。命は無事であったが、メリルの顔にはどうしても消えることのない大きな傷跡が残ってしまった。

 その後、メリルは鏡で自分の顔を見るたびに悲しくて涙が溢れてくる、いつ見ても自分は醜い傷のある顔のままだった。それにより常に顔を隠すようになり、誰とも接しようとせずに、心を塞ぎ込ませる事となった。


「引き篭もりの王女は醜い顔だから出てこないらしいわ」

「いつも顔を隠していて誰とも会おうとしないらしいぞ」

「王女様なのになぁ」


 周囲の言葉は嫌でも耳に入ってくる、心無い噂話はメリルの心を更に傷つけた、


「メリルをどうしましょう?」

「外に出すしかないのでは?」

「いや、外に出す訳にはいかない。何も悪い事をした訳ではないし」

「なら奥の院で隠遁生活をさせるのは?」


 実の父である国王や実の母である第二王妃、実の兄の第二王子や異母兄弟、異母姉妹みんなの声が聞こえてくる。


「私はお父様、お母様の意思に従います。私が社交界に出れば皆様に恥をかかせるだけ、表にも外にも出れないのなら奥の院にて静かに暮らしたく思います」

 メリルは自らの意思を初めて口にした、それは諦めのようなものであった。

 結局は自分ではどうする事も出来ず廃棄されるしかないのは分かっていた。王家の恥となるので平民になる事は許されないし、醜い自分と婚姻してくれる男性もいない。それなら雑音の聞こえない場所で静かに暮らしたい。この選択が全てから逃る行為だという事は分かっていた、それでもこれがメリルの選べる唯一の選択肢だった。

「そうか・・・王領の奥にある屋敷をメリルに譲渡しよう。そこで静かに暮らしなさい」

 王である父は複雑そうな表情でメリルに言葉をかけた、こうしてこの国の6人いる王子のうち第4子の王女メリルは廃棄され、その名前は王家よりひっそりと消える事となった。




 王城の裏手に広がる王族占有の領域に奥の院はある、ここは歴代の国王夫妻が晩年を過ごす場所だ。



「これは・・・酷い有り様だわ」

 廃棄となった私は草が生い茂り荒れた庭園のある簡素な屋敷の前に立ち途方に暮れていた。

「こんなのって、あんまりです!」

 唯一私に付き従ってくれた従女のハーナが憤りを見せる。

「悲嘆していても仕方ないわ。取り敢えず中に入りましょう」

 ハーナを促して屋敷の中に入る。かなり古い建物で何年も手入れがされていないのが一目で分かる。

「酷い・・・」

「取り敢えずは片付けからやりましょう」

 呆然とするハーナを尻目に屋敷の窓を全て開ける、心地よい風が吹き抜けてくる。

「いい風、静かだし、私が一人で住むには十分すぎる」

 ハーナは怒っていたけど、実は私はここが思ったより悪くないと思っていた。


 私が将来的に廃棄されるのは誰もが予想していたし、自分でも分かっていた。だから服も一人で着れるように練習したし、一人でご飯を食べる事にも慣れている。問題は生活に準じた行動が身についていない事だ、これは私に付いて来てくれたハーナから少しずつだが教わるしかない。

「まずは掃除ね」

 腕まくりをして用具倉庫へ向かう、やった事がないけどハーナに教わりながらやるしかない。ハーナにずっと私の世話をお願いする訳にはいかないから何とか独り立ちしなくては。

「姫様!そのような事は私がします」

 ハーナに手にした道具を取り上げられるてしまう。

「それにこれは熊手と言って庭園の枯れ葉などを掻き集める掃除道具です。屋内では使いません!」

 お、怒られてしまった。お父様にも怒られた事ないのに!?

「ハーナ・・・私はもう姫ではありません、名前のメリルと呼んで。それにこれからは自分で何とかしないとダメだと思うの、どうか私に色々と教えて下さい」

「ちょ、私のような者に頭を下げないで下さい!このような理不尽な事は許されませんよ断固として抗議して来ます!!」

 ハーナが顔を真っ赤にして怒り出す、それを何とかなだめて掃除の仕方を教わる事にする。


「明日は庭の手入れをしましょう」

 モップと呼ばれる道具を使って掃除をしながら呟く。嫌でも窓から見える荒れた庭園が目に入ってしまう。

「それなら庭師を手配いたします」

 ハーナの提案に私は首を横に振る。

「やるのは私です。廃棄された以上は無駄に国費を使う訳にはいきません、これからは自分で出来るようにならないと」

 無気力だった頃の私とは違う。今の私は王女ではないので人の目を気にしなくて良い、ハーナしかいないので顔を隠さなくても良いので全てから解放された気分だ。

「これから料理もやるから教えてね、覚える事が沢山だわ!頑張らなくちゃ!!」

 私の言葉にハーナは呆気に取られているようだ、だがすぐに笑顔になる。

「・・・姫様のこのような笑顔は初めて見ました」

 何度も言うが顔を隠さなくて良いので全てから解き放たれた気分なのだ。

「ダメよ、ちゃんとメリルと呼んで」

 何度も名前で呼んで欲しいとお願いするが、どうあっても難しいようだ。


 その日から私の独り立ち訓練が始まった。

 王宮でぬくぬく育って来た私は日常の暮らしとは程遠い生活を送ってきた事を思い知る。一般的な生活とは洗濯や掃除など全てをこなさなくてはならない、本当に覚える事が一杯だ。

 自分のダメさに落ち込んでしまう、でも気落ちしている暇はない、逆にやる事が多くて充実している気分だ。今までの陰鬱な日々が嘘のようだ。


 1ヶ月ほど経っただろうか?ようやく新しい生活にも慣れてきた。

 ハーナから生活の手ほどきを受けて少しは自分で出来るようになった、1番辛いのは洗濯だけど何とかやれるし、料理はやってみると意外と面白い、掃除は面倒臭いけどやらないとすぐに汚れる。当然の事なのに知らない事だらけだ。



「メリル様、お客様です」

 ハーナが最近になってようやく名前で呼んでくれるようになった。それはとても嬉しい事なのだが、私としては王宮に戻って本来の仕事に復帰して欲しい。だが、なぜかずっと私の側にいてくれる。あまり邪険には出来ないので気の済むまで居てもらおうとは思っているけど。

「あら?今日は誰かしら?」

 昨日は執事長が来てくれた、今日は誰だろう?ハーナが連れて来たのは王宮のメイド長だ。

「お久しぶりです姫様」

 メイド長らしく丁寧な挨拶をされる。私が王宮にいた時はほとんど会う機会がなかったのに何故かわざわざ会いに来てくれた。

「酷い待遇とハーナから聞いていましたが、ここまでとは」

 憤った様子で屋敷の中を見渡す。

「ふふふ、昨日は執事長が来てくれたけど同じ事を言ってたわ。だけど私としては全然問題ないので大丈夫よ」

 笑顔で応えるとメイド長は驚いた表情をしている。

「そうだ、庭園で自生していたハーブがあったので乾燥させてお茶にしてみたの、せっかくだから味見して」

 急いで台所に行くと慌ててメイド長が付いてきた。

「いけません、姫様にそのような事をさせる訳には」

「何を言うの?私はすでに王女ではないわ、ほらこのパンだってハーナに手伝ってもらいながらだけど私が作ったのよ」

 ハーナに教えてもらいながら作ったパンを見せるとメイド長は戸惑う。

「ハーナが一生懸命教えてくれるの、料理もお菓子作りも掃除も洗濯も整理整頓もね、もし許されるなら褒賞をあげて欲しいわ」

 更なる戸惑いを見せるメイド長、するとハーナが手招きしてメイド長を呼び何かコソコソと話をしている。不思議に思うがお湯が沸いたのでお手製ハーブティーを淹れて持っていく。メイド長はそれを一口飲んで物凄く褒めてくれるので嬉しくてつい顔が綻んでしまった。



「メリル!何をしているんだ!!」

 後日、脚立に乗って庭木の剪定をしていると外から大きな声がする。

「え!?お兄様!?」

 今度の来客は私の実の兄で第二王子のバレス兄様だ。今日中に剪定をやりたかったのだが手を止める。

「どうされたのですか?」

「いや、何をやっているんだ!!」

 何に怒っているんだ?

「えっと、伸び過ぎた庭木の枝を切ろうとしてました」

 枝切りバサミを持っているのだから分かると思うけど。

「そうじゃない!何でメリルがそんな事をしているんだ!危ないだろ!お前は仮にも王族なんだぞ!!」

「いえ、私はもう隠居した廃姫です、王族とは名乗れません。だからやれる事は自分でやるんです」

 私が至極当然に答えると唖然としている。

「メリル様、そろそろ休憩を取られて下さい」

 ハーナが私を呼びに来る、そしてまさかの来客の顔を見て驚いている。

「ありがとうハーナ、お兄様もせっかくなのでどうぞ」

 私の言葉に立ち尽くしていたお兄様の腕を引っ張って屋敷へと連れて行く。


「クッキーを焼いてみたの、不味くはないと思いますが」

「・・・メリルが作ったのか?」

 呆然とした顔で聞いてくるので笑顔で頷く。

「・・・美味しい」

「嬉しい!!今お茶を淹れますね」

 初めてお菓子を作ったけど褒めてくれるとやはり嬉しい。

「ふふふ、お兄様には本当に迷惑をかけてしまいました、何とお詫び申し上げればよいか」

 お兄様はハッとしたように顔を上げ、私の顔を真剣な眼差しで見据える。

「ちがう、詫びなくてはならないのは俺の方だ。お前をこのような場所に追いやってしまった・・・」

 唇を噛んで悔しそうな顔をされる。

「ふふふ、こうやってゆっくり話すのはいつ以来でしょうね?私の事は気に病まないで下さい、今はとても穏やかで充実した日々を過ごしています」

 最近の私は自然と笑顔になっているとハーナに言われた、それに釣られたのだろうか?久しぶりにお兄様の笑顔を見た気がする。

「いつ以来かな?メリルのそのような笑顔を見たのは」

 私はそっくりそのままお兄様にその言葉を返したい。

「・・・何か俺にやれる事はないか?例えば欲しいものとか?」

 こんなに優しくされたのは初めてかもしれない。

「ふふふ、そうですね、お兄様なら一つだけ我儘を言っても良いですかね?」

 冗談めかして言うと表情が砕け、何でも欲しい物を言えと嬉しそうに迫ってくる。

「あの、せっかく立派な花壇があるので何かを植えたく思うのです、なので花々に詳しい方をご紹介して欲しいのですが?」

 奥の院の庭園には立派な花壇がある、今は廃れてしまい荒れ放題だ。せっかくだから綺麗な花を植えたいと思っていたがハーナはそのような知識を知らないと言われてしまった。

「そんな事で良いのか?」

 私にとってはそんな事ではない、どのような花を植えたら良いのか知らないし、どのような世話をすれば良いか何も分からない。

「分かった、すぐに手配しよう」

 嬉しそうに立ち上がる、もう帰ってしまうのだろうか?

「あ、あの、またいつでも来て下さい」

「・・・ああ、また来る」

 初めて笑顔のお兄様を見た気がする。私はお兄様の足を引っ張ってばかりだったからずっと気に病んでいた、本当はもう会えないと思っていた、会えたらしっかり謝ろうと思っていたのに忘れてしまった。

 それだけ楽しい時間だったのかもしれない。


 翌日、大勢の庭師を引き連れてお兄様がやって来た。

 私が少しずつ手入れをしていた庭が1日で手入れされてしまった。手伝おうとするが私のやれる事は何もない、花壇も綺麗に整備されて季節にあった花々を植えてくれた。

 だけどお兄様、これは私の望んでいたものと違う気がする。




 庭師によって手入れされた庭園は今までと比べ見違えるくらい華やかになった。最近ではよく晴れた日にここでお茶を飲むのが日課になっていた。

「メリルや、儂も良いかな?」

「お祖父様!!」

 先代国王である祖父は王領に住むご近所さん同士だ。お父様に王位を譲ってからは隠居して王領に住んでおり、私がここに越してきたからは何度も足を運んで話し相手になってくれている。

「立派な庭園になったの」

「ふふふ、私は何も手伝えませんでした。やはり本職の方々は凄いです」

 何でも自分でやろうとしたけど、私ではこんなに上手く出来なかっただろう。

「王族と言えど人である事は変わらない、それぞれやれる事に限界はある。メリルの言い分はちゃんと真理をついておるよ、本職の者はその理由がちゃんとあるんじゃ」

 穏やかな笑みを浮かべて褒めてくれる。幼い頃は怖くて近寄り難かった印象しかなかったけど実際に話して見るとこんなに違うとは思いもしなかった。

「ふふふ、先日も誰か来ていたみたいじゃな」

「はい、一昨日にはメイド長がまた来てくれて、お茶の美味しい淹れ方を教えてくれました、今度は料理長も連れて来てくれるそうです。そして昨日は1番上のレインお姉様が義兄様と一緒に会いに来てくれました」

 そう、実は毎日のように来客が来ていたのだ。メイド長と執事長はすでに数回か来ているし、第一王女であるレインお姉様が旦那様である公爵様と一緒に多忙なのに会いに来てくれたのだ。1番上の姉のレインお姉様は顔に傷を負って自信を無くした私を何度も励ましてくれた恩人だ、本当にまた会えて嬉しかった。

「屋敷の外観がボロボロな事に凄い怒っていました、近いうちに大工さんを派遣すると言ってました。本当は私が自分でやろうと思っていたんですけど、あまりの剣幕にそれを言えませんでしたよ」

 面白おかしく言うとお祖父様はニコニコと聞いてくれている。

「ふふふ、良い笑顔だ。メリルはここに来て笑顔を取り戻す事が出来たみたいじゃな」

 笑顔を取り戻す?そう言えばここに来てからは笑ってばかりな気がする。

「まあ、メリルは政治や貴族社会から離れたから話しやすい存在だ、だから癒しを求めてやって来るのかもしれんの」

 お祖父様から意味深な事を言われる、政治や貴族社会から離れたから?私なんかが癒しになるとは思えないのたけど。




「メリル様、その・・・また来客です」

 ハーナが私を呼びに来る。もうすぐケーキが焼けるから少しだけ待っていて欲しい。

「誰ですか?少し待ってもらう事は出来ない?」

「それが、リテ王女様とサム王子様がいらっしゃってまして」

 リテとサム?異母妹弟が揃ってやってきたの!?二人とも第三王妃の子供で、特に妹のリテは私の顔を醜いと言って嫌っていたはずなのに会いに来たの?取り敢えずハーナにオーブンで焼いているケーキを任せて急いで客間に向かう。

「2人とも突然にどうしたの?」

 声をかけると2人とも驚いた表情で私を見る。

「げ、元気そうね」

 リテが焦った表情をしている。

「お久しぶりですメリル姉様」

 サムの方はすぐに落ち着きを取り戻し、いつも通りに丁寧に挨拶をしてくれる。

「ごめんなさい、少しだけ待っていてくれる?今ケーキが焼きあがる寸前なの」

「え?ケーキ?」

「メリル姉様が?」

 2人に不思議そうな顔をされたが、慌てて台所に戻る。

「ハーナ、どう?」

「よい加減です」

 オーブンを開くと木の実をふんだんに使ったパウンドケーキが出来上がっていた。

「ほ、本当に作ってた!?」

 後ろを振り向くとリテとサムが台所を覗き込んでいた。

「せっかくだから味見してみる?すぐに紅茶を淹れるわ」

 出来立てのパウンドケーキを切り分ける、2人は自分の目を疑うようにケーキを見ている。

「料理長に教わったものだから味は良いと思うわ、お祖父様も美味しいと言ってくれたし」

 メイド長と一緒に来てくれた料理長直伝のお手軽ケーキだ、よほど失敗しなければ味は大丈夫なはず。

「美味しい」

 サムが一口食べると感想を漏らす。

「・・・うん、美味しい」

 批評は辛口と思われるリテも美味しいと言ってくれる。

「ふふふ、良かった。美味しいと言ってくれると嬉しいものね」

 自分でもよく出来ていると思う、木の実もこの周辺で採れたものだから、本当にここでしか作る事が出来ないケーキだ。

「本当にメリル姉様は変わられたのですね。みんなから話を聞いていたけど、この目で見てようやく信じれたよ」

 しみじみとサムが私を見る。

「どうなのかしら?自分では全然分からないわ」

 以前料理長にも同じ事を言われた、だけど私はそれを自覚出来ていない。

「何と言うかな?笑顔を初めて見た気がする」

 私はいつも顔を隠していたからな、サムとこうやってゆっくり話すのは初めてかもしれない。

「・・・ほら、姉さん、ちゃんと言いなよ」

「わ、分かってる」

 ここでサムがリテを突っつく、本当に仲が良い姉弟で羨ましい。


「あの、その・・・ずっと気に病んでて・・・今更なんだけど、その、あの」


 リテが何か言おうとするが言い淀んでいる。

「私は、その、メリルお姉様に、ずっと酷いことを言ってしまった。ほ、本心ではないんです、つい、年が近くて周りから比べられる事が多くて、私の事をみんなが褒めてくれるので調子に乗ってしまって」

 確かに私とリテは年が近い、比べられる事が多かったが基本的には私は下げられてリテが上げられる事が多かった気がする。

「ずっと、そんなつもりなくて、気に病んでて。だけどメリルお姉様が近くに居なくなってからもっと心が重たくなってしまって。今日まで勇気がなくて来れませんでした、本当なら今更何を言ってるんだと思われるかもしれないけど」

 気が強いリテが泣きそうな顔をしている。

「私の事を嫌っていたのでは」

「そんな事は絶対にありません!!私は年も近いから、もっと仲良くしたかった!だけど私のちっぽけな傲慢さがいけなかったのです!ごめんなさい!!」

 私の言葉を遮られる、リテは涙を流しながら深々と頭を下げる。

「うふふ、嫌われてなくて本当に良かった。私と同じ気持ちでいてくれてありがとう」

 泣いているリテを優しく抱きしめる。すると溜まっていたものが一気に吐き出されるように大声で泣き出してしまった。


 しばらくするとリテは落ち着いたのか泣き止む、私達を優しく見守っていてくれたサムにも感謝しないといけない。

「ぐだぐだと言い訳がましい事を言ってしまいましたが結局は自己保身でしかないわ、これからは行動で示します。どうか何でもおっしゃって下さい!」

 リテの涙と鼻水でグシャグシャの顔で迫られる、だけど私は今の生活に満足しているから何でもと言われても困る。

「姉さんの気持ちだから何でも言ってやって」

 サムに助けを求めるがダメのようだ。

「それなら、また遊びに来て、私と一緒にお茶を飲みましょう」

「・・・は?そんな事?」

 リテからの視線が痛い。

「それでもこれは私の本心です、すれ違いから仲違いしていたんです、私はゆっくりと貴女との時間を取り戻したい」

 私の望みを言うとリテは困惑しているが納得してくれた。抱きしめた私の腕をほどいて真正面に向き合う。

「分かったわ!それなら私はここに毎日来る!!」

 毎日!?それはそれで困る!

「姉さんは極端すぎるんだよ、節度を弁えてよ」

 サムがリテを窘めてくれた。

「リテも忙しいのでしょう、暇な時に時間潰しに来てもらえれば良いのですよ」

 納得出来ないのかリテは不満そうな顔している、毎日来られては私の時間が無くなってしまう。「明日も絶対に来るから!」という恐ろしい捨て台詞を置いてリテとサムは帰っていった。

 そして翌日もリテがここに本当にやって来たのはまた別のお話だ。




「あの・・・メリル様、お客様です」

「また?」

 ハーナがいつものように呼びに来た。この奥の院に移り住んでからほぼ毎日のように来客がある、王宮にいた頃なんて誰も私に会いに来なかったのに。

「誰?」

「いえ、それが」

 ハーナの歯切れが悪い。

「忙しかったか?」

「へ?」

 聞き覚えのある声がする、振り向くと唖然とする。

「おにい、いえ、王太子殿下!!」

 まさかの展開だ、長兄のハダル兄様が私に会いにくるなんて思いもしなかった、とにかく慌てて跪いて頭を下げる。

「ま、待て!頭を下げるな!今日は兄としてメリルの顔を見に来ただけだ、王太子などと呼ばないでくれ!」

 今まで口さえも聞いてくれなかったのに、兄として?どういう風の吹き回しだろうか?取り敢えずリビングへと案内する。

「いい香りだ、妹が淹れてくれる紅茶を飲める日が来るとは思わなかった」

 ハダル兄様が紅茶の良い香りにうっとりしている。

「どうされたのですか?王領とは言え付き人も付けずにやって来るなんて」

 率直に疑問をぶつけるとバツが悪そうに苦笑いする。

「いや、姉上やバレス、リテやサムにつつかれてな、私だけ会いに行かないのは薄情だってな」

「そんな強要するように言わなくて良いのに」

 最近、全員が私に甘い気がする。頻繁に会いに来てくれるの嬉しいけど、ここに来ることを誰かに強要して欲しくない。

「まあ、なんだ、みんなからここでお茶を飲んでケーキを食べてメリルと話をするだけで心が癒されると言われてな、一回ちゃんと会いに来ようとは思っていたんだ」

 心が癒される?癒されるのは私の方ではないのか?

「あ、今日はケーキが無いのでクッキーになりますが良いですか?」

「いや、催促した訳ではない」

 そう言う訳にはいかないので台所に戻ってクッキーを持っていく。

「クルミのクッキーです、お口に合うか分かりませんが」

「メリルが焼いたのか?」

 ドキドキしながら頷く、人に手作りのお菓子を出すのはいつでも緊張する。

「美味い・・・」

「よかったぁ〜」

 心から安堵する。ハダル兄様はクッキーを食べ、そして紅茶を一口飲む、そしてゆっくりと息を吐いて椅子に深く体重をかける。

「落ち着くな」

 小さな声で呟く。私からしたら超人のようなハダル兄様のこのような気の抜けた姿は初めて見た。

「公務が忙しいのでしょう?私にお手伝い出来たら良いのですが」

「ふふふ、そうだな。今のメリルなら是非とも頼みたいくらいだ」

 予想外な反応をされた!?

「私が知っているメリルはいつも俯いてて、声が小さくて、私の目を見て話をしてくれなかったからな。ずっと怖がられていたと思っていた」

 思ったより私をよく見ていた!?王宮にいた頃の私の心情を的確に把握されていた。


「ふう、本でも持ってくれば良かったな、こんなにゆったりした時間を過ごしているのは久しぶりかもしれない」

 ハダル兄様がとてもリラックスしてくれている。

「ふふふ、ここは私とハーナしか住んでませんからいつでも来て下さい。あ、そう言えば曽祖父様が使っていた大きな本棚があるので良かったら使って下さい。本が一冊もないのも可哀想ですし、本があれば私も読めますから」

「ほう」

 ハダル兄様の目が光った気がする。

「本があればメリルも読むのだな?」

「え、は、はい」

 すると立ち上がると曽祖父様の書斎へ案内するように言われる。

「かなりの蔵書が置けるな。よし、後で司書官を遣わそう。この本棚を一杯にしてやる」

 話が突飛もない方向に進む。

「姉上やバレスが色々やったみたいだが、私も負けてられない」

 小さな声で呟く。私はどうしたら良いか分からず狼狽えるばかりだ。

「・・・私も何かしてあげたいと思っているのだ」

 戸惑う私に優しく声をかける。

「メリルの顔にこんな傷さえなければ・・・」

 優しく顔を撫でられる、だがハダル兄様の表情はとても悔しげだ。

「この傷跡は誰のせいでも無く、私自身がつけたモノです。誰かを恨む事も、お兄様が悲しむような事もあってはなりません」

 撫でくれる手の温もりに甘えそうになる、こうやって優しく声をくれたのはハダル兄様が初めてかもしれない。

「それに今は穏やかで充実した日々を送ってます」

 過去を思い出すと誰かを恨んだり、泣き喚いたりと嫌な思い出しかない。そして何より無能で不出来な自分が大嫌いだった。今はどうだろう?少しは前向きになれて今の生活に充実を感じている。

 だから心からの本心が言えているのかもしれない。私の言葉にハダル兄様は笑顔を見せる。

「ふふふ、本当にそのようだな。私の言葉は余計なお世話だったな」

 今度は頭を撫でられる。ハダル兄様とこんなに打ち解ける日が来るとは思いもしなかった。


 その後日、ハダル兄様が司書官を連れてきて大量の本を運んできた。曽祖父様の本棚が本で一杯になり、その本の中には私が好きな本もある。誰かが私の好きな本を教えたのだろうか?嬉しいけど少し恐縮してしまった。




 ここに移り住んで半年以上過ぎただろうか?冬の寒い季節を迎え、洗濯が厳しいと思えるくらい水が冷たくなる。

「今日の分は薪はこれくらい運んでおけば良いかな?」

 暖炉用の薪をリビングに積んでおく。

 先日は私の専属だった近衛騎士団の人達がやってきた、私が顔を隠さずに表に出た事に全員が驚いていた。

 私の生々しい顔の傷跡を見て全員が唖然とし、私を守れなくて申し訳ないと涙ぐみながら頭を下げられてしまった。騎士団長より私の顔の傷はあの時、一緒に付いていなかった自分のせいだと泣きながら自責の念を打ち明けてくれた。

 この傷は私のせいであり、騎士団の人達が苦しむのは違うと言い続けても聞く耳を持たれなかったのが心苦しい。

 それでどうしても何か手助けしたいと言われたので、力仕事の冬用の薪の用意をお願いしたら全部やられてしまい、私のやる事が一切無くなってしまった。

 最近感じるのは、私は王宮にいた時にどれだけの人と関わってきたか思い知らされた。勝手に孤独だと思って人を避けていたのが恥ずかしい。近衛騎士団の人達もそうだし、その前はメイドさん達がこぞってやってきて隅々まで掃除をして行ってくれた。

 ハダル兄様は勝手にリクライニングチェアを持ち込んで本を読んでいるし、リテは第三王妃様と一緒にやって来て家具などを内装をどんどん改造していった。みんなが次々やって来て色々と爪痕を残していくから私の家はどんどん豪華になっていく。

 私はこの家を自分でコツコツと改造するつもりだったんだけど。


「メ、メリル様・・・」

 またハーナが青い顔して呼びにくる。

「もしかして・・・またお客様?」

 こう毎日のように来てくれるのは嬉しいけど、せめて一言連絡が欲しい気がする、

「それで誰?」

「それが、その・・・」

 ハーナの顔が引き攣っている。いったい誰が来たんだろう?


「お、お父様、お母様!?何で!?」


 慌ててリビングに入ると2人が暖炉の前で身体を暖めていた。

「メリル!!」

 私の顔を見るなりお母様に強く抱きしめられる。

「ようやく顔を見に来る事ができた」

 この国の王であるお父様が私なんかの為にわざわざ会いに来たの?私の顔を優しく撫でながら声をかけてくれた。


 突然の再会に戸惑いつつ、ハーナが温かいお茶を淹れてくれた。

「いいな、この椅子」

 お父様がリクライニングチェアに深く腰掛けてリラックスする。

「ハダル兄様が持ち込んだ椅子です。いつもそれに腰掛けて本を読んでいますよ」

「・・・アイツ、ここに入り浸っているという噂は本当だったのか」

 お父様の顔が怖い。

「このソファも良い物ね」

「そ、それはバレスお兄様がダラけるように持ち込んだ物でして・・・」

 お兄様の名前を出すと驚きの表情を見せる。

「は?あの子もここに来ているの!?」

「はい、その、かなりの頻度で」

 実の兄だから遠慮がなく、ここに何度か泊まっていたりする。

「いつの間に仲直りしたの?一言もそんな事聞いてないわ!」

 仲直り?どういう意味だ?お兄様には迷惑をかけたという負い目はあるけど、喧嘩などする訳がない。

「仲直りですか?私達は最初から喧嘩などしてなかったと思いますが?兄弟の中で真っ先に会いに来てくれたのもお兄様ですから」

「あの子が・・・」

 お兄様は何も言わずにここに来ていたのか?

「その前はリテと第三王妃様が一緒に来てくれて、内装を色々と改造していったし、レインお姉様が第一王妃様と一緒に来てくださって、私にはもう必要ないのに香油などの化粧品をたくさん置いていって下さいました」

 毎日のようにやってくる来客のお話をすると2人は唖然としている。

「ふふふ、私はもう王女という立場でないので話し相手に丁度良いみたいです。みんなが私の事を妹や姉として、家族として会いに来てくれるのでとても嬉しいです」

「家族として・・・」

 お母様が呟く、今にも泣きそうな顔をしている。

「本来なら、母である私が真っ先に来ないといけないのに・・・母親失格だわ」

「それならお母様を泣かせてしまった私は子供失格です!」

 お母様が自分を責めようとしていたので私は食い気味に否定する。本当に私は子供失格だ、迷惑ばかりかけてお母様を悲しませ続けてきた。

「以前の私は何もせずに自分の不出来を一人で呪ってました、皆さんに見限られるのは当然の事なんだと今更ながら実感しております」

 すでにお母様は大粒の涙をこぼし始めている。

「ここに来てから、私は自分で何とかしようと動こうとしました。すると私が不出来なのを見かねて、みんなが助けてくれました。結局はそれが全てだったんです」

 泣き始めたお母様を優しく抱きしめる、気づけば私も涙がこぼれ落ちてきた。

「私が1番悪かったのです、ずっと立ち止まって周りを羨んで見ているだけで何もしませんでした。リテのように自らの非を認めて謝れるような行動力も勇気もありません、お兄様達のように私の為に怒ってくれるような強さもありません」

 最初のこの家の惨状を聞いていたのかお父様はバツが悪そうに頭を下げる。

「その件は知らなかったとはいえ本当に済まなかった、後からその件を聞いて驚いた。すぐに手配をしようとしたら息子達がすでに動いておってな、今さら手を出すなと酷く怒られてしまったよ。本当に反省している、済まなかった」

「い、いえ、最初は自分で色々と改装しようとワクワクしていたから大丈夫です。ところで毎週ここに送られてくる荷物はお父様が手配してくれているのですよね?本当に感謝しかありません、こうして私が生きていられるのはお父様のおかげです」

 普通に考えて定期的に物資が送られて来るなんておかしいと思っていた。私はもう姫ではないのだから国費を使う訳にはいかないはず、つまりお父様の私財から出しているのだろう。

 きっとこの生活は私が元王女で、王家にとって隠したい存在だから成り立っていると思う、本来ならこの場所にさえいられなかったはずだ。身分を抹消して外国へ放り出した方が簡単で効率が良い、それをされなかったのは私がお父様の娘であり、家族としての情があったおかげだと思う。だから本当に感謝しないといけない。

「今、こうして心穏やかに過ごせているのはお父様のおかげです。本当にありがとうございます」

 改めてお礼を言うとお父様は大きく息を吐く。

「ふう、本当に今が充実しているのだな。実は今日ここに来たのはメリルを王宮に連れ戻そうと思っていたんだ。今さらながらメリルが一人で不憫な生活を暮らしていると思ってな、でも今のメリルの顔を見ているとそれは止めた方が良い気がしてきた」

 え?そんな事を思っていたの?

「メリルをここに追いやったと自責の念があった、手元に置いて何不自由なく暮らせた方が幸せなんじゃないかと思ってもいた。だがそれは余計なお世話なようだ」

 苦笑いをして誤魔化す、廃棄された後でも気遣いをしてくれるとは思わなかった・・・でも今さら王宮に戻れない。

「おそらく、私は王女には向いてなかったのでしょうね。気遣いは嬉しいですが」

「だろうな、分かっているよ」

 2人で目が合うと、自然と笑えてしまった。


「寂しくはないか?」

「はい、なんと言うか、皆さんが頻繁に訪れてくれますし、近所にお祖父様がいらっしゃいますから」

 少し歩けばお祖父様が住んでおり、何度も遊びに来てくれるし、今もハーナと一緒に住んでいるから寂しくはない。

「おお!それだそれ!父上の事、メリルにお礼を言わねばならん!話し相手になってくれているのだろう?年寄りの相手は大変だろう」

「いえ、とても楽しくお話をさせてもらってますよ」

 一緒にお茶を飲むのは日課となっていて私は楽しんでいる。

「実はもうすぐ寒い冬になるので一緒に住みませんか?と聞いてみたんです。だけどお祖父様がここにいるとみんなが気軽に来れなくなると言われて断られてしまいました」

 お祖父様の家に行った時に家人がいたので孤独という訳ではないと思うけど。

「ははは、その方が良いな。そうじゃないと私が気軽に来れない」

 ん?お父様が気軽にここに来る?いつも多忙なのに?

「何だその顔は?私もここに来るぞ!こんな身近に心安まる場所があるなんて思いもしなかった!今度私専用の安楽椅子を運んでおこう」

 何か対抗意識を持ってないか?私としては大歓迎だけど。

「お母様も是非来て下さいね。今度、お兄様がここに浴室の改装をする為に職人を連れてくると言ってました。そうしたら是非泊まって行って下さい」

「・・・そんなのダメ、あの子は趣味が悪いわ。浴室は私が手配する」

 泣いていたお母様がようやく落ち着いてきた、だけど今度は変な事を言い出した。

「私も今日からここに住む!王妃と王女の関係ではなく、母と娘としてもう一度やり直すのよ!!」

 突拍子もない事を言い出す、第二王妃のお母様が突然いなくなったら公務に支障が出てしまう。お父様と私が一生懸命説得し、将来的に私とここに一緒に住む事で納得してくれた。



 お父様、お母様が嵐のようにやって来て嵐のように帰っていった。後日、お兄様がやって来て、私と内緒で会っていた事をお母様に問い詰められ、勝手に色々とやっている事を咎められたらしい。そして浴室の改装工事を横取りされたと愚痴っている。

「将来は私とここに住むと言ってましたね?」

「それも聞いた、そうしたら俺がここに来れなくなるから困る。せっかく居心地良くなってきたのに」

 大きく溜め息を吐いて自分の持ってきたソファに寝そべる。

「メリル様、お客様です」

 ハーナがまた誰かを連れてきた。今日は誰だろう?

「やあ、メリル姉様、温室の件でお話が・・・」

「・・・よおサム、温室って何だ?」

 弟のサムがやって来たのだが、お兄様と鉢合わせになってしまった。

「な、何でバレス兄上がここに!?」

「はあ?俺が妹の家に来て何が悪い?ところで温室って何の話だ、おい?」

 この2人が絡むのは初めて見た気がする。

「ふふふ、サムにも温かいお茶を淹れるね」

「メリル、こんな奴に淹れなくていい」

「何でですか!!」

 普段から絡みのない2人の掛け合いは新鮮だ、賑やかな笑い声が家中に響き渡る。

 それにしても、いつになったら私の静かで穏やかな日が訪れるのだろうか?




 こうして冬が深まり、月日が過ぎて春になる。


 春になれば私はここに来て一年が経つことになる。来た当初からは想像が出来ないくらいに私の家は充実している。

 洗濯干し用の温室が新たに作られ、綺麗で広々とした浴室が出来上がり、お洒落な家具が次々と運ばれてくる。

 色々と甘やかされている気がするけど、私もそれなりに成長しておりほぼ1人で生活出来る様になったと思う。なのでハーナにはそろそろ王宮での仕事に戻って良いと言ったら泣きながら拒否されてしまった。その日は喧嘩となりハーナは怒って一言も口を聞いてくれなかった、けど次の日に「私は生涯メリル様に付き従います!」と宣言されてしまった。私としてはハーナにも良い人が現れて幸せになって欲しいのだけど、それを言うとまた怒り出しそうなので止めておいた。


「暖かくなって来た、もう一年になるんだ」


 洗濯物を干しながらつい独り言を言ってしまった、それだけ感慨深いものがある。今日はよく晴れていたので久しぶりに洗濯物を外で干す事が出来た、庭の木々に若芽がチラホラと見え始めて春の息吹を実感する。

「メリル様、お客様です」

 一仕事終えてハーナがいつものように私を呼びに来た、私とハーナのこのやり取りもほぼ毎日のように繰り返している気がする。  

 ここに移り住んでからの方が忙しい気がするけど、悪い気はしないので自然と笑みがこぼれてしまう。


「ふふふ、今日は誰が来たのかな?」


 いつものように忙しい一日の始まった。




心と体に傷を負った王女様が自分を取り戻し、立ち直っていくお話でした。

元々は連載出来るかな?と考えて書いていたので内容が小走りだったかもしれませんね。

ストーリーは抑揚自体があまり無いのですが、個人的にはとても好きな話だと思い投稿してみました。

本当に読んでいただきありがとうございました。


*この後の続編も投稿しました。良かったらそちらもよろしくお願いします。

「廃棄姫はなぜかまだまだ忙しい」

https://ncode.syosetu.com/n4639hp/

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様御推奨の順ということでまずこちらの作品から読み始めました。 何といえばよいのか言葉選びに迷いますが、とにかく読み進むほどに心が優しくなっていくお話だと思いました。 主人公がこれから先に…
[良い点] テンポ良く読めたところ [気になる点] 人間関係の繋がりが分かりにくいかも [一言] 中編小説にできると思います
[一言] 良き…良き…
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