7話:ファントム襲来
今話では普通の学校ならばありえないものが入っています。
気付いた人は感想の方でこっそりと聞いてみてください。
なお、本作の基本となる、シュナイツ育成に関しては関係ありません。
本日3話目の投稿です
では、7話『ファントム襲来』お楽しみください
戦闘訓練からおよそ1週間が過ぎました。
この間、私達『栄菟女学院』の管轄地域では特に何も起きませんでした。
しかし、『神鏡女学院』の管轄の方では、大きなファントム襲撃があったそうです。
被害はそこまで大きくなかったようですが、下級悪魔級もいたそうです。
【ファントムの級分け】———
天災級 ↑強
超級魔将級
上級魔将級
中級魔将級
下級魔将級
超級悪魔級
上級悪魔級
中級悪魔級
下級悪魔級
災害級
大級ファントム級(高さ10m以上)
中級ファントム級(高さ5m以上)
小級ファントム級(人間と同じくらい)
通常ファントム級 ↓弱
ファントムとつく級のファントムはビームや物理攻撃しかしない。
災害級は個体によって能力は違うが、津波に近い被害を出すこともある。
悪魔級は下級、中級、上級、超級と上に上がるにつれて能力が上がる。超絶技を発現していることが、戦いに参加できる目安とされている。
魔将級も悪魔級と同じく上に上がるにつれて能力が上がる。下級魔将でも超級悪魔10体に近い被害を出す。超絶技が覚醒している事が、戦い参加の目安とされている。
天災級は第一の天災でのみ確認された。一体で1国を一瞬で滅ぼしたとされる———
悪魔級を相手にしたのは神鏡女学院序列トップ3人が率いる、『聖杯』だったそうです。
まあ、『聖杯』のメンバーは、主軸の3人を含め全員が覚醒しているので、下級悪魔程度ならほぼ100%遅れは取らないでしょう。
今日は午後の授業はありませんでした。
レギオンに所属している人は、それぞれのレギオンに用意された部屋へと別れました。
「さて、皆さん。本日の予定を説明しておきます」
『はい』
「まずは、それぞれの能力を知るためにも、身体能力測定をしましょうか」
「身体能力測定ですか‥‥初めて聞きますね」
「まあ、普通の学校に通っていたなら、訊いたことが無いだろうね。身体能力測定はシュナイツ育成学校でしか行われないから」
「身体能力測定はシュナイツの基礎的身体能力。マギ使用時の身体能力。強化系の超絶技なら、その時の身体能力もと、多くて5回行います。少ない人は2回ですね」
「私達の場合には、誰も‥‥あれ?緋和李、身体能力の強化あった?」
「え~と‥‥はい。能力の一つに身体能力を強化するのもあります」
「じゃあ、緋和李だけ3回以上だね」
「そのことだけど、もう2、3年生は1年生入学前にやったから、いらないんじゃないかな?緋和李は参謀型ではないから、みんなの能力を知っている必要はそこまでないから」
「それもそうですね。では、緋和李さん。ついて来てください」
生徒会長についていった先にあったのは、一つの体育館でした。
この学院には合計6つの体育館があります。
その他にも、戦うためだけに作られたアリーナなどもあるそうです。
「では、まずは100mからです」
「私がスタートはやる」
「じゃあ、僕がゴールの所で測定をやるよ」
「よろしくお願いします」
私は、100mのラインへと向かいました。
久しぶりに100mをやりますが、やはりこちらから見るとかなり遠くに見えますね。
「じゃあ、よーい‥‥ドン!」
思ったよりも気の抜けたスタートの合図ですが、まあ、これが白崎様なので仕方ありません。
思ったよりもいいタイムが出たと思いますが‥‥どうだったでしょうか?
「12秒29」
かなりいいタイムが出たと思います。
自己新とまではいきませんでしたが‥‥まあ、許容範囲でしょう。
「緋和李さん、脚早かったのね」
「はい。中学では陸上部に所属していて、全校で4位でした。あと少しだったのですけど」
「全国4位‥‥凄いわね」
「じゃあ、次は高跳びね」
次々と、競技を終えていきました。
なんだか、やっていた種目は陸上の競技ばかりでしたが、身体能力を測るためなら丁度いいのでしょう。
「じゃあ、次が最後ね」
身体能力強化も使って、最後にやるのは砲丸投げです。
「どうぞ」
一気に投げ飛ばしましょう。
超絶技も使っていいのならば、普通にボールを投げるように投げた方が飛びますからね。
この身体能力測定では、投げ方に関する規定はないそうなので、野球投げでも問題はないそうです。
砲丸を投げる円、ギリギリにまで踏み込んで、一気に投げます。
直線状に跳んでいった砲丸は数10メートルほど過ぎたところで減速し、少ししたら落ちました。
「記録54.6m」
通常の世界記録の倍以上ですね。
まあ、マギを使ったうえ超絶技も使って、通常の記録を越せなかったら、それはそれでやばいですからね。
あ、通常の私の記録は18mでした。十分に国の記録は狙えますね。
「じゃあ、今日は解散に」
ブー、ブー、ブー
突如ブザー音が鳴り響きました。
確かこの音は、ファントムの襲撃です。
『今から呼ばれるレギオンは、直ちにグラウンドに集まる様に。『不滅の戦姫』『栄光の燈』——————』
私達のレギオンも呼ばれました。
「行きましょう」
『はい』
「良く集まってくれた。今回の出現地域はこの学園のすぐそばだ。手帳の方に場所の情報は送った、移動手段を持っているレギオンから移動してくれ。散!」
レギオンごとに移動を開始しました。
「場所は‥‥町二つとなりね。電車で行きましょう」
「電車では、遅くなってしまうのでは?」
「でも、移動手段はそれ以外にはないわよ」
「私が向こうで戦えなくても大丈夫ならば、4人位なら送れます」
「白崎さん抜きで‥‥」
「私の超絶技でマギの回復は出来るので大丈夫ですよ」
「本当!じゃあ、それで行きましょう」
「では、いきます。《影よ我らを運べ》【影移動】」
私達の足元に大きな影が広がりました。
それに少しずつ飲み込まれていき、頭まで飲み込まれた次の瞬間。私達は見慣れない場所に居ました。
「ここですか?」
「はい。手帳のマップでも、ここになってますね」
「かひゅー、かひゅー」
何事かと思ってそちらを見ると、過呼吸になっている白崎様がいました。
「あ!すみません。《我が魔を分け与える》【魔譲】」
「‥‥ん。ありがとう」
過呼吸になっていた白崎様は、マギを分けるとすぐに呼吸を整えました。
これも、一つの戦場で生きるために大切なことですね。すぐに息を整える、と。
「では、すすみましょう…!緋和李さん!」
「分かっています!はぁぁ!」
突如空から襲来したファントム。
今回のファントムは鳥型ですかね。でも、報告では通常の四角いものが多数と‥‥
私は心霊装のケースの上で滑る様に、ファントムのくちばしに合わせました。
狙い通り、ファントムはケースの上を滑り、また飛び上がっていきました。
「それにしても、突然でしたね」
「それに反応した緋和李君も大概だと思うけど‥‥今のは僕の責任だ。すまなかった」
「何で謝るんですか!?」
「僕がこのレギオンの唯一の盾だ。それなのに、敵の発見に遅れるどころか、敵に攻撃されるまで気づかないなんて」
ああ、そう言う事でしたか。
確かに、盾役として今のは、大きな問題なのかもしれませんね。
私がどうとも思っていないので、何故謝ってきたのか焦りましたが‥‥理由が理由ですしね。
「今のは仕方がありませんよ。こっちに着いてすぐにファントムに襲われるなど、誰も考えていませんでしたから。それに、今のは報告にあった型とは違いました。空中にもファントムがいるという事が分かっていれば、気付けていたはずです」
「だが‥‥いや、ともかく、謝らせてくれ。すまなかった」
「水智、いつまでもしつこい」
「だが!」
「誰も気にしてない。それに、索敵の担当は会長だ。未来予知に勝る探知能力はない」
「そうだが‥‥下手をすると今ので全滅していた可能性も」
「あ、それは無いですよ。私、音に敏感なので、あそこまで風を切って進んでこられると、いやでも分かりますから」
「そ、そうか」
水智様は、若干苦笑いをしました。肩から力が抜けたのなら良かったです。
「無駄な力も抜けたようですね。では、出発しましょう」
会長が仕切り、私達は進み始めました。
先程の鳥型ファントムはどこまで飛んでいったのでしょうか?
これは酷いですね‥‥町が1つ潰れてしまったようです。
ここまで被害が出るまで、報告が来なかったなんて考えられませんね。
もしかすると、報告を後回しにして逃げたのかもしれませんね。常駐のシュナイツ崩れの数が少ないと、今回は逃げるしかないでしょう。
町全域がファントムで埋め尽くされています。
あ、シュナイツ崩れとは、マギを持っていながら学園に通わなかった、または通うことができなかった人のことを呼びます。
大抵は、マギの量が少なかったり、町を守るのに残ったりといった理由で、犯罪者という事ではありません。
「とりあえず、非難の遅れが無いか確認しましょう。非難が遅れている人がいたら、まだ家に隠れていると思うけど‥‥」
「そうですね、人の声は‥‥聞こえませんね。ファントムの音がうるさくて、遠いところは分かりませんでしたが、この周辺にはいませんでした」
「そうですか‥‥有難うございます。では、中心へ向かいましょうか。この町はそこまで広くはないので、そんなにかからないと思います」
「分かりました」
私達は無駄な戦闘は避け、市街地からは出来るだけ離れたところから、町の中心地にある市役所へと向かいました。
しかし、そこで待っていたのは、思いもよらない景色でした。
私はこの栄菟女学院に入るよりも、もっと前。3年前には理解したと思っていました・・・・
その考えが甘かったのだと、私は————いえ、私達は思い知らされることになりました。
町の中心で待っていたのは、死体となった町を守る数人のシュナイツ崩れでした。
しかし、死体とは言えど、ただの死体ではありませんでした。
体の間接全てをねじ切られ、数人の身体をバラバラに市役所の壁に貼り付けてある、とてもショッキングなものでした。
吐きそうにならなかったと言えば噓になりますが、ここで吐くわけにはいきませんでした。
市役所の上には、この町が半壊になった原因であろう、ファントムが悠然と佇んでいたのですから。
ここまでお読みいただき有難うございました
では、次話の予告を緋和李ちゃんにお願いします
「こんばんわ、秋峰緋和李です
今話では、身体能力測定を行いました
そして、最後ではついにファントムの襲来がありました
この後、どうなるのか見ものですね
では、次話の予告へ移ります
次話では、今話の続きで、ファントムとの戦闘があります
初めてのレギオンでの戦闘ですが、皆さんの足を引っ張らないように頑張りたいですね
では、ここで次話の予告は終わりにさせていただきます
次話の投稿は明日、6時から8時の間の予定だそうですよ」
緋和李ちゃん有難うございました
では、作者からのお願いです
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では、また次回お会いしましょう!