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ファントムシュナイツ  作者: 聖花 シヅク
第1指令:学園入学
4/18

3話:クラスメイトとお姉さま

本日二話目の更新です

次話の更新は本日6時から8時の間にしようと思っています

設定資料集と2話の方で、話の食い違いが一部あったので、直しました


では、3話『クラスメイトとお姉さま』お楽しみください

「初めまして。先程も皆様の前で挨拶させていただきました、『秋峰 緋和李』と申します。気軽に緋和李と呼んでいただけると嬉しいです」


 それぞれの教室へと入った私達新入生は、それぞれのクラスで自己紹介をしていました。

 私の通う事になった、栄菟女学院は名前の順になっているので、私の出席番号は1番です。


「私は今まで地方の方に居たので、皆様のことを知り仲良くなりたいと思っています。一年間、よろしくお願いします」


「秋峰さん、ありがとう。続いて、二番の麻川(あさかわ)


「二番、『麻川 樋波(ひなみ)』。地方出身。どうぞよろしく」


 二番の麻川さんは、かなり眠そうな顔をしていますね。

 身長は‥‥私よりも少し大きいでしょうか?実力はかなり高そうですね。


「次に3番、伊原(いはら)さん————」


 順々に挨拶していきました。

 気になったのは、2番の麻川さんに8番の白井(しらい)さん、14番の美羽(みはね)さん。あとは、24番の和良波場(わらはば)さん、ですかね。楓花(ふうか)さんもクラスの中では、真ん中あたりの実力でしょうか?

 このクラス、他のクラスに比べかなり実力が高いのではないでしょうか。

 体育館でパッと見た中でも、見た感じ実力が高かった10人の内、4人もいますからね。

 ああ、この学園に入れるのは一年あたり大体100人です。4クラスに分けられます。私達のクラスは24人ですね。

 そう考えると、私が見た中での上位10人の内、4人がいるのはかなり偏っているではないでしょうか?あ、これの中に私は入っていませんよ。自分のことを客観的にみることは難しいですからね。


「さて、みんな挨拶は終わったな。最後に私の自己紹介だ。私の名前は『獅子鐘(ししがね)(わん)』だ。マギは減ってきているが、お前らのほとんどには負けていないつもりだ。実戦経験も多い方だ。戦闘で聞きたいことがあったら聞きに来い。最後に私の教えるのは戦闘技術だ。教科の方は数学を担当する。これで自己紹介は終わりだ。質問がある者はいるか」


「はい!」


「何だ、華僑さん」


「先生が倒してきたファントムの中で、最も強かった相手は何ですか?」


「最も強かった、か。そうだな、『第三の天災(サードクラディス)』で出てきた、特殊タイプ『NO.19:シャドー』だな」


 『シャドー』ですか確かに、あれは面倒でしたね。当時、私のマギ総量は現在の半分どころか4分の1程度でした。そのせいか、私はあれと戦っている間に、マギ切れを起こしてしまいまして、途中で撤退しましたが、戦いは最後まで熾烈を極めたと聞いています。

 それにしても、あの口調で人の名前を『さん』付けで呼んでいるのは、かなり違和感を感じますね。


「あれの能力は厄介なものだった。影への退避と影を使った攻撃だ。確か、秋峰さんも戦ったと聞いていたが‥‥」


「はい、戦いました。当時の私はまだ実戦なれもしていなかったので、ほとんど最初の方にマギを使い過ぎて、倒れてしまいましたが。その経験も、今、この場にいることの糧になったと思っています。撤退戦以来、自分にとって最も足りていなかった事も分かりましたから」


「そうか。秋峰さんのように実戦を突然迎えた、と言う者も少なくはないと思う。しかし、この場にいる全員が、ここまで生き残ってきた。それは紛れもない事実だ。もし、無様に負けたとしても、まずは生きることを考えろ。生き残るために最善を尽くせ。それが、お前たちが強くなるために、最も必要なことだ」


『はい!』


 獅子鐘先生は、口は少々悪いようですが、生徒思いのいい先生のようですね。

 その証拠に、生徒に戦いは求めつつも、死ぬまで戦う事は求めていません。

 悪い先生だと、『逃げることを考える前に、どうやったら勝てるのかを考えろ!』、だとか、『戦場での死は誇りである!』とか、言いますからね。

 獅子鐘先生のクラスになれたのは運が良かったです。


「さて、今日の所はそれぞれの部屋へと戻ってもらうこととなる。それぞれの部屋に2年生の先輩がいるはずだ。幸いにも、今年は先輩よりも人数が多いということは無かったからな」


「失礼、少々よろしいでしょうか?」


「どうした?秋峰さん」


「寮室に先輩がいらっしゃるのですか?」


「ああ、しばらくはその部屋の先輩が、お前たちの【お姉さま(ソラー)】だ」


「すでに決まっている人もいるのでは?」


「すでに決まっているやつは、それぞれで分けている」


「そうでしたか。失礼しました」


「いや、どんどん質問してくれて構わない。————」


 その後は今後の説明が少しあり、解散した。

 私も寮室へ向かわなければなりませんからね。


「緋和李さん!待ってくださ~い!」


 おや?楓花さんが私のことを追っかけているようですね。

 少々悪戯をしてみましょうか。とは言っても、話かけられているのを、聞こえていない振りをするだけですが。

 まあ、ある程度までいったら、やめるつもりですよ。こんな下らないことで、友人を減らすつもりはありませんから————




————「まって、くだ…さい」


 ちょっと疲れるの早すぎませんか!?

 まだ30秒も経っていませんよ!

 これは、もう止めておいた方が良いかもしれませんね。


「はい。楓花さん、どうかしましたか?」


 後ろを振り向き、特に何もなかったように問いかけます。


「や、やっと、気付いて、貰えた」


「ずっと呼ばれていたのですか?少々考え事をしていたもので‥‥気付けず、申し訳ございませんでした」


 しっかりと頭を下げ、誠意を示します。実際の所嘘八百ですが、楓花さんが気付く事はないでしょう。

 こうすれば、いくら疑っていても大抵のことは許していただけます。


「べ、別に大丈夫だよ!頭を上げて!」


「ありがとうございます!」


 ここで、顔を曇らせないことがポイントです。

 顔を曇らせているよりも、明るい顔を見せてあげた方が、相手にとってもプラスの方へと感情が働きます。

 彼女はそれが顕著なので、明るい顔をしておけば特に何も言われなくなるでしょう。


「緋和李さんも『お姉さま(ソラー)』が気になるのですか?」


「はい、そうですね。確かに、『お姉さま』は誰がなってくださったのか、少々気になりますね。今朝見た『白崎』様がお姉さまになっていただけると嬉しいですね。少なくとも、彼女には実力という面でも、技術と言う面でも勝てる気が一切しません」


「白崎様は先輩の中でも別格の存在ですからね。一般入試上がりながら、圧倒的な点数で学年主席での合格。学園に入った後は他を寄せ付けない勢いで、『ファントム』を狩り続けたらしいです。昨年の討伐数の約4分の1は彼女が狩った、と言う噂もあるほどです。彼女一人で100体以上倒したらしいですからね。3日に一体のペースですからね」


「100体ですか‥‥少々難しそうですね…」


「何がですか?」


「すみません、気にしないでください。独り言です。それよりも、楓花さんは誰になってもらいたいのですか?」


「そうですね‥‥やはり、『島濱(しまはま)水智(みさと)』様ですね。水智様は、白崎様ほどではないですが、昨年の第1学年次席でした。特にマギの操作技術が優れていたようです」


「水智様ですか・・・・」


「何か呼んだかい?」


「ひゃい!」


 突然後ろから声かけられたまでは良かったのですが、首筋に何か冷たいものが当てられたことで、驚いて変な声を出してしまいました‥‥


「誰ですか!?」


「僕かい?僕は『島濱 水智』だ。僕の名前を呼んでいた気がしたのだけど‥‥気のせいかい?」


「そう言う事でしたか。楓花さんに誰にお姉さまになってもらいたいか聞いてみたところ、水智様のお名前が出てきたので、少々教えて貰っていました。噂にされることがお嫌いでしたら、申し訳ございませんでした」


「いや、別にいいよ。君は‥‥秋峰君だね」


「はい。『秋峰 緋和李』と申します。緋和李とお呼びください」


 スカートを少し持ち上げるようにして、頭を下げます。

 昔のアニメで、お嬢様校の生徒などがやっていました。


「何だい、それは?」


「昔、アニメで見たポーズです。お嬢様がやっていたので、このような場でなら使っても、違和感を大きく感じないかと思いまして」


「フフフ。そうか。緋和李君、でよかったね。そちらの君が楓花君か」


「は、はい!『華僑 楓花』です。楓花と呼んでください!よろしくお願いします!」


 憧れの先輩にあったからなのか、少々慌てていますね。

 そんなところも可愛いのですが、今回は少しお手伝いしましょうか。


「楓花さん。まずは落ち着いてください。はい、深呼吸」


「は、はい。スー、ハー・・・・有難うございます。少し落ち着きました」


「それなら良かったです。水智様をお待たせしてはいけませんよ」


「はい。私は『華僑 楓花』と申します。どうぞ楓花とお呼びください。水智様」


「落ち着けたようで良かったよ。楓花君、これからよろしく頼むよ」


「?はい!」


 水智様の言葉に、少し違和感があったようですが、そこまで気にならなかったようです。


「ふむ、ふむ。君が僕の『妹《ソラ―》』か」


「ええ!?私が水智様のソラーですか!」


「なに?僕じゃ不満かな」


「いいえ!逆です。物凄くうれしいです!これからよろしくお願いします。お姉さま」


「ああ。しばらくの間だけど、こちらこそよろしく。そう言えば、緋和李君のお姉さまは、文華君になっていたはずだよ」


「本当ですか」


「僕の記憶が正しければ、だけども。それは確かだよ。緋和李君には、彼女の心を崩せるかな」


「何かおっしゃりましたか?」


「いや、何でもない」


 うーん‥‥考えても仕方がありませんね。

 そろそろ、自分の部屋へ行きましょう。


「私は二階が寮室ですので、ここで失礼します」


「そうか、僕たちの部屋は、139番だ。何かあったら、来るといいよ」


「ありがとうございます。何かありましたら、頼らせていただきます」


「緋和李さん!また明日です」


「楓花さん、またお風呂で」


「そうでした!?」


「では、また」


 楓花さんは、お風呂に入らずに寝るつもりだったのでしょうか?

 まあ、彼女のことですので、覚えていたうえで私と入る時間が同じことを忘れていたというところでしょう。




 私は階段を使い二階へと上がりました。

 私の寮室は207番です。階段のすぐ近くにあるようだったのですが‥‥上る階段を間違えてしまったようです。

 仕方がないので、徒歩で移動します。


 思ったよりも遠かったです。三分ほどでついたのですが、まあ、良しとしましょう。


コンコン

「どうぞ」

「失礼します」


 中に居たのは、水智様がおっしゃていた通り、白崎様でした。


「『秋峰 緋和李』と申します。これからよろしくお願いします」


「『白崎 文華』よ。よろしく」


 しばらくはまともに話せそうにはありませんね。

 先程、水智様がおっしゃっていたのは、こういう事だったのでしょうか。


 部屋の中にはベッドと机、そしてタンスが2つずつありました。

 白崎様は、その片方を使っているようですが・・・・・あまりにも、床に服や本が散らかりすぎている気がします。

 お姉さま方は、今月の頭からこちらの寮室へ移動したと聞いていますが、まだ1週間も経っていません。

 それでここまで散らかっているという事は、面倒くさがりなのか、単純に整理整頓が苦手なのか。そのどちらかでしょう。

 まあ、この様子を見るに、後ろの方が当たっている気がしますが。白崎様は、服を片手に。もう片方には下着をお持ちです。


「お姉さま、お手伝いしましょうか」


「‥‥お願いするわ」


 まさか、最初にすることが部屋の片づけになるとは思いませんでした。

 私は、家事は得意な方ですし、どちらかと言えば楽しんで出来ますが、流石に寮室に入ってすぐにやることになるとは思ってもみませんでした。


「お姉さま、まずは物ごとに分けましょう。衣類なら衣類、上着なら上着、下着、本。どれがどれなのか少し分かり難い状態ですので、先に仕分けをしましょう」


「分かったわ」


 見た目や雰囲気はクールビューティーな白崎様ですが、家事全般全て苦手————と言うよりは、やった事がないようですね。



—————それから一時間後


「終わりましたね」


「ええ。助かったわ。ありがとう」


「いいえ、お姉さまのためですので」


「そう」


 白崎様は口数が少なく、表情の起伏が小さいために、クールビューティーのイメージが強いだけだったのかもしれません。


「お姉さま。改めまして。これからよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしく」


ここまでお読みいただき有難うございました

では、次回予告を楓花ちゃんからしていただきましょう


「皆さん、こんにちわ!そして、初めまして!

華僑(かきょう)楓花(ふうか)です

今話で、私達にお姉さまが出来ました

正式に契約しなければ、半年ほどで一度解消するようですが、私は水智(みさと)様の(ソラー)になれて、本当にうれしかったです!

今話の感想はこの辺りにして、次話の予告に移ります

次話では、学寮での日常の風景が描かれています

そして、緋和李さんの意外な一面も見ることができて、おすすめです!


私からの予告はここまでです

次話の投稿は、本日の6時から8時の間のようなので、そちらもよろしくお願いします!」


楓花ちゃん、有難うございました


では、作者からのお願いです

面白い、また見たい、続きを早く読みたい、と思っていただけた方は、ブックマークと下にある☆を★にしていただけると嬉しいです

励みになるので、どうかよろしくお願いします!


では、また次回お会いしましょう!

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