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ファントムシュナイツ  作者: 聖花 シヅク
第0指令:始まり
2/18

1話:始まりの物語

はい!シシノです

皆さん知っての通り、この話までで一時投稿停止になります

既に6話までは書き終えているので、投稿の予定はありますが、大体20話ほど書き終えてからの投稿にする予定です


では、本編直前特別話へまいりましょう!

この話の最後に本編の告知があります

これは本編に繋がる、最初のお話

『1話:始まりの物語』どうぞ!



 この地球という星を、世界のシステムを大きく変貌させた大厄災『第一の天災(ファーストクラディス)』から、早20年が経過した。


 この20年の間に世界の情勢は大きく変化した。いや、世界のほとんどが異界から来たとされる『ファントム』と言う謎の生命体によって、占領されてしまったというほうが正しい。

 現在の人間の自由に移動できる範囲は世界のごく一部であり、国で言えば日本を残すのみとなっている。

 『第一の天災(ファーストクラディス)』から1年と少しで、地球の約半分が『ファントム』によって占領されたと言われている。

 『ファントム』は核兵器でもまともに傷つけられない、謎の能力を保持していた。

 それを『マギ』と名付け研究していたが、一向に研究は進まなかった。

 そして、1年経ったある日、ようやく『ファントム』に対抗する手段が誕生した。


 それは、偶然と言ってもおかしくない状況だった。

 ある少女が自身の妹を助けるために、『ファントム』に立ち向かったのだ。

 そして、偶然にも———いや、必然だったのかもしれない。その少女は『ファントム』を撃退したのだ。

 それから研究は一気に進んだ。

 『ファントム』を撃退した少女には、同じく『マギ』を保有していたのだ。

 それからと言うもの、世界の首脳陣たちは『マギ』を保有する人間を血眼になって探した。

 そのうちにあることが判明した。『マギ』は一定年齢層の一部の少女にしか宿っていなかったのだ。

 一定の年齢層に達するまでに保有者は徐々に『マギ』を増やしていき、それを超えると徐々に『マギ』が減っていく。



 『マギ』の保有が判明した少女たちは、『ファントム』との戦いの最前線へと送られた。

 しかしながら、『マギ』を保有しているとはいえ、少女だ。戦いの技術を持っている者などいないに等しく、ペースは落ちていったが徐々に徐々に人類の生存圏は減っていった。

 それから約20年。今では日本のみしか生存圏は残っていない。

 ———日本だけは死守しきったといってもいいのかもしれない。


 現在の日本ではマギ保有者の少女たちのことを『シュナイツ』と呼び、少女たちは自身の意志で断ることもできるが、シュナイツ育成学校へと入り、戦闘技術を学びながら生存圏を増やすために戦い続けている。


 






『ファントム襲来!全員配置に付け!』

『ヤ―』


 壁越しに聞こえる、指令と自衛隊の人たちの声。

 敵はただ一体のファントム。しかし、私達人間には対抗手段が無かった。


「お姉ちゃん‥‥私達大丈夫だよねぇ?」


 不安げに聞いてくる妹の声。

 そして、あたりに響くのは住民たちの悲鳴、悲鳴、悲鳴。

 時々混ざるのは自衛隊に対する罵倒だ。自衛隊に対して当たるのは間違っている。

 そんなのは皆痛いほど理解しているのだ。それでも当たらずにはいられないのだろう。


「大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってあげるから!お姉ちゃんは最強なんだから!」


 妹には気休め程度にしかならないのかもしれない。

 もしかしたら、妹を慰めようとしているのではないのかもしれない。

 自分に言い聞かせているだけなのかもしれない。『私達は助かる』『私達は大丈夫だ』

 絶対なんて言葉、今は考えることも出来ない。それが第一の天災(ファーストクラディス)から続く日常だ。

 私はその時は勘違いをしていた。


『どうせすぐに、世界のだれかが対抗策を見つけるんだろうな』


———と。


 そんな訳がなかった。

 あれはそんな生易しいものではなかったのだ。

 現実問題はそれだけではない。無限にも続くような戦争のあと。

 今まで世界には戦争の無かった時期なんてほとんど無いだろう。

 収まりつつあったそれが、また繰り返されることになるのだ。

 今回はいつもとは全然状況が違う。今まではあくまで人間が相手だったのだ。

 相手が人間ならば、自分たちも同じく人間だ。しかし今回は謎の能力を持ち、アクションアニメさながらに、ビームなんかも放つ異形の化物だ。


 もう、私達の住む場所にファントムが現れるようになる、その頃にはすでに人類のほとんどが生存を諦めつつあった。

 それでも、諦めきることができなかったのだ。それが人間だ、仕方がない。

 死ぬために生きるのは人間ではないのだ。それはただの生きた屍だ。


 私は虚勢を張ってでも、妹を安心させたかった。

 妹が不安になっていると、自分もどんどん不安になってしまいそうで、怖かったのだ。

 徐々に徐々に、周りからは悲鳴も罵声も聞こえないようになっていった。

 自衛隊が街を守り切ったのだろうか?

 そう思い、家の窓から顔を出した。


 それが間違えだったのだ。

 出すべきではなかった。私が出してしまったから、妹も半ば安心して一緒になって、窓へと乗り上げてしまったのだ。


「危ない!」


 私は妹を殴る様に弾き飛ばした。

 痛かったかもしれない。でも、死ぬよりはましだろう。

 なにせ、窓を壊し———溶かし、私たちの家も突っ切る様にビームが通ったのだから。


 危なかった。妹を死なせるところだった。

 でも、この状況はまずい!妹は死にかけたばかりなのだ。まともな精神状態のはずがない。

 すぐに逃げないと!でも‥‥何処へ?


 安全な所などどこにもない。

 あいつら(ファントム)はどこに居ようとも関係が無いのだ。

 無理矢理ビームで溶かすこともできるし、おそらく他にも能力を持っているのだろう。


「逃げるよ!」


 行く当てなど何処にもない。でも、私は妹の手を握り、走った。走った。

 不安を忘れられるように、ともかく一心不乱に。妹がどんな状態なのかも気にせずに。


 走り続けた。出来るだけ高いところへ。

 どこへ逃げるのが正解かなど分からなかった。

 だから、何かで聞いたことを頼りに、高いところへと逃げた。

 ファントムへの対処法ではないのだろう。そんなのが無いことは分かっているのだから。


 ただ、不安を和らげたかっただけなのだ‥‥

 それを理解した瞬間に、私の脚から力が抜けた。

 妹を見ると、死んだ魚のような目をしながら、私の後ろをつけてきていた。

 妹は靴も履いていなかった。そのことに気付くと、他にも気づいた。私も履いていなかった。


 今日はずっと家にいる予定だったのだ。

 部屋着のままで出てきてしまった。まあ、これは逃げるためだし、仕方ないか‥‥


「大丈夫?」


 大丈夫といってほしかっただけなのかもしれない。

 どう見ても精神状態が大丈夫に見えない妹に、そう尋ねてしまった。


「お姉ちゃん・・・・・わたしたち、しんじゃうの?」


 ああ、今になって理解した。

 不安なのは私だけではなかった。いや、分かっていたはずなのに、見て見ぬふりをしていただけなのだ。

 今にも死にそうな顔をしている妹。そして、街の方を見ると一面焼け野原のようになっていた。


 よく見ると、数体のファントムが私達のいる方へと登ってきている。


「逃げるよ」


 妹だけは死なせたくない。

 その思いからか、脚に力が少しだけ戻った。

 疲れているのに変わりはない。もう走れるほど体力も残っていない。

 それでも、妹だけは逃がしたかった。たった一人の、家族だから‥‥


「もう、やだよぉ」


 妹はそう言って泣き出してしまった。

 それはそうだ。今まで、私の言った虚勢を何とか信じようとして、絶対に嘘だと分かっていても、それを信じて。だから今まで心が折れていなかっただけなのだ。

 さっき死にそうになってしまった。

 私が必至な顔をして逃げようとしている。唯一の望みが切れてしまったのだ。

 心が、完全に折れてしまったのだ。


 もう、助けが来ないことを理解してしまったのだ。

 死ぬしかないことを‥‥その、まだ小学校にすら通っていない、小さな体で。理解したのだ。


 私が、しっかりしないと。

 妹だけは助けないと。どうやって?


どうやって?どうやって?どうやって?どうやって?どうやって?どうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやってどうやって


 いくら考えようとも出てこない。

 それは当たり前だ。世界中で考えられて、それでも出てこないのだ。


 そうだ‥‥なんだ。かんたんなことだったんだ‥‥

 あいつらのふしぎなちからをこわせないなら、わたしたちも、そのちからをつかえばいいんだ。


 そう考えてからは速かった。

 すぐにあいつら(ファントム)と同じ力を使おうとした。

 でもどうやって?


 昔から他の人には見えないものが見えていた。

 それはファントムの出現よりも前からだ。

 そして、私たちの周りにもある紫色のモヤモヤが、ファントムの周りにはより多くあった。


 ああ、それを使えばいいのか。

 私はそのモヤモヤを、掴めるだけ掴んだ。

 実態などあるはずもない。それなのに掴んだ。


 そして、それを掴んだまま、ファントムを殴った。

 殴った、殴った、殴った。


 動かなくなるまで殴り続けた。


「もう、大丈夫だから。私が、絶対に守るから」


 妹に向けて、そう伝えた。




 その後のことは覚えてない。

 気づいたら施設にいた。妹も一緒だ。

 何か検査も行った。多分、ファントムを倒した能力に興味があるのだろう。

 私は分かることを、分かっているだけ伝えた。

 自分自身。何が分かっているのか、理解していない。

 でも、あのモヤモヤ。あれがファントムの力だと分かった。




 これは【対ファントム】において、世界で初めて確認された、対抗手段であり、【シュナイツ】誕生の瞬間だった。

 この出来事からおよそ20年。1人の少女がシュナイツとなった。


 これは、1人の少女を中心に廻る、人間の生存圏を死守し取り返すために戦う少女たちの物語である—————


ここまでお読みいただき、ありがとうございました


この話は、本編に大きな関わりはありませんが、本編の前に過去の話を投稿してみようと思い、ファントムとシュナイツの戦い、その始まりを投稿しました

なお、初めてファントムを倒したのは、主人公である緋和李ちゃんとは全く関係がありません。そもそも、この時まだ、生まれていません


では、緋和李ちゃんから本編の告知をどうぞ


「皆さん、初めまして。秋峰(あきみね)緋和李(ひおり)と申します

この『ファントムシュナイツ』は、ファントムにあらがう私達『シュナイツ』の物語です

私達シュナイツのファントムが現れなければなかった、非日常を描いた作品となっております

戦闘、悲劇に喜劇、その他にも、私達の普段をお送りします

そう言えば、私達の大先輩。初めてファントムとなった方はどなただったのでしょうか?

その話も本編で明かされるかもしれませんね

では、『ファントムシュナイツ』本編、お楽しみに待っていてください」


以上、緋和李ちゃんからの宣伝でした

面白そう、本編が気になる、と思ってくださった方は、ブックマークよろしくお願いします!

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