表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファントムシュナイツ  作者: 聖花 シヅク
第2指令:ESS
18/18

8話:樋波の戦い

前置きは無しにして

では、17話『樋波の戦い』お楽しみください


■■■■■

side.鈴


「さあ、時間よ」


 鈴の言葉を合図に【無窮の幻想(ファンタズム)】は会場へと出た。

 控室は地下に存在しており、試合が始まったら階段は閉じられ、その奥にオーブが置かれている。

 実力で劣る相手に対しどのような作戦で戦うのか、その一点が【無窮の幻想(ファンタズム)】に対し求められた期待であった。


『選手が入場してきました!西側から入場してきたのは、今大会優勝候補筆頭である【聖杯(カリス)】です!全大会とメンバーは一人も変わっておらず、実力は折り紙付きです!対するは栄菟女学院の決勝で、今大会優勝候補の一角でもある【不滅の戦姫(シルヴィン)】と死闘を演じた【無窮の幻想(ファンタズム)】です!この本大会出場チームで初めての、1年生のみで編成されるレギオンとなります。実力は未知数ではありますが、やはり【聖杯(カリス)】の勝利が確実視されています』


 聖杯(カリス)の勝利が確実視される理由の一つは、昨年度1年生3人を中心に据えたレギオンであったにもかかわらず、圧倒的な実力で優勝を搔っ攫っていったことが大きい。


『試合開始の時刻まであと10秒!皆でカウントしましょう!せーの!』


『10!』


 選手の中に緊張が走っていく。いや、聖杯(カリス)の中には走ってるようには見えない。


『9!』


 会場にいる観客の声が会場中に響き渡り、会場が振動する。


『8!』


 会場の観客のほとんどが聖杯(カリス)の勝利を望み、無窮の幻想(ファンタズム)の勝利を望んでいる者は殆どいない。


『7!』


「さあ皆。アナウンスが言っていた通り、私達の勝利なんて信じられていないわ。どれだけ泥臭くてもいい。全力で勝ちに行くわよ」


『3!』

『2!』


「行きましょう!」


『1!』


『レディー…Fight!』


 それを合図に、試合は始まった。

 試合の開始と同時に鈴とそして、イリアが樋波を背負って駆け出した。


 樋波の強さはあくまで能力だより。

 身体能力はあまり高くない。正直、イリアが背負って走った方がかなり早いだろう。


「あと10秒程度で接敵するけど、それは無視して進むわ。私達に攻撃してきた場合にのみ戦闘を開始。ここは樋波に任せるわ」

「りょーか~い」


 戦闘能力ではイリアや鈴が残った方が耐えられるかもしれないが、落とせる確率が高いのは樋波だ。

 恐らく接敵したとして、こちらに攻撃を仕掛けてくるのは一人だけだ。ならば樋波にはここで一人を落としてもらい、その後で集合した方が勝率は上がる。まあ、ここで3傑の3人のうち1人が私達の足止めに回る確率は高いので、樋波では落とせないかもしれないが、その場合は全力で逃げに回る手はずになっている。


「じゃあ、全力で駆け抜けるぞ!」


「敵をはっけーん!私、攻撃を開始します!」


 自分のことを説明するかのように、藏越五鈴が攻撃を開始した。


「じゃあ、樋波。よろしく頼む。必要以上に攻めすぎないようにしてくれ」

「ん。じゃあ、行く」


 一回戦。最初の攻防が始まった。


■■■■■

side.樋波


「じゃあ、やろうか!」


 五鈴はそう楽し気に告げた。

 樋波はそこまで乗り気ではなかったが、鈴に頼まれたことだと割り切って戦う事にした。


「しょーが無いなー。じゃあ、やろうか」


 事前の情報では近距離戦闘タイプだと聞いていた。

 実際近距離戦闘の方が得意なのだろうが、『触ればこちらの勝ちだから』という事で、樋波は近距離戦闘の相手の方を得意としていた。


「こっちから行くよ。《速く》」


 次の瞬間、五鈴は樋波の懐へともぐりこんでいた。


「はや‥‥」


 樋波は軽々と避けたようにも見えたが、かなりギリギリだった。

 速さだけで言えば、予選の決勝で戦った緋和李にも匹敵するほどだ。


「次!《強く》」


 『ドンッ』と言う音と共に、地面を大きくへこましながら樋波へと突撃してくる。


「それなら《我が敵よ、眠れ》【強制睡眠】」

「そんなの効くかぁ!はい、ドーン!」


 何事もなかったかのように樋波へと突撃してくると、樋波は殴られた勢いで後ろの木にまで飛んでいく。

 樋波は丸太で殴られたかのような衝撃を受けながらも、ふらふらとではあるが立ち上がる。


「うっ…痛い」

「およよ?これでも駄目か~。じゃあ、次はもっと強くいっくぞ~!」

「次で、終わらせる」


 樋波は五鈴がもう一度目の前から突撃してくると考えていた。

 実力差で五鈴は自分よりも圧倒的に勝っているのだ。当然と言えよう。

 だが、勝負では自分が勝てる。そう考えていた。


「《全てを眠らせる混沌の闇よ、我が敵を夢へと誘え》【我夢界住主也(ドリームワールド)】」


 五鈴が樋波に触れたその直後、2人はその場へと倒れこんだ。


■■■■■

side.樋波の夢


「およよ?ここはどこだい?」


 五鈴は少し驚いたような表情を見せているが、そこまで焦ったような感じは出てこない。


「ここは夢の中。あなたには試合が終わるまで、ここにいてもらう」

「樋波ちゃんだったけ?君を倒せばここから出られる?」

「‥‥出られるよ。でも、私に勝つことは出来ないよ」

「それはいい事を訊いた!じゃあ、やろうか」


 五鈴はその場で構えると、樋波へそう告げた。


「あなたの攻撃は私には届かない。これは決定事項」

「そんなやってみないと分からないでしょ!はっ!」

「強さの問題じゃないよ。この世界で私に敵うものはいない。この世界で私は最強だから」

「へぇ~。ちょっと燃えてきたよぉ!」


 五鈴は大きく息を吸うと、また構え直した。さっきとあまり変わらないように見えるが、何か変わっているのだろうか?


「《天地を揺るがす始祖の力よ、我が身に宿りその猛威を振るい給え》【शिव(シヴァ)】」

「何で超絶技(スキル)が使えるの!」

「何でと言われても、ねぇ。つかえたから?」


 五鈴の使った『शिव』は神華とほぼ同等のものだ。

 覚醒と神華の間にあるもので、緋和李で言えば【暴食覚醒グラトニー】がそれにあたる。

 覚醒よりはマギを大きく消費するが、神華とは違い大きな代償を必要としない。


「じゃあ、いくよ」


 そう言った五鈴は地面を力いっぱい殴った。


「何をやって…!」

「もう一発!」

「しゅ、修復!」


 樋波は急いで夢の世界の復元を謀る。

 しかし、五鈴が殴るたびにその世界は破壊されていき、復元は追いつきそうもない。


「これで、最後ぉ!」


 その一撃で夢の世界は完全に崩壊し、次の瞬間、現実で意識を取り戻した。


「何で、あんなことができるの‥‥」

「シヴァ、わかる?破壊と再生の神なんだ。それで、私の超絶技(スキル)はその力をこの身に宿すこと。それ相応に代償はあるけど、軽い筋肉痛とかだね。神華まで使うとちょっときついんだけど、まあ、それは早々使わないからね。じゃあ、これで終わりだよ」

「まだ、負けて…ない!《全ての夢を喰らう白豹よ、我が願いに応じ夢を喰らえ》【バク】!」


 神華の一歩手前。樋波も学園に入ってからの一月半で、この域にまで達していた。

 神華を使えるわけでは無いが、それでも簡単に倒されることは無くなった。


「神華‥‥ではないかな。【शिव(シヴァ)】も解けているみたいだし、ちょっと危ないかな?

《破壊と再生を司る神よ、我が願いに応じ再生の力を授け給え》【無限再生(リバイブ)】」


 破壊の力と再生の力を併せ持つのがシヴァである。先程使ったのが破壊のみの力を優先した能力で、今使ったのは一瞬で死なない限り、無限に復活を続ける再生の能力だ。覚醒超絶技であり、五鈴の切り札の一つだ。


「あ、れ?」


 それにも関わらず、五鈴は意識を失いかけた。

 いまだに足取りが定まらない。意識を失いはしないが、今何をしているのか、分からなくなる。


「もう、すこし‥‥」


 徐々に五鈴の意識は薄れていく。それに従って樋波の顔は青く染まっていく。


「あと、ちょっとで‥‥‥」


 その言葉を吐いた直後、樋波はその場に倒れこんだ。


「はぁ、はぁ…あ、危なかった~」


 五鈴もあと5秒も長く能力が使われていたら、超絶技(スキル)を使用していなかったとすれば、負けていたとしてもおかしくない状況だった。


「今回は私の勝利、だぞ!」


 五鈴はそう言い残すと、すこし重たい足取りで無窮の幻想(ファンタズム)の本拠地へと向かっていった。


■■■■■■

side.鈴


「樋波さんは負けてしまったようですね」

「樋波が?」

「ええ。ですが、悲しむのは後にしましょう。今は目の前の相手に集中しましょう。本気で相手をしたとしても、勝てる確率の低い相手ですからね」


ここまでお読みいただき有難うございました

書き溜めしてあるのはここまでです

また、少し書き試したら投稿します


投稿していなかったのは、新生活や試験期間に被さったためです

他の作品も書いてはいたので、その内に投稿すると思います


【※閲覧者の皆さんへのお願いです】

面白い、また見たい、続きを早く読みたい、と思っていただけた方は、ブックマークと下にある☆を★にしていただけると嬉しいです

励みになるので、どうかよろしくお願いします!


では、また次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ