表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファントムシュナイツ  作者: 聖花 シヅク
第2指令:ESS
17/18

7話:ESS本選開始

久しぶりの投稿です

二話しか書いていないので、この話を投稿してから少ししたら投稿します

では、16話『ESS本選開始』お楽しみください


 ついに待ちに待ったESS本選の前日となりました。

 出場チーム(レギオン)は6つですが、1日目はそれぞれの学院の準優勝チームによる総当たり戦になります。

 実際の本選は2日目からと言われているほどで、1日目には優勝候補3チームは出場しないのです。

 準決勝は1日に1試合ずつ行われ、私達の出場は3日目です。対戦相手は白崎女学院の【守護の盾(ガラハッド)】です。

 昨年は3年生中心のレギオンで、残った2年生3名が中心となり、新体制の今年は望んで来たようです。昨年度の最終成績は4位でした。昨年は先輩たちと当たっていないので、戦い方は人伝にしか分かりませんが、超攻撃型のレギオンのようです。それで守護、盾とは笑えますね。

 去年も攻撃型のレギオンだったようなのですが‥‥どうして守護や盾とつけたのでしょうか


『みなさ~ん!こんに~ちわ~』


 会場は静まり返りました。まさか、あの人がこの大会の主催者だとは言いませんよね。主催者の年齢は40を超えていたはずなので、見た目10代後半から20代前半にしか見えないあの人は、どこかの学院の放送部か何かでしょう。そうだと言ってください(切実に)。

 しかも何故かゴスロリ。予選の時の放送部はアイドルのような衣装でしたが、そう言うのが流行っているのでしょうか?


『私は神鏡女学院、放送部部長である藏越(くらこし)五鈴(いすず)だよ!皆!よろしくね~!』


 藏越…五鈴?まさか、【聖騎士】?

 私は名前を訊いても、信じきれませんでした。もう少し厳格な人がトップに立っていると思っていたからです。流石に、あそこまで自由奔放な方だとは思ってもみませんでした。


『知っている人も多いと思うけど、私は【聖杯(カリス)】のメンバーの一人だよ!去年は優勝したけど、油断する気はないからね!私達に勝とうとする人がいるならば、いつでも勝利は受け付けるよ!全力で迎え撃つからそのつもりでね!』

「藏越!何をやっている!今すぐにそこから降りろ!」

「い、五鈴さん。そ、そこから降りてください。うぅぅ。目立って恥ずかしいです…」


 聖騎士に向かって怒っているのは、いつも怒っているような、風紀委員?のような人ですね。黒髪黒目で生粋の日本人のようです。彼女が守護の【神盾(クライペルス)】朝比奈鏡花さんでしょうか?かなり帯びているマギの量も多いですね。

 もう一人は何を言っているのか分かりませんね。バランスの【聖帝王(サンクタスロード)】神谷・D・ネオンさんですかね。金髪青目の西洋系でしょうか?まあ、今の時代。日本しかないので西洋も何もないのですが。そう言えば、20年前まで日本の自給率はかなり低かったと聞きますし、驚きですね。時代の流れとは凄いものです。


 それは置いておいて、2人がかりで藏越さんを引きずりおろした聖杯は、一つこちらに頭を下げると列へと戻っていった。

 かなりテンションの高い方でしたね。実力は高いのだと思いますが、ああ言う方は少し苦手です。あのハイテンションで近づかれると、すぐに離れたくなります。


『では、気を取り直しまして、今大会の運営委員会、会長からお話を頂きましょう』

「こんにちわ。ご紹介にあずかりました、運営委員会会長の柳田(やなぎだ)圭子(けいこ)と申します。私はマギが発現するよりも前に、マギが無くなる年を越えてしまっていたので、ファントムと戦うのがどれだけ厳しい事なのかは分かりません。ですが、戦闘とは別の方法で、多少なりともあなた達シュナイツを応援、援護を出来たらと思っています。この大会はその一環で、あなた達の実力を見せあい、目標を見つけ追いつくための大会になればと思っています。では、これで私からの挨拶を終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」


 会長の挨拶の後も数人の挨拶が続き、開会式が終わった後は自由時間となりました。




「では、これよりミーティングを始めるわよ。まずは、1戦目の守護の盾(ガラハッド)について対策を立てたいと思うのだけど‥‥実力は去年とはかなり変わっていると思うのよね。昨年あそこと戦ったのは私達だったから、3年生たちの内3人の実力は分かるのだけど、下の学年は良く分からないのよ。それに、去年はいなかった3年生も2人増えているわね。本選は基本的に、実力が分からないのが怖いところね」

「まあ、条件は同じだからね。相手もこちらの情報はほとんどないだろう。私達は今大会、基本的に個人技で戦ってきたから、個人技だけのレギオンだという噂も広がっているかもしれないね。会長はそこまで見越していたのかな?」

「そんなわけないでしょう。偶然よ。偶然。まあ、それはいいとして、相手のレギオンは攻撃主体のレギオンと言う噂よ。私達はバランス型のレギオンだから、戦い方は退いてカウンターか、真正面からぶつかるか選べるわ。どうする?」

「先輩。その事なのですけど。本当に守護の盾(ガラハッド)は攻撃主体のレギオンなのでしょうか?」

「どういう事かしら?」


 少し気になっていた事ではあります。いくら攻撃が強いとはいえ、それだけで予選をトップで通れるほど甘くはないはずです。


「攻撃主体のレギオンなのでは無くて、守備が完璧だから攻めているレギオン、と言うわけでは無いのでしょうか?私達の場合もそう言った形ですが、あくまで守りは最低限ですよね。それが相手のレギオンも同じと言う訳ではないのですか?」

「言いたいことは分かったわ。でも、あそこは去年も攻撃型のレギオンだったのよ。去年から残っている3人は守備に回っていたけ、ど‥‥まさか!」

「ええ。3人で守り切って、私達をちまちまと削っていく作戦の可能性もあります。攻撃型のレギオンとは一種のブラフかも知れません。まあ、その3人以外、全員が攻撃型の選手の可能性は否定しきれませんが」


 実力はかなり高いはずだ。それに、本選は予選とは少しルールが違う。

 相手陣地にあるオーブに触れば勝利となる。陣地はちょっとした祭壇のようにもなっている。それをいじるのも自由だが、オーブの移動は出来なくなっている。相手を全員倒せなくとも、敵の陣地に入れば勝てる確率はぐっと上がる。

 その陣地の中では超絶技(スキル)が使用できないので、白崎様のように影の中に潜んで侵入、などは出来なくなっています。

 そして、洞窟の中はあまり広くはないため、大抵の場合は1対1になるでしょう。

 それに加え、洞窟の中は広くないので、攻撃力特化の大剣使いや、防御特化の大楯使いなども入れなくなっています。正確には戦いにくくなるだけなので、この表現は間違いですかね。


「まあ、どんな相手でも、真っ向から叩き潰せば同じですね。ちまちま攻撃してくるのであれば、その事ごとくを潰して相手の陣地も落としてしまいましょう。幸いにも校章のルールは予選と同じですし、6人が攻撃に来たのであれば私一人が残ってもいいですよ」

「そのことは追々考えるとして、もしもの場合には緋和李さんに任せることになるわ。その時はよろしくね」

「はい。お任せください」


 その後も作戦会議は進んでいき、1時間ほど過ぎたところで会議は終わりました。

 作戦は行き当たりばったりになってしまったが、いくつかのパターンを考えそれにあった対抗策を考えました。

 ここの実力では負けていないはずですが、チームになるとどちらが勝利となるかは分かりません。

 だからこそ、勝っていると分かっている、個々の実力の部分から作戦を考えました。

 最悪は私が洞窟の中で敵からオーブを守り、攻撃の敵を全員倒したら皆さんに合流することになりました。

 1対6ならばいざ知らず、1対1を6回やるのであれば体力以外の原因では負ける気はありませんからね。


「ではこれで、明後日の作戦会議を終わりにします。皆さん、この後は自由にしてくださって大丈夫ですよ。ですが、羽目を外しすぎないように気を付けてくださいね。ここには学校の代表として来ていることを、くれぐれもお忘れなきように。では、解散です」


 会長の言葉が合図となり、私達は解散した。

 それぞれ思い思いの晩を過ごし、一晩が開けた。


「皆さん。今日は本選の2回戦とは名ばかりの初戦にして、準決勝が始まります。1回戦は昨年度の王者『聖杯(カリス)』と、我が校の代表でもある『無窮の幻想(ファンタズム)』の対戦となります。無窮の幻想(ファンタズム)の皆さんは、昨日の試合もあったので多少の疲れはあるかもしれませんが、それでも惨敗となることは無いと思います。明日は私達の試合ですが、勝つことは当然の目標として、今日は彼女たちの試合に集中しましょう」

「…彼女たちなら、聖杯(カリス)からもそれなりに実力を引っ張り出せると思う。最悪はイリアの覚醒超絶技(スキル)があるから、一方的な試合にはならない‥‥でも、無窮の幻想(ファンタズム)に勝ち目はないと思う」


 なぜ、でしょうか?彼女たちの実力は、決勝戦で接戦を演じた私達が良く分かっているはずです。


「何で、って思ったでしょ。理由は簡単。聖杯(カリス)には神華を主力3人が全員使える。他の4人も覚醒はしていると思う。いくらイリアの実力が高くても、神華持ち3人を同時に相手にして勝つことは不可能。せめて、誰か一人でもイリアの域に達していれば、実力上での勝率は5%程度までは上がると思う。元は0%」


 そこまで実力が高いのですか。聖杯(カリス)の3人は全員が神華を果たしているとなると、私一人での対処も難しいですね。一人だけだとしても、かなり厄介ですから。イリアさんが私達のレギオンに所属していれば勝率はかなり高くなると思うのですが。無いものねだりはダメですね。

 これに関しては自分の実力不足ですからね。


「では、見に行きましょうか」

「「「「はい」」」」




■■■■■

Side:(れい)


「さて皆。今日は待ちに待った本選よ。予選では苦汁をなめさせられたけど、本選では今度こそ優勝を果たすわよ!」

「ああ」「うみゅ」「ん、分かった」


 返事だけを訊くとふざけている様にも感じるが、この倍にいる4人は全員が本気だ。

 つい半月ほど前の予選ではたった一人の同級生(緋和李)の前に負けてしまった。その頃から、今前にないほどの鍛錬を積み上げ、イリアの域とまではいかなくとも、他の3人も半年ほど前のイリアに近い実力にまで迫っていた。


「誰よりもつらい思いをしてきたのは私達だ。私達は誰よりも鍛錬を積んできた。相手は昨年度の優勝チーム(レギオン)である聖杯(カリス)だ。初戦の相手としてこれ以上ない相手だ。聖杯(カリス)に勝利して私達の実力を証明してみせるぞ!」


 他の3人も神妙な面持ちで頭を振った。

 3人とも今日は負けるわけにはいかなかったからだ。

 とは言え、負けたからと言って何か問題がある訳ではない。自分たちの中での問題だ。

 この本選の決勝戦で『不滅の戦姫(シルヴィン)』にリベンジすることが、全員の心の中で共通した思いであり、この半月死ぬような思いをしながらも訓練を続けた理由であった。

 そして何より、鈴はずっと何を取っても優秀な姉と比べられてきた。そして、唯一勝てる可能性のある狙撃の分野で、超絶技(スキル)が生えたのだ。

 そのことは鈴にとって苦痛であり、自分の実力の無さを恨んだ日となった。しかし、家族からは1つの分野とは言え、優秀であった姉に勝ったことで褒められた。それだけが救いであったと同時に、心をえぐられるような苦しみとなった。

 それを3人は知っているからこそ、彼女()の姉である生徒会長の雲雀の所属する、不滅の戦姫(シルヴィン)に勝つことが予選の目標だった。

 しかし、先程言った通り、その雲雀よりも優秀であった緋和李によって自分たちの勝利はついえた。


 現実とは非合理なものである。いくら努力したところで、本物の天才の前には屈するしかない。

 圧倒的な強者が何らかの理由で負けることもある。しかし、現実でそんなことはまず起きないだろう。

 創作物(フィクション)の世界ならば弱者が強者に対抗するために、何らかの力に目覚めることもあるのかもしれない。

 しかし現実は不平等だ。そんなことは絶対に起きない。今の世界でも、それまでの努力がギリギリで実ることはあっても、それは一種の才能であり、そうなった以上は弱者と言い切ることは出来ない。

 あくまで強者なりえるのは、才能を持つ者だけである。どれだけ努力をしようとも実力が伴わない者もいれば、全く努力をしないのに実力は圧倒的なものまでいる。

 緋和李や雲雀はマシな部類である。世間一般で言う所の努力する天才と言うやつだ。才能を持ち、それを己が目的のために磨く。そこまで努力できた理由も才能があったからだと言えばそこまでだが、努力したという事実だけは残る。


 しかし鈴は世間一般で見れば天才の部類に入ったが、本物の才能の前にはかすんでしまい、その才能が認められることはほとんどなかった。その結果、努力する凡才と言うように自身で捉えるようになった。

 だから自身の所属するレギオンが成果を収め、周囲からどれだけ褒められるようになっても、それは自身の仲間が強いからだと自分の強さに気付くことは無かった。いや、目を背けていただけなのかもしれない。

 自分には才能が無いのだと。自分自身に蓋をしていたのだ。


 勿論、レギオンに所属している3人には、鈴の才能は分かっていた。

 その上で、鈴に対して才能があるとは一度も言わなかった。ある程度は褒めた。

 彼女の作戦指示は自分たちの実力を底上げしてくれた。鈴の作る練習メニューは自分たちにあった物だった。きつ過ぎず、楽過ぎず。その間を取ったいいメニューだった。

 彼女のマネジメントのおかげでここまで強くなれたと言ってもいい。

 彼女と会ってそれから約4年。その間、自分たちの実力は他の人たちに比べても、圧倒的に強くなった。自分自身に蓋をかけてしまった鈴以外は‥‥

 鈴も勿論強くなった。それは、世間一般から見ての話であり、鈴の臨む強さではなかった。

 才能はある。実力を上げるための環境もそろっている。それでも強くなれなかった理由。それは、自分の心に蓋をし、自分の才能から目を背けてしまった鈴自身のせいであった。


 この半月で、鈴は見違えるほどに強くなった。自分の才能に向き合ったのだ。

 結果の伴わない努力は無駄だと言うが、実際には違うだろう。その努力は何かしらの形で自分の力となっているだろう。泥臭さしかり、そのままの実力しかり。彼女に必要だったのは努力ではなかった。

 彼女に必要だったのは、姉に追いつけるという自信だった。この間の試合で、自分は姉の作戦を出し抜けることを知った。

 自分の姉(本物の天才)でもイリア(天才)からは逃げるしかないことが分かった。どれだけ泥臭くてもいい。ちょっとずつ、少しずつ。地道に。その積み重ねが、最後には姉に繋がっていると信じて。彼女はこの半月努力を続けた。


「周りの言葉を訊けば、私達の勝利は絶対にありえないらしいわ」

「ああ、訊いた」

「そんなの関係あるの?」

「勝てばひっくり返る、でしょ」

「そうよ。勝てば会場の雰囲気なんて全部ひっくり返るわ。私達でひっくり返してやりましょう。そのための努力はしてきたわ。絶対に勝つわよ!」

「おう!」「「は~い」」


 二人は気の抜けた返事ではあったが、全員の士気が上がったことは間違いがなかった。


ここまでお読みいただき有難うございました


では、次話の予告を緋和李ちゃんにしていただきましょう




「こんばんわ、緋和李です

今話で初めて登場した、3人の圧倒的強者たち

その強者たちと最初に戦うのは、私達と予選の最後で戦った無窮の幻想になりました

聖杯の三人の実力は未知数ですが、4人もこの1月ほどで成長しているはずです

私達も負けないように頑張らないといけませんね


次話では樋波さんの全力が見られるようです

彼女はいつも眠そうにしていますからね

私もどれほどの実力者なのか、測りかねている状態です

戦うのは3人の内誰になるのか、乞うご期待です


では、また次話でお会いしましょう」


緋和李ちゃん、有難うございました


次話は、少し短くなっています。キリの良いところで終わらせるのに、少々短くなりました


【※閲覧者の皆さんへのお願いです】

面白い、また見たい、続きを早く読みたい、と思っていただけた方は、ブックマークと下にある☆を★にしていただけると嬉しいです

励みになるので、どうかよろしくお願いします!


では、また次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ