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ファントムシュナイツ  作者: 聖花 シヅク
第2指令:ESS
15/18

5話:ESS予選・終幕《中編》

遅れました、すみません


では、14話『ESS予選・終幕《中編》』お楽しみください

 試合が始まりました。

 静かな試合の入りです。

 試合の中で最も静かな時間がここですね。

 会場の盛り上がりもなく、ただただ、自分や仲間の息遣いだけが聞こえてくる。


 今回の作戦は、会長にとっても苦肉の策だったと思います。

 《総力戦(全面戦争)》言うは易し、行うは難し。

 実力的には、おそらくこちらの方が何段か上でしょう。

 しかし、会長にとってそれは関係が無かったのだと思います。


 作戦を練ったとして、相手に各個撃破をやられるとなると、私や水智様は兎も角として、白崎様や倉石さんは危険になります。

 会長の場合は本当に戦う事になったら危険かもしれませんが、おそらく戦う事になる前に気付き、隠れとおすでしょう。


「さて、みんな準備はいいわね」

『はい!』


「行くわよ!」


 会長の合図で私達は駆け出しました。

 観客席の方を見ると、かなり動揺が広がっています。

 それも当然でしょう。会場にいる人たちのほとんどが高度な戦略戦、または、ここまでの2試合のように、本陣に数名が突撃すると思っていたでしょうから。


 しかし、私たちは全員で駆け出しました。

 恐らくは相手も同じです。


「接敵10秒前!」

『了解』


 先輩の予知によって、大まかな接敵までの時間は分かります。

 かなりマギを消費するようですが、数十回は使えるほどマギの量は多いそうです。


「3,2,1!行って!」


「分かっています」


 白崎様は気配を殺し、私達の少し先を道をずらして走っていましたが、相手の姿が見えたのと同時に、横から奇襲を仕掛けました。


「《聳え立て》【嶺壁(れいへき)】!」


 茨ヶ咲さんの反応が予想以上に速いですね。

 あちらも、この位は予想していましたかね。


「《敵を弾け》【盾撃(プッシュガード)】!」


「《我陰に潜む》【潜み影(ダイブシャドウ)】」


 ギリギリでカウンターを避けられたようですね。

 最初の攻防ですが、どちらにも軍配が上がったとは言えませんね。

 こちらとしては相手の混乱を、相手にとってはこちらのメンバーを1人削ること。それを狙っていたのだと考えられますから。


「じゃあ、行きますので、援護はお願いします」


「緋和李さん、お願い」


「はい!」


 少し離れたところですが、距離にしたら5m程度。一瞬で詰められる距離です。


「【紅流:岩斬(いわきり)】」


「チッ、面倒な!《受け流せ》【壁流(ウォールスルー)】」


 流石に反応しますか。


「【紅流:華僑昇龍】」


「《壁よ押しつぶせ》【堕壁(ウォールプッシュ)】」


「【紅流・弐ノ剣(にのけん)二繋(ふたつなぎ)】【天翔】【天埀星】」


 紅流にある、弐つ目の到達点。武器ごとに7つずつ存在する技で、絶技と呼ばれる。

 今使ったのは、剣の2つ目の技です。正確には武器を問わず、2番目の絶技は、全てこの技なのですが。

 2つの技を連続で使用する技‥‥いや、2つの技を繋げる技です。

 繋げられる組み合わせは、最低限決まりがあります。名前に同じ漢字が使われていることが条件だそうです。

 そもそも、絶技を使える人も早々いないので、あまり知られていませんが、全ての武器に存在する技で、最も難しい技と言われています。理由として一番大きいのは、基本繋げられる技は、秘技であるモノだけです。当然難しいですね。


「そう簡単に、マギも使わずにこじ開けられるわけにはいかない《重ねろ》【重壁】」


「さらに分厚く⁉」


 元々数十ほどは分厚さがあったのですが、さらに分厚くなりましたね。

 百くらいはあるのではないでしょうか?

 流石にこれでは、ダメージを壁の向こうまでと押し切ることは難しいですね。

 剣‥‥では難しいですね。崩しても、追撃が出来ないですからね。

 では、拳ですね。


「【紅流:揺崩(ゆれくずれ)】」


 両手を壁に押し付け、腰を使って一気に放つ。

 壁は私の触れているところから揺れだし、徐々に崩壊していった。


「なに!?」


「まだ【紅流・秘拳:天紅震——くっ」


 邪魔が入りました。避けながら剣も拾っておきましょう。

 かなり弾の動きがおかしかったので、相手のリーダーでしょう。


「緋和李君大丈夫かい?」


「はい。避けられたので。ただ、茨ヶ咲さんを今ので落とせなかったのは痛いですね」


「それは仕方ないさ。相手の方が一枚上手だっただけだ」


「次行くわよ!」

『はい!』


「天音、少し危なかった」


「すまねぇ。次は大丈夫だ」


「ふわぁ~。鈴ちゃん、使っていい?」


「いや、まだ駄目。イリア、手伝って。一人分断したら、樋波よろしく」

「了解」「お~けぃ」


「行くわよ」

「ああ」「分かった」「りょーかい」


 こちらから攻めましょうか。


「【紅流・壱ノ剣(いちのけん)紫電雷切(しでんらいきり)】」


「やらせねぇよ!《妨害の盾》【軟壁(なんへき)】」


 なんでしょうか‥‥土なのに柔らか——!


「《固まれ》」


 今のは危なかったですね。

 武器を取られるところでした。


「流石に無理だったか。行けたと思ったんだけどな」


 ぼやいていますね。

 確かに今のは危なかったですが、直前で粘土だと気づけました。

 やわらかい土でしたからね。地盤はぬかるんでいないので、粘土だと気づけました。

 これで、地面がぬかるんででもいたら、おそらく気づけませんでしたね。


「運が良かっただけですよ。あなたには、かなり本気を出さないといけないかもしれませんね

《場を制せよ》【支配者(ルーラー)

《権限せよ、蹂躙せよ、支配の王たる力を見せつけ、彼の最強を喰らえ》【支配の剣:参式】」


「なんだそれ?物理的に物を作る能力か?だが、樋波がお前の能力は相手の身体能力を下げるものと、マネするものだと——」


「行きます!」


「ま、そうなるわな!《敵の侵入を妨害せよ》【岩壁(ストーンウォール)】!はぁぁ!」


「甘いですよ」


 私の振るった剣は壁などまるでないかのように、スムーズに一瞬で壁を切り裂いた。


「なに!?《鉄の壁よ、敵の攻撃を防げ》【鉄壁(アイアンウォール)】」


「意味などありませんよ」


 私の振るう【支配の剣:参式】はマギを吸い取る剣です。

 あくまでマギのみを吸い取ります。つまり、剣の触れた物からはマギが失われるのです。

 操作権をなくした相手から見ると、まるで壁など無いようにも見えますね。

 今回の場合、岩や鉄とは言え元々は全てバラバラ。継接ぎのようなものでしたので、マギをなくしただけで崩れました。しかし、売れた部分しか崩れていなかったので、まるで壁そのものを切っているように見えたのです。

 つまり、実際には何も切っていません。まあ、早々気付かれるようなものでもありませんが。


「次行きますよ」


 でも、この剣。相手のマギだけでなく、私のマギまで吸い取るのですよ。

 相手のマギも吸い取って自分の物にしていますが、減っている量の半分ほどなので、全然足りていません。

 と、言う事で戦い方から変えます。

 私が会長に預けていた、心霊装ホルダーから取り出したのは、槍型の心霊装。これでも、槍の心得もあるのですよ。あまり上手ではないですけど。


「【紅流:天月(あまつき)】」


 瞬歩で一息もつかぬ間に近づき、槍で突く。


「《土よ》【土壁】」


「そんなもので耐えられますか?」


 槍と彼女の間に土によって壁が作られましたが、やはり短縮詠唱によって作られた壁はもろいですね。

 しかし、目的は壁によって槍を止める事ではなかったようです。


「壁を隠れ蓑ににげましたか」


 突きを放たず、槍を一振りし壁を破壊しました。

 かなりの距離離れていますね。

 今の一瞬でこれだけの距離を移動できるという事は、かなり瞬発力が高いのでしょう。


「次行きますよ【紅流:龍槍】はぁ!」


「投げるのかよ!」


 槍投げの要領です。


「チッ!《土よ》【土壁】」


 またこれですか。今度は横から抜け出したようですね。


「これで終わりです【紅流・秘槍:天紅紫——」




(周囲の気配が急に消えた。そして、視界も失いましたか‥‥麻川さんですかね。現実の身体の方は皆さんに頼むしかありませんね。このような能力だったとは、かなり厄介ですね)


「もう気付いたの?」


「麻川さんですね。随分と厄介な能力ですね。強制昏睡、そして、意識は夢の中ですか」


「分かったんだ。正解だよ。でも、出方は分からないでしょう」


「脱出方法ですか‥‥」


(いくつか考えられますが‥‥彼女を倒すことですかね)


「私を倒そうとしているの?ここでは無理だよ」


「やって見なければ分かりませんよ【紅流:八雲鉢】」


「無駄だよ」


 瞬歩から技を使ったのに、放つ前には麻川さんが消えていました。


「この中では、私の思うがまま。逃げられると思わないで」


「物理的に不可能なことも、実現できるのですか。これは、骨が折れそうですね」


「来たら」


「そうさせてもらいます。《場を制せよ》【支配者(ルーラー)】」


 ‥‥発動しない?まさか!?


「この世界ではマギを使えないよ」


「本当に厄介ですね。その能力。こっちはどうですかね。《最弱を持ちて、最強を喰らえ》【我最弱最強也(ワンダーワールド)】《喰らえ》【魔奪(マギイーター)】」


「え?」


 やはりこっちは使えましたね。


「何で…」


「現実の身体で使っているんですよ。あなたのマギを削っているんです。恐らくですが、この能力現実で触れていないと使えないのでしょう」


 麻川さんの顔が苦しげに変わっていきます。それもそうでしょう。現実では今まさにマギを吸い取られているのですから。

 私の魔奪は使用にマギを必要としません。敵のマギを喰らう能力です。その代わり、参式とは違い自分のマギの回復も出来ませんが。


「か、解除」




 戻ってこられたようですね。


「麻川さん。あなたはここでリタイアしてもらいます」


 手に持った槍で麻川さんの校章を壊しました。


「樋波!」


 茨ヶ咲さんが身を挺して麻川さんを守ろうとしましたが、もう遅いです。


「くそ!」


「やけくそ紛れの攻撃が当たるとでも?《永遠となれ》【虚数空壁】」


 やはり、この技はマギの使用量が多いですね。


「これで終わりですよ」


「鈴‥‥すまねぇ」


 茨ヶ咲さんの校章も壊しました。

 これで、残り半分です。そして、前衛はもういないですね。


「2人がやられましたか‥‥あなたの実力は私の予想を、遥かに超えていたようです。ですが、勝つのは私達です」


「ん。勝つ」


 残り2人で勝つと言い張るという事は、何か秘策でもあるのでしょうか?


「いえ、勝つのは私達不滅の戦姫(シルヴィン)です!」

「そう言う事ですね」「2人で勝てるとでも?」

「私達が勝つ」「‥‥勝ちます」


 試合は白熱差をまし、会場のボルテージも最大に達した。


ここまでお読みいただき有難うございました

では、次話の予告を緋和李ちゃんにしていただきましょう


「こんばんわ、緋和李です

今話では無窮の幻想との試合が始まり、試合は中盤へと差し掛かるところまで来ました

人数差では圧倒的にこちらが有利ですが、まだ、何かを隠している様子のイリアさんに、レギオンの中枢であろう鈴さんが残っています

油断はできませんね

次話では、イリアさんの本当の実力が明らかになるかもしれませんね


これで、今話の感想と次話の予告を終わりにさせていただきます

次話は、今日中に投稿する予定です

次話でいったん区切りです

では、また次話でお会いしましょう」


緋和李ちゃん、有難うございました


【※閲覧者の皆さんへのお願いです】

面白い、また見たい、続きを早く読みたい、と思っていただけた方は、ブックマークと下にある☆を★にしていただけると嬉しいです

励みになるので、どうかよろしくお願いします!


では、また次回お会いしましょう!

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