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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

僕と彼女の物語

星屑だけが、散る。

作者: 渋音符
掲載日:2020/07/07

七夕なので、書いてみました。


 昼下がりに雨。匂いが染み込んでいる。

 傘の隙間から、滴った紫外線。

 排水口から、汚れたペパーミント。

 重なった雲よ。私を守ってくれ。


 停留所(ていりゅうじょ)で一人、警報を待っている。

 誰にも会いたく無かった。一人に()りたかった。


 目の前を舞う(はず)蝶々(てふてふ)(はね)を濡らして墜ちた。

 飛んでいた烏鴉(からす)がそれを蹴飛ばした。

 散った鱗粉(りんぷん)が押し流され、光る。

 こんな天ノ川はいらない。


 夕空にまだ雨。温度が溶け込んでいる。

 髪の隙間から、滴った化合物。

 排水溝には、(しお)れた(すみれ)の花。

 途切れた雲よ。私も連れて行け。


 終電で一人、天気を憎んでいる。

 誰とも話したく無かった。一人で良かった。


 帰り道舞う(はす)の想像が色を枯らして()じた。

 留まっていた烏鴉(からす)此方(こちら)を見ていた。

 張った化粧(おめかし)が押し流れて、光る。

 こんな天ノ川はいらない。


 誰にも会えない七夕はいらない。

 (あなた)に会えない私はいらない。

 もう雨は降っていない。

 雨傘はいらない。


 雨上がりに夜。光が降り(しき)っている。

 夜空の切れ間から、(あふ)れた星の(くず)が。

 それだけが散った。


 この世界で孤独(ひとり)(あなた)(おぼ)えている。

 誰にも言う訳がない。一人だけでいいんだ。


 空を流れていた星々が(ほお)を濡らして落ちた。

 立っていた私は、それを(すく)い上げて。

 ()けた言葉が(あなた)に届くのに、

 天ノ川なんていらない。


 星屑だけが、散る。

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