人生スタート
見ていただきまして、ありがとうございます。
それからすっかり元気になりいつものように美容体操に励んでいたらドアをノックする音が。
「お嬢様アルです、入ってもよろしいでしょうか?」
あたしは急いでまくしあげたスカートを直し、どうぞと声をかける
「失礼致します。旦那様が応接間でお呼びです。が、その前に着替えをしていただきたく…」
アルの手には、新調したらしきドレス。
今のままの格好ではダメなのかしら?
疑問に思いながらアルに手伝ってもらい新しいドレスに身を包む。
「まぁなんて可愛らしいのかしら!アル手伝ってくれてありがとう!」
前世でも着たことのないようなヒラヒラのドレスを着て、思わずテンションが上がりその場でクルクルしてしまった。
「い、いえこれが仕事ですから…」
アルが顔を赤くして口を手で覆っているけれど、具合でも悪かったのかしら?
「では、お父様の所へ行ってくるわね」
自室から出て足取り軽く応接間へ向かう。
お父様、可愛いって言って下さるかしら!
「お父様、お待たせ致しま…し……」
「レーカ!とてもよく似合っているよ!あぁその色にして正解だな!」
いつものお父様ならすぐに抱き締めてくる所だが、流石に今日のお客様の前では出来ないらしい。
「あ、あの、お父様……こちらの方は…」
「あぁお会いするのは初めてだったね、婚約した時にはレーカは熱で伏せていたからね。スカイル・モスティーク様だ。」
「レスカミア様、初めまして。スカイル・モスティークと申します。直接レスカミア様にご挨拶したく、無理を言ってしまいました。病み上がりの所申し訳ございません。」
少年はマナー通り綺麗に頭を下げ挨拶をする。
待って。本当にあたしと同い年?前世のあたしよりしっかりしてるんだけど…!
「こっこちらこそわざわざありがとうございます。ご挨拶が遅れて申し訳ございません、レスカミア・ラークと申しますっ」
あたふたと急いでこちらも挨拶をする。
「あぁ、評判通りとても聡明な方のようだ。改めて、私との婚約の申し込みさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
すっ、と私の前で跪き私の手をとる。
聡明なのは今までのレーカの事だっ…!
申し訳ないし、王子をこれ以上跪かせるのは良心がチクチクするしお父様はニコニコしてるだけだし!!どうしよう!!
「はっ、ふぁいっ!!」
頭がグルグルしてしまい声が裏返ってしまった。
あ、まってこれOKしなければあたしの人生安泰だったのでは…??
今断ればまだ間に合う?!
でも王子の婚約一度返事を出して断るのはかなりまずいんじゃない?!
ていうか貴族社会ってこんな子供の時から婚約者なんてできちゃうの??!
知恵熱が出そうな程頭の中がグルグルしている。
そうこうしているうちにスカイル様は、ありがとうございます、と手の甲に口付けをしてお父様とのお話に戻ってしまった。
あぁあたしの破滅人生がスタートしてしまった…
どうしたらもっと読みやすくなるのか…頑張ります。