表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
難易度ルナティック! 忘れていた約束を叶える為に、ボッチの俺が本気を出す時が来た!  作者: 野良うさぎ(うさこ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/35

3人娘

 

2年A組の教室に悲鳴が響き渡る。


 デスモンスターゲームが開始してすぐ、春樹は生贄として教室から吹きとばされていった。


 春樹が生贄に決まった時、私は絶望した。


 ーー春樹! 私の春樹が!



 思わず我を忘れて恵比寿に飛びかかってしまった。

 だが、恵比寿は冷静だった。


「神楽坂、お前少し黙っていろよ……」


 クラスの中心人物である恵比寿達也が私の腕を掴む。


 ーーおかしい……。恵比寿はこんなに強くなかったはずだ!


 掴まれている腕が軋む……

 私と恵比寿がにらみ合う。


「あらあら、恵比寿君ヤメましょうね……」


 恵比寿の脳天目がけて硬そうな杖をフルスイングする東雲七海。


「おわっ! 危ね!!」


 恵比寿はとっさにしゃがみ込む。

 私は恵比寿に前蹴りをかました。


 恵比寿は防御しながら後ろへ吹っ飛ぶ。


「……ふーん、神楽坂はこんなもんか」


 余裕の表情で立ちあがった。



「おい、お前らスマホをちゃんと見ろ。この状況はマジでやばいぞ」


 呆然としてたクラスメイトがスマホを確認する。


「……え、なにこれ」

「レベル……スキルもある」

「生贄は味方じゃない?」

「ゲームみたい……」

「拠点に戻ると体力と傷が回復するって!」


 恵比寿がクラスメイトに告げる。


「いいか! このよくわからんゲームはあそびじゃねえ! 自分の命がかかっている! よく考えろ……。さっき春樹が戦っていた人狼は倒せない相手じゃねえ! 拠点を活用しながら少しずつ倒してレベルをあげるぞ!」


 恵比寿が持ち前のカリスマ性を発揮してクラスをまとめ始める。


「おい、恵比寿! 春樹が出ていったままだぞ!」


 私は恵比寿に叫ぶ。


 私の横に豊洲真帆と東雲七海が立っている。

 私はとても焦っている。春樹がこんな状況下でクラスから追放されてしまった事にショックを受ける。


 恵比寿は面倒くさそうに私たちを見る。


「あん? あいつは生贄だろ? 味方じゃねえんだよ。ただの経験値ボーナスキャラになったんだ、諦めろ」


「……いいか? 俺たちはわけがわからない状況に置かれている。クラスメイト全員の命が危ない。なんでボッチ1人のために俺たちのリソースを使わなければならない?」


 恵比寿はクラスメイトを見渡す。

 クラスメイトはみんな頷いたり、同意を示している。


 ーー私は……。


「私は……春樹を追いかける! あいつを見捨てられない!」

 恵比寿に叫ぶ。


「そっか……じゃあこの拠点から出ていけ。ここは俺たちの物だ! リーダーの指示に逆らう者はいらない!」


「……いいだろう。じゃあな」


 私は教室を出ようとした時に誰かに手を取られた。

 真帆と七海だ。


「……あら、わたくしもご一緒いたしますわ」


「恵比寿超ムカつく! わ、私は春樹のためじゃないからね! サチが心配なだけだから!」


「ーーお前ら……ありがとう」


 私たちは教室から3人で出る。

 後ろから声が聞こえる。


「よーし、今から作戦会議始めるぞ! まずはグループになって…………」

「恵比寿君なんかキラキラしてるね!」

「流石勇者だよね、あの神楽坂を圧倒してたね!」

「……ていうかあの3人、顔が良いからって調子のってない??」

「きゃはは! 今度あった時は敵になるのかしら? あ、野垂れ死んでるかもね!」


 2年A組は恵比寿の支配下になった。






 私たちは学校を歩きながらスマホで藤崎の動向をチェックしながら進む事にした。


 化け物がいるこの状況だから強くなる必要がある。

 私はともかくとして、真帆と七海は戦闘なんて未経験者だ。


 真帆も七海も食い入るようにスマホを見ている。情報を一つ残らず吸収するために。

 私もスマホを確認する。


 神楽坂幸子

 職業:侍

 レベル2

 スキル 剣術、体術

 恋する乙女


 私はそっとスマホを閉じた。


 七海がスマホから顔を上げる。


「……理解しました。それではハーくんを助けるために行きましょう」


 真帆も元気よく返事をする。

「うん! ゲームっぽいからわかりやすいね! 裏技ないのかな??」


 その時、廊下の影から数体の人狼が現れた。


 ーーあいつらは春樹に襲いかかった人狼だ! ここは私が!


 ……私が剣を構える前に七海と真帆が戦闘態勢に入り、人狼目がけて走って行った。


「……あら、ハーくんの敵だよね?」

 周囲の温度が下がる声色だ。


「こいつらーー!!」

 般若の形相の真帆。


 七海の鈍器(杖)により顔が陥没する人狼。

 真帆の手の平から放たれた雷撃が至近距離で人狼に直撃する。


 人狼達は絶命した。


「……………」


 ーー恋する乙女は恐ろしいな……。


 その後、私たちは人狼を狩りまくりながらレベルを上げて、春樹の後を追った。







 *********



 俺とアリスはスマホを確認しながら東雲方面にあるショッピングセンター「ジャスト」へ目指した。


 東雲は振興住宅街で高層マンションが多い地域だ。


 俺たちはジャストを目指して走った。


 走りながらスマホのチェックをする。生贄を助けるために急ぐ必要があるけど、準備もしないと何が起こるかわからない状況だ。


 ・所持ポイント:439223P


 ・モンスター数:12332/28322


 ・STM:6/12


 ーーSTMもモンスターも半分位になっている。戦っている人のレベルが上がっているのか……。


 そういえばアイテムの所に気になるものがあったな。


 ・アイテム

 剣術スキル初級    100000P

 魔術スキル初級    100000P

 強奪スキル初級    100000P


 ーーこれスキルが売ってるのか?


 試しに魔術スキルを買ってみる。

 持ち物欄に魔術スキルが出現した。スマホをタッチする。


 ーー身体に気と違う力が流れるのを感じる。これは!?


『魔術スキルを習得しました』


 ーーポイントで強くなれるのか!


 俺は必要になりそうなスキルを片っ端から購入していった。


 アリスも飛びながら一緒に走っている。

 タブレットを目の前に出して器用に操作している。


 ーータブレット宙に浮いてない!? 


 アリスは「きゅきゅきゅ」と不敵に笑いながらどんどん購入している。ご満悦だ……


 ーーよし、もうすぐ着くぞ。地図で生贄をチェックしよう。


 地図を開く。

 ジャストに緑色の光が点っている。

 ジャストの詳細地図を開く。


 3階のフードコートで緑色が光る。一つしかない……。

 赤い光が多い! モンスターに襲われているかも知れない!


「アリス! 急ぐぞ!」

「きゅ!!」


 俺たちは速度を上げてジャストへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ