表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
難易度ルナティック! 忘れていた約束を叶える為に、ボッチの俺が本気を出す時が来た!  作者: 野良うさぎ(うさこ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/35

復活


「あいつら手間取らせやがって、くそ! 俺が出張る羽目になるとはな……」


 俺は7大悪魔の一人【時をかける小鬼】ラットだ。

 そこいらの小鬼とは一味違う。

 高貴さがちがう。


「わざわざ他の異世界の侵略中にすいません……なんせこの世界の時が止まっちまって……」


 下級悪魔が俺にへこへこしている。


 俺は止められた時の中でも動く事が出来る。

 悪魔王様ももちろん止められた時の中で動く事が出来るが……

 あの方は現在こことは違う異世界の勇者たちと最終決戦をしてる最中だ。

 邪魔するなんてもってのほかだ!


 俺は小汚い建物の中に入っていた。


 狭くてしみったれた建物だ。


「……ここか」


「へい! こいつらのせいで難儀してます! サクっとお願いしゃーす!」


 軽い悪魔だな……


 確かに強大な力で時を止めている。


 だが俺の力で時は流れるだろう。


「……そういえば、あのくそハエの中にいるんだろ? あいつは中から脱出できるのか?」


「いえ! あいつはこの前経費の使い込みがばれて左遷になりやした! だから、あの世界に閉じ込めた奴らを出さないように一生監視役をしてます!」


 ……7大悪魔だよな? 


「まあいい。……閉じ込めた奴らか。そいつらは出さないようにして時の流れを戻すとしようか」


「絶対奴らを出さないでくださいね! ヤバいくらい強くなってる可能性があります! あのくそうさぎが宝物庫から盗んだお宝で【精神と戦いの間】のグレードを引き上げやがったから!」


「……それでも所詮人族だろう。我々悪魔に敵うはずがない」


「そっすね」


 ……軽い。


 俺は辺りを見た。

 そこかしこに人族の死体が転がっている。


 机と椅子が大量に転がっている狭い部屋の中央に、ガラスの様な結界の中で手で祈りを上げながら瞑想している女がいる。


 女を守る様に仁王立ちしているピンク色のうさぎと……良い漢がいる。

 目を開いたまま固まっている。



 ……この漢……悪くない。


「ちゃちゃっとお願いしゃーす!!」


 ……仕事をするか。俺は出来る小鬼《7大悪魔ゴブリン王》だ。



「まずは……時の流れを戻すか」


 俺は世界の理とリンクした。


 ……この女が理の流れを乱しているな。


 俺の力を女の魔力に介入させた。


 女の顔から汗が流れ落ちる。


 ……見苦しい。それに比べて……ほんといい漢だ……


 俺は力を本格的に注いだ。


 女の結界に振動が起こる。

 ガラスの結界がバリバリ剥がれ落ちる。


 ……やがて、時の流れは正常に戻った。


「やっほほーーい!! これでまた殺戮ができるっす!! ゴブさんありがとっす!!」


 ……俺7大悪魔だよ? 君下っ端でしょ? ……だから最近の若い悪魔は……


「……これで時の流れは正常に戻った。……ふん、簡単な仕事だ」




 女が力尽きたように床に倒れこんだ。


「はぁ、はぁ……時が、戻ったの? 春樹……アリス……みんな……」


 苦しそうに喋る女はうさぎと良い漢に縋りついた。


 うさぎと漢は微動だにしない。


「……そいつらは死んでるぞ。時が戻る前に殺されたんだろう? どうせお前もここで死ぬ。悲しむな」


 女は俺の言う事を聞かずに、うさぎと漢の名前を連呼する。

 うざいな。


「ゴブさん!! 俺が殺っちゃっていいっすか? ハッスルしますよ!!」


「……ああ、俺の仕事は終わったから何でもいいよ。俺帰るね」


「ちーーす!!」


 下っ端悪魔が女を蹴飛ばした。

 うさぎと漢もろとも吹き飛ばされた。


「ぐぅ……は、春樹。……アリス。お願い……帰ってきて……」


 なおも吹き飛ばされたあいつらに縋ろうとする女。


 醜い。気が変わった。


「あれ!? なんでゴブさんがやる気になってるんっすか? あ、ちょっと!」


 俺は時を止めた。


 女の動きが止まる。

 下っ端のクズ悪魔の動きも止まる。


 俺だけが動ける空間だ。

 俺を超える魔力の持ち主しか動けないぞ。



 俺は女の頭を持ち上げた。


「……ふん、レベル6の分際でレベル1200の大悪魔の手間をかけさせるとはな……」


 俺は力を入れて頭を潰そうとした。


 !?


 視界の隅で何かが動くのを感じた。

 俺はうさぎと漢に視線を移す。


「……気のせいか? ただの疲れか……」


 気を取り直して女の頭を…………持てない。


 俺の腕が綺麗に切断されていた。



「ぎゃーーーー!! 俺の高貴なる腕がーー!!」


 俺は床にのたうち回った。


 時が戻る。


 女が喚いている。


「え、え……私……あ、は、春樹? アリス? 春樹、春樹----!」


 俺は怒りで頭が爆発しそうになった。


 俺の目の前には……くそったれなうさぎと……むかつくけど良い漢が立ちはだかった。



 良い漢とくそったれなうさぎが俺に言い放った。



「死ね」

「死ねきゅ」









 ************












 俺は現実世界に舞い戻ってきた。


 ……俺たちの教室だ。


 仲間はみんな死んでいる……

 そりゃそうだ……悪魔は最低でもレベル300だ。

 俺たちは頑張ってもレベル10しか行かなかった。



 俺はユミ姉の前に仁王立ちをして敵に立ち向かっていたんだな……


 ……身体が動かない。

 ……まだ世界と俺が一致しない。


 でも目の前にユミ姉がいる。



 俺たちの前に変な悪魔が現れた。


 尋常じゃない魔力が小鬼から感じられる。


 あいつは止めた時を正常な流れに戻した。


 多分強敵だ。


 ……時を止めてユミ姉を殺そうとした。


 そんな奴は許せない。

 俺は心の中で呟いた。


「----顕現藤崎春樹」


「----顕現アリス」


 俺は自分を世界に認識させた。


 身体が自由に動く。


 無意識のうちに悪魔の腕を切り裂いた。




 俺とアリスは悪魔の前に立ちふさがった。




「死ね」

「死ねきゅ」




 ユミ姉が叫んだ。


「春樹ーーーー!! アリスーーーー!!」



 俺とアリスはユミ姉に笑顔を送った。


「任せろ!! 俺がこの世界をなんとかしてやるよ!!」



 時を操る悪魔が俺に怒りをぶつけて来た。


「お前ら! この高貴なる【時をかける小鬼】ラット様に傷を……!! 絶対許せないぞ!!」


「あわわ、マジかよ!! 悪魔軍に報告っすよ!! ヤバいっす! ゴブさん、あとはよろっす!!」



 俺の身体が覚えている。

 あの異空間で起こった事、全てを。


 俺の力を全て出す。


 俺の力を見せてやる!!



「----顕現ダンジョンキラー!!」


 俺は巨大なダンジョンキラーを顕現させた。


 ラットが俺の魔力に恐れおののく。


「な、なななんだその魔力は……」


 手下の悪魔逃げたか。逃がさねえよ。



 俺はダンジョンキラーを空へぶち放った!!


 天井を破壊し、空へ飛んで行くダンジョンキラー。

 悪魔が作った日本を覆う闇に突き刺さる。


 闇とダンジョンキラーの魔力が反発し合い、恐ろしい衝撃が世界を覆う。


 やがて、ダンジョンキラーは宇宙へ飛び去った。





 闇が晴れる。


 光が戻る。


 俺は続けて魔法を放った。


「----ワールドリターン!!」


 俺の力が世界を覆う。


 まるで虹みたいな光が世界照らし出す。


 俺の目の前にいるラットが喚く。


「くっ! 高々お前一人が強いくらいで……俺たち悪魔は100万匹の軍団だ!!」


 ……一人じゃねよ。


 アリスが消えた。


「ぐへら……」


 下級悪魔の首が飛んでいった。


 俺はラットの頭を握り上げた。


「……お前らは許さねえよ。……悪魔は全員皆殺しだ。……どうせこいつから視てるんだろ? 力を感じるぞ。……俺は春樹だ。てめえら悪魔を滅ぼす者だ! 覚えておけ!!」


「あ、悪魔王さまーー!! ぴぎゃっ!!」


 俺はラットの頭を爆散させた。



 一瞬の静寂の中、頭の中で声が響く。



「ぐはははは!!! まさかこんな辺境の異世界で勇者をしのぐモノが出来上がったとはな! 面白い! わが全悪魔軍で滅ぼしてくれるわい!」



 ダンジョンキラーで大穴が開いた空に無数のモンスターが飛び交い始める。

 窓から街を見ると多種多様なモンスターが群れをなして学校へ行進している。


 湾岸に突然できた建造物から虫みたいに悪魔が湧き出る。


 全て高レベルモンスターだったり上位悪魔や悪魔将軍クラスだ。

 7大悪魔も全員集合(5匹)だ。


 地獄のような光景だ。




「うるさい! お前は勘違いをしている。これから始まるのは……戦いじゃない。粛清だ!!!」


 頭の中の悪魔の声が鳴りやんだ。



「春樹ーー!! アリスーー!!」


 ユミ姉が俺に飛びついてきた。

 俺はユミ姉の頭を撫でる。


「ぐす、ぐす、良かった。……もうだめかと思ったよ。私頑張ったよね? 頑張ったよね?」


「ああ、ユミ姉は頑張った……ここで待ってて、あとは俺たちに任せろ!」 


 俺は絶対壊れない結界をこの教室に張った。







 俺は叫ぶ!


「アリス!!」


「あのくそ悪魔たちはぶっ殺きゅ!!」


 アリスは俺の肩に乗った。




 後ろで人が動く気配がする。





「九段下先生!!」


「おっしゃーー!! 復活だぜ!! しかも新勇者シリーズが開放されてんぞ!! 俺を殺した悪魔をぶっ殺してやるぜ!!」


 青い鎧を顕現させた九段下さんが俺の横に来る。




「スザンヌさん!!」


「……私のあきらを殺した悪魔は……火あぶりよ」


 若草色の柔らかそうな軽鎧を着たスザンヌさんが九段下さんに抱き着いた。

 ……もう結婚しろよ。



「フルモンティ!!」


「……春樹先輩、その変なあだ名はもうやめるのじゃ! わらわの一時の過ちなのじゃ!」


 制服の上にコスプレみたいな魔女のマントと帽子をかぶるフルモンティ。

 俺の腕に抱き着いてきた。



「神楽坂!!」


「おう!! 戻ってきたぞ!! 私の愛があれば怖いものない!!」


 黒い重鎧が威圧感を放つ。大剣が黒光りをしている。

 俺のもう片方の腕に抱き着いてきた。鎧が痛い……




「七海!!」


「あらあら、春樹をこんな目に合わせた……ゴミムシには……死を」


 制服の上に袴を羽織り、弓を携えていて凛としている七海。怒りで遠い目をしている……

 俺の後ろに回り込んだ!



「真帆!!」


「ていうかヤバくない!! 生き返ったよ!! しかも力は異空間の時のままあるし!!」


 普通の制服を女の子らしく着こなしていて、足元は無論ルーズソックスだ。

 俺の肩に手をのせた。




「メイド!!」


「……ぐす、ぐすっ!? あ、春樹……また会えたよ……あ、いや、違う、私はメイドだ! 私の拳で悪魔を叩きつぶす!!」


 ユミ姉のお姉さんであるメイド。可愛らしい本格メイド服に無骨な腕輪を装着している。

 俺のお腹に抱き着いてきた。





 俺のワールドリターンで転生して帰ってきた大切な仲間たち。


 俺はみんなに告げた。




「俺たちは最強の生贄パーティー【サクリファイス・ナイン】だ!! 俺たちは今から悪魔たちを殲滅する!!」




 俺は雄たけびを上げた。




「立ちふさがる者全てぶち殺せーー!! 行くぞーーーー!!!!!」



「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!」」」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ