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難易度ルナティック! 忘れていた約束を叶える為に、ボッチの俺が本気を出す時が来た!  作者: 野良うさぎ(うさこ)


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ボスモンスター出現


 俺達のパーティー【サクリファイス・ナイン】は10時から動き出した。


 俺とアリス、メイド、フルモンティが拠点で留守番をしながら、有効なスキルの取得を教えていた。


 メイドとフルモンティは強いけど、全くアイテムを購入していなかった。

 フルモンティは前の世界でスマホがあったらしく、すぐに使い方をマスターした。

 ……メイドは大変苦戦している。


「春樹……、そもそもスマホってなんだ?」


 メイドに一からスマホを教える事になった……




 九段下さんが神楽坂達とスザンヌさんを引き連れて、モンスター狩りに出かけた。


 まずは近場の赤い光を目印に進み、うまく成長してきたらSTMを一体狩る予定だ。

 新豊洲近くのティームラボという娯楽施設付近にSTMがいるようだ。


 くれぐれも他のパーティーに注意するように言った。

 意外と九段下さんは無茶をするからな……


 ーーそう言えば、人が本当に少なくなった。


 人がモンスターに変えられた。

 人がモンスターに殺された。


 一体どれだけ人が死んだのだろうか?


 このショッピングセンターララポーティに人影はない。

 街に出ても全く人を見なくなった。


 パーティーランキングを見る限り、俺達を含めて15パーティーの確認している。

 拠点にずっと隠れている人たちはどうなるんだろう?



 フルモンティが偉そうにメイドにスマホの使い方を教え始めた。

 アリスは居眠りをしている……





 俺はメイドをフルモンティにまかせて、ララポーティーの一階にある中庭に出た。


 中庭から海が見える

 海には巨大な何かが浮かんでいる。


 ーーこのゲームが起きたと同時に出現した謎の建造物。


 あれも膜に覆われていて誰も立ち入りが出来ない。


 ーー日本中が混乱している。


 こんな状況でもスマホやテレビでニュースが観れる。


 コメンテーターが訳知り顔この状況について語る。

 膜で覆われなかった地域の人が興味本位で俺達の動画を見る。

 好き勝手にコメントをする。

 とある掲示板では不謹慎な事ばかり書かれている。

 勝手に人物ランキングや美少女ランキングが作られている。


 まるで俺達は見世物だ……


 俺はボッチだった。今は仲間がいる。

 この湾岸地域が日本からボッチになっているみたいだ。


 このイベントレベル0モンスターデスゲームをクリアしたら普通の状態の戻るのかな?

 次のステップに進むって告知しているから、それはないだろうけどさ……

 希望があってもいいんじゃないかな?


 俺は身体に力を入れる。

 赤い刀が右手に現れる。


 俺は師匠から教わった剣術の構えを取った。


 ーー俺はなんであんなに弱かったんだ?


 ーーアリスとメイドを初めて会った時の懐かしいさはなんだ?


 ーーこの赤い刀の力はなんだ?


 刀を振り続ける。


 まるで世界が俺だけになったみたいだ。


 耳鳴りがなる。

 ほんの少しだけ違和感を感じた……





(ーーーーでも、まだわたくしに会えてないですわ?)





 俺は刀を止めた。


 俺は海に見える謎の建造物を見据える。


 ーー空耳か?



 俺は……刀を消して、拠点に向かって歩きだした。






 夕方になっても九段下さん達は戻って来ない。

 ちなみに人間が俺達の拠点に来ることは無かった。


 みんなおとなしくしているようだ。


 アリス達が焦れている。

 俺も少し心配になる。



 俺はスマホを確認した。


「あ、STMの数が0になってる……。倒したんだ……」


 すぐに九段下さんからメッセージがあった。


『さっき倒したぜ! ソッコー帰ってるぜ!』


 ーーほんと、子供みたいな人だな。


 俺はアリス達に伝えると、3人は安堵の表情になった。



 またスマホの通知が来た……

 嫌な予感しかしない。


『全STMの討伐確認いたしました。ボスモンスターが出現いたします。それにともない通常モンスターがボスモンスターの眷属となります』


「きゅきゅ!?」


 アリスがタブレットで地図をみて驚いている。

 俺達はアリスのタブレットを見た。


 これは……有明テニスの森林に程近い空き地に一際大きな赤い光がある。


 突然タブレットから音楽が流れた。

 俺達のスマホからも流れている。



 画面が勝手に切り替わる。


 上空からの俯瞰で空き地を映し出す……

 空き地の地面から何かが凄い速さ生えて来る!?



 ーーこれは城か!?


 大型商業施設と同じくらい大きな城だ。


 クラシックみたいな音楽が流れて続ける。


 上空から小さい粒が城に集まる。


 ーーこれはモンスター達か!


 画面が城の大きな入り口前にズームインする。


 集まった多くのモンスターが入り口の前で跪いた。

 現在のモンスターの残数は約3000匹だ。


 入り口から誰かが出てきた。


 普通のモンスターよりも小柄だ。人間と同じサイズである。

 ていうよりも見た目は女の子にしか見えない。


 浅黒い肌に角が生えている。大きなマントの下はドレスみたいな真っ黒い鎧をつけている。

 綺麗な金髪の髪は縦巻きになっており、キツイ目付きに妙に似合っている。


 画面越しからでもわかる存在感というか威圧感というか……

 少し下品だ。


「きゅきゅっきゅーー!!」


 ーーえ、知ってるの? いや、俺も既視感がある。


 九段下さん達が戻ってきた。


「すまん春樹! 遅れた! でも今はそれどころじゃねーな……。こいつは……俺も知ってるぜ」


 画面の音楽が止まった。

 画面の女の子が喋り始める。


 女の子の周囲の大気が震える。

 言霊が大気を通して俺達に直接言葉を伝える。


「わたしは最強の魔王、最悪の魔女、悪役令嬢ユミ・スタンフォードよ!!」


「ムシどもの相手をしてあげるわ! おほほほほーーーー!!」


「わたしの城で待つわ……」


 高笑いをしながら城の中へ入っていった。






 ーー何でボスモンスターの外見から、ほんの少しだけ懐かしさを感じるんだ。でも……アリス達ほどじゃない。全然違う。何かが違う。中身が違う。あれは本物なのか? いや違う。絶対違う。断言出来る。


 ーー胸の奥から怒りが湧いてくる。


 ーーあんな奴がーーを語るなんて……



「きゅきゅ……?」


「アリスも本物と違うって思うのか?」


「え、春樹なに言ってんの? あれは最強の魔王ユミだぜ。俺はあいつと死闘したけど倒しきれなかったんだぜ? あの姿は忘れもしない……」


 俺とアリスが言葉を交わす。



「きゅきゅー、きゅきゅーい、きゅい」



「生意気さが足りない、言葉が薄っぺらい、胸が大きい」



「きゅっきゅきゅ、きゅきゅーーきゅ、きゅいきゅい」



「派手さが足りない、絶望感が足りない、見せかけだ」



「きゅいきゅいきゅい、きゅーいきゅーい」



「あいつは悪役令嬢じゃない、あんなに弱くない」



「きゅい……、きゅーきゅーーいききゅきゅーきゅきゅー、きゅーいきゅ、きゅー」



「でも……見た目がほんの少しだけ懐かしい感じがした、全然中身が違う、別物だ」



「きゅ、きゅっきゅっきゅーーきゅい!!」



「俺達はあいつを語るやつは許さない!!」



「きゅい……きゅ!」



「偽物は……ぶち殺す!」



 俺とアリスが立ち上がった。

 メイドも怒気を放って言い放つ。


「あのくそ悪女とは全く違う……。あいつは偽物だ!!」



 アリスの目が赤く光る。ピンク色の闘気が粒子になって溢れ出す。


 俺の目も赤く光る。赤い闘気が粒子になって身体から漏れ出す。


 メイドの身体全体が光輝く。


「「え!?」」


 周りが引いているのがわかる。


 でも俺達の逆鱗に触れた。本人達でさえ、それが何かわからないが。


「ボスモンスター偽魔王を倒しに行くぞ! 九段下さんすぐに準備しろ! これは戦いじゃない……粛清だ……。俺達サクリファイスナインの恐ろしさをこの世界に見せてやろうじゃないか……。ふざけた事をする奴らには俺達の本気で地獄をみせてやる!!!


「お、おう」



 アリスがカン高く大きな声で鳴いた。


「きゅーーーーーーーーーーー!!!」




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