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難易度ルナティック! 忘れていた約束を叶える為に、ボッチの俺が本気を出す時が来た!  作者: 野良うさぎ(うさこ)


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対人戦

 ブランドショップ通りを走る俺の前に魔物と人が入り乱れている。


「アリス! 人間は襲いかかってくる奴だけ殺せ!」


 ーー多分襲いかかってくるけどな!


「あいつら生贄だーー!」

「モンスターは無視しろ! 生贄を確保しろ!」

「殺すなよ! 生け捕りで献上するのじゃー!」


 案の定、襲いかかってくる人間たち。

 モンスターも襲いかかってきた。


 モンスターの形状が変わっている。

 人狼や豚顔が鎧を着ている。

 鬼みたいなモンスターもいる。

 大きな狼や鳥もいる。


 ーー九段下さんを安全に助けるために、ここは全滅させる!


 ガラスの短刀を瞬時に2個生成して、魔術を纏わせ投げつけた。


「----魔術短刀ファイアー!」


 炎の力が宿った短刀が化け物と暴徒に迫る。

 短刀が当たった瞬間辺り一面が炎の渦に巻き込まれた。


「お、お、生きの良い、い、生贄がいるよ。て、てめえら殺っちまえ」

「や、田中さん、殺っちゃ駄目っす!」


 暴徒の中心にいる大きな男が部下に指示を出す。

 強者の風格がする。


 ーースキル看破!


 ・田中

 レベル:45


 ーー俺のスキルレベルじゃここまでしかわからないか。でも十分だ!


「アリス! 雑魚は任せた!」


「きゅきゅ!!」


 アリスの目が赤く光る。高速移動を開始する!


「ほえぇ、見えねえよ!」

 暴徒たちが騒ぐ。

 化け物も切り刻まれる。



「お、おでの出番だな。あいつ、い、イケメン、むかつく」


 ひと際デカい田中がゲームのようなハンマーで俺に襲いかかる。


 ーーデブだけど早い。


 瞬時に間合いを詰める田中。

 ハンマーを振り下ろす速度も速い。


 俺は余裕をもってかわす。

 ハンマーがララポーティの地面を大きく破壊した。


「つ、次ははずさないのね。ぶ、ぶっ殺す」


 俺はクナイを首に投げた。クナイが首から跳ね返される。


「ふふ、か、かゆいの。お、おでのスキルは鋼鉄の身体」


 ーーなるほど、脳筋か。


「う、うおぉぉぉぉ! ーーす、すきる爆裂ハンマー」


 田中が大きく振り上げたハンマーに力が宿る。


 ーーあれはヤバい。だが、俺も脳筋なんだよ!


 田中のハンマーが突然巨大化して、俺に今までとは違う速度で振り下ろされた。


 俺は黒い刀で迎え撃った。


 ハンマーと黒い刀がぶつかる。

 衝撃破が飛び交う。


 俺の黒い刀が……折れた。

 ハンマーが粉々に砕けた。


 ーースキル遠隔操作!


 俺はスマホを心の中で操作して新しい刀を手に取る。

 そのままの勢いで田中の胸を刺した。


 胸の筋肉に刀が阻まれる。


「お、俺のおで身体はせ、世界一」


 田中は刀を取ろうとする。


 ーーまだまだ、スキル精神統一!


 俺は刀の先に力を集中させる。


「あ、あれ? あれ?」


 徐々に刀が田中の胸に沈んでいく。やがて田中の背中から刀が飛び出した。


「田、田中さん! あ、ぎゃーー!!」

 アリスの猛攻が止まらない。



「ま、まだなのね。こ、これくらいじゃ死なないの」


 まだ動こうとする田中。


 ーーじゃあこれでも喰らえ!


 俺は刀を離す。

 ーー多重生成!


 一瞬で短刀が10個生成されて、俺の魔術により一斉に発射される。


 全短刀が田中の身体中に突き刺さり、田中は絶命した。

「お、お、で…………」



 ーー人間も強いな。気を抜いたら命取りだ。


 殲滅を終えたアリスが俺の方に飛んできた。


「よし、先を急ごう!」


「きゅきゅ!」





 さっきの場所が一番敵が集中していたらしく、比較的敵に襲われずレストラン前までこれた。

 俺たちは隠密スキルを使いつつ、レストランに潜入する。


 ーー敵はいないか。


 俺はスマホを確認する。緑の表示は無い。

 九段下さんにメッセージを送る。


 しばらくすると傷だらけの九段下さんがバーカウンターの下から出てきた。


「おう……。様ねえな……」


 スザンヌも出てきた。

「あきら……。春樹君、本当に助かったわ」


 もう一人ちっちゃい女の子が出てきた。

「むっきー、わらわをこんな狭いところに押し込んで……後で折檻なのじゃ!」


 俺は女の子に指をさした。

 12歳くらいの女の子で、珍しく着物を着ている。長いストレートの金髪と八重歯がチャーミングだ。大人になったらさぞ美人になるだろう。


「あーー、こいつが生贄? なんかむかつきますね……」


 九段下さんはため息を吐く。


「ああ、あんまりこの状況を理解してないのか、能天気なんだよ」


「あきら! わらわは能天気じゃないのじゃ! 可憐な少女なのじゃ!」


 ーーちょっと無視しよう。


「もうすぐメイド、あ、ジャストで出会った仲間が来ます。スキを見て脱出しましょう」


「ああ、ここは正龍ってやつの根城みたいだ。上の映画館が拠点になっているらしい」


 アリスが女の子の相手をしてくれている。

 ……助かる。


「このまま入り口まで行ったら合流すると思います。動けますか? ハイポーションいります?」


「傷はもう大丈夫だ。とっととこの場所から撤退しよう。ここにいる人間は頭おかしいぞ。死ぬのが怖くないのか、殺しても殺しても襲いかかってくる」


 アリスが女の子に顔を引っ張られている。……偉いぞアリス。

 女の子が飽きたのか俺に近づいてきた。


「ほー、ほー、へーー、うんうん、悪くないのじゃ。合格じゃ!」


 女の子が俺を見ながらなんか言っている。


「わらわの伴侶になるのじゃ!」


 俺は女の子の頭をはたいた。


「いた! 何するのじゃ! 高貴なわらわの頭は国宝ものじゃ!」


 俺はかがんで目線を一緒にする。


「いいかお嬢ちゃん。今は結構状況がヤバい。生きるか死ぬかの時だ。冗談は後にしな」


「むっきー! 冗談じゃないのじゃ!」


 女の子がぷんぷん地団駄を踏んでいる。


「ちょっとうるさいわよ……見つかるわ……」


 ーーよし、いい加減脱出しよう。


 ーースマホに通知が来た。

 神楽坂からだ。


『たすけて メイドかばう私たち 映画 攫われ』


 俺は状況にかまわず叫んだ。


「アリス! メイド達が攫われた! 映画館へ先行しろ! つゆ払いを頼む! 九段下さんレベルは?」


 アリスが「きゅーー!!」と鳴きながら走りさった。


「61だ」


「35よ」


「わらわは82なのじゃ!」


 ーーおい、九段下さんのレベル上がりっぷりはなんだ? そして、この女の子のレベルはなんだ? 九段下さんは戦力になる。STM倒してないからポイントが少ないはずだ。


 確かスマホの機能にポイント譲渡があったはず!

 高速でスマホを操作する。


「スマホみて! これで装備買ってください! あとから来てください!」


「わかったぜ!」


「おい! そこの女の子! 映画館へ行くぞ!」


 俺は問答無用で女の子の襟首をつかんだ。


「ぎゃーー!! 何をするのじゃ!! わらわは名前がちゃんとあるのじゃーー!! フルモンティって呼ぶのじゃーー!!」


 フルモンティの叫びがドップラー効果を起こしながら俺は全開で走った。






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