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「うわぁ、楽しみ! マカは何食べたい?」
「カキ氷と焼きそば」
「わたしは久しぶりにわたあめ食べたいなぁ」
「買ってやるから、はぐれるなよ?」
「うん!」
不思議なことに、マカは夕闇の中でも強く存在感を放っている。
だから見失っても、すぐに見つけられるだろう。
「あっ、あと知り合いに会うかもしれんが、黙って私の言うことに頷いておけ」
「そうだね、そういう可能性もあるのよね。設定はどうする?」
「田舎から遊びに来た親戚で良いだろう」
…遊びに来た親戚、まで良いけれど、田舎って…。
そんなに田舎臭いかな? わたし。
「ほれ、そろそろ見えてきたぞ」
「わあっ!」
公園の入口近くになると、祭囃子や提灯の明かりが見えてくる。
それに屋台の良い匂いもしてくる。
大勢の人が、吸い込まれるように公園の中へ入っていく。