第6話 帰り道(2)
結局千波矢も一緒に帰ることに……
「それでね!古谷さんの背中に虫がついてたからとってあげようとしたの!そしたらね、古谷さん急に振り向くからさ〜とった虫が古谷さんの目の前に来ちゃってもうすっごい悲鳴あげちゃたんだよ〜。私はその悲鳴にびっくりしてつかんでた虫を近くにいた高橋君に投げつけちゃったら、これまた高橋君も悲鳴あげちゃって!それで─」
「長い!話長い!バカ!」
「あの休み時間の悲鳴はそうゆうことだったんだね……」
「こっからが面白いんだよ!それでね─」
こいつは話し始めると長いんだよな〜
口下手だからつまんねぇし
「あ、僕こっちだから!風助、竜崎さんまた明日!」
「お、じゃーな!」
「バイバーイ!」
「お前はさぁ、もっと女子らしくしないと女子も男子も寄ってこないぞ?」
「うーん、友達はほしいけど女子らしくってよくわかんないなー。何したって女子は女子でしょ?それに風助がいるから寂しくないし!」
「………お前がいいなら別にいいけどさ。」
「あ、ちょっと公園よっていこうよ!」
「バカおい待て!はぁ、」
千波矢を追いかけて公園に入ると、千波矢は入口のすぐそばで止まっていた。理由は……
「んお?伝説の暴れ姫の次は三中の元トップの青砥さんじゃん」
「……堤か?」
このガタイのいい男は堤猛
四中のトップだった男で、確か高校には行ってなかったはず
眉を剃った男を2人連れてるってことはまだ不良やってるのか
「へー?幼馴染みって噂は聞いてたがまさか本当とはな
それで、二人仲良く普通に高校行ってんのか。羨ましいねー。」
「まあな、そっちは相変わらずみたいだな?」
俺はさりげなく千波矢と堤のあいだに立つ
「勘違いするなよ?俺が普通だ、お前らみたいにこっちからスルッと簡単に抜け出せるヤツはそういねぇ」
「簡単に…じゃねーけどな。」
「まあ、そんなことはどうでもいいんだ。とにかく俺はお前に会いたかったぜ?」
堤が後ろの2人に目配せする。やっぱそうなるよな
「中学時代散々やられたのに、お前だけ幸せに過ごすなんて
不公平だとずっと思ってたからな!」
「千波矢、逃げるぞ!」
「うん!」
堤の初撃を躱し、後ろに跳ぶ。
回避、逃走なら俺は無敵だと思う
「くそ!逃がすな!」
「おう」「あっちだ!」
「タバコ吸ってるバカどもに捕まるほど怠けちゃいねぇよ!」
俺はともかく、千波矢は大丈夫かって?
心配ご無用。千波矢は俺より足が速い。
「風助!大丈夫?」
なんなら逆に心配されてるぐらいだ
「大丈夫だから、そこ左だ!」
2分も走ればあいつらはバテる
念のため後ろに見えなくなってもしばらく走った
もうまいただろう
「ふぅ、真聖と別れといてよかった……」
「あの人まだ悪いことしてるのかな?」
「さあ、どうだろうな。
とにかく今日は帰ったら外に出るなよ」
「うん!」
今日は良くも悪くも色々あったな〜