第3話 君!
入学式を終えて
さらにホームルームも終えた
俺はこれから生徒玄関で可愛い女子を探すことに
…していた。ホームルームの前までは。
今はとてもそんな気分じゃない
なぜなら
「一緒のクラスでよかったー!
三中からは私たちしか来てないから1人じゃ寂しいし!」
「だから話しかけんなって!」
「独り言ですー。」
「俺の隣を歩きながら俺の方向いて独り言発動するのもダメだ」
「えー、それじゃ喋れないじゃん!」
「喋るなって言ってんだよ!」
くっ、このままだと
コイツのせいで周りにドン引きされてしまうかもしれない……
今日のところはさっさと帰ろう。
と。靴を履いて外に出た時だった
「なんだよ、こりゃぁ……」
「うわーすごいね!」
目の前にはありとあらゆる格好をした
大勢の先輩方がいた。部活の勧誘だろう。
すでに新入生らしき生徒が何人も捕まっている
「君!背高いね!バスケ興味無い?」
「君!背高いね!サッカー興味無い?」
「君!背高いね!バレー興味無い?」
「君!背高いね!吹奏楽興味無い?」
吹奏楽は身長関係なくないか?
「千波矢、他の所から出よう。」
「う、うん。それがよさそうだね」
「階段の下に出入口あったよな?あそこなら大丈夫だろ」
なんとか勧誘という名の蟻地獄を避け学校を出ようと校門まで来た
「けっこう遠回りしたねー」
「本当だよ、迷惑な先輩達だな」
「君!」
「「!!!」」
まさか校門にまで!
「あ、部活の勧誘じゃないよ。1年だしね。
僕は田中太郎!君も1年だよね?名前は?」
「え?青砥ふ─「君じゃなくて!そっちの女の子だよ」
「私?えと、竜崎千波矢!」
「へぇーチハヤちゃんか〜!かわいい名前だね?どこ中?」
なるほどこいつも可愛い女子を探す系男子か
しかし、残念だったな同志よ
よりによってこの顔は上の中、中身は下の下その名も竜崎千波矢に目をつけるとは。中学の時の経験からしてこの後は………
「三中かー!僕は九中なんだ!
よかった、メアド交換しない?」
どういう脈絡だよ
「いいよ!へへ!さっそく高校最初の友達できちゃった♪
はい!赤外線でいい?」
「OK!
僕も千波矢ちゃんが最初の友達だよー!」
「よし!完了!
いやー嬉しいなぁ。ねえ田中くん!」
「なんだい?」ニコ
「こっからあそこまで競争しよう!」ニコ
「いいよ!………………え?」??
「よーい、どん!!」ダッ!!
「ちょ、まっ、え?」
やっぱりこうなったか。やれやれ。
「田中くん?すまないけど、あいつあんな感じでアホなんだ
あれでも序の口だけどついていける?」
「………他のカワイイ子を探すよ」
入学初日は大体こーなるんだよな〜
今回は勧誘のおかげで人が少なくてよかった
「いぇーい!勝った!
……あれ?田中くん?」