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プロローグ
私が住む国、アゼルハイドでは金髪などの派手な髪色が好まれる。瞳の色もブルーやグリーンなどカラフルな色の人が多い。そのせいか、私のような人は忌み嫌われる。黒目黒髪。見事なまでの暗い色。友人のエリザは艶があって綺麗で羨ましいと会う度に言ってくれる。気が利くいい子なのだが、その言葉を聞くといつも思ってしまう。どうして私もエリザのようなブロンドの髪ではないのだろう……と。
ーー漆黒の薔薇。
私の黒い目と髪の色を揶揄してつけられたものだ。薔薇は棘が刺さると痛い。あいつに関わると怪我するぞという男の子の言葉が脳裏を過る。そのあだ名のせいか、私は年を重ねても未だに異性と上手く関われないでいた。もう18歳。既に周りの女友達は結婚だの彼氏だの色めきだっている。けれど、私には国中を探してもいないのだろう。漆黒の薔薇なのだから。一輪で咲いて、散って行く定めなのかもしれない。