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ろくに推敲もせずに出せるこの気楽さはネット小説ならではのものです。ラクすぎて楽しいですぅ!!
村を出発したのは、今日の未明。そこから野を越え山を越え、十里は離れているであろう、このシラクス市にやってきた。
メロスには、父も、母も――いない。
……妻も、いない。
今は、十六歳の内気な妹と二人暮らしだった。
そんな妹を置いて、はるばる帝都シラクスまでやってきたのには、わけがある。
それは――妹の結婚。
彼の妹は、近々花婿を迎えることになっていた。
彼女の相手は、村に住んでいる律儀な牧人の一人だ。メロスよりもよほどまっとうな人生を置くてきたと見えるそいつは、メロスにとっても申し分はなかったし、妹もその様子だったはずだ。
だからこそ、メロスはこうして花嫁の意匠やら祝宴のご馳走やらやらをはるばる市に買いに来たのだ。まずメロスはその品々を買い集め、それから都の大通りをぶらぶらと歩いた。買い物を終えた後は、彼の親友に会いに行くつもりだった。
だが――メロスは気付く。
二年ぶりに訪れたこの街の姿は、もはやかつてのものではなくなていたということを。
メロスの愛したシラクスの街は、もうこの地に存在しないのだということを。
ネット小説では自己満足に徹したモノを作ろうという方針ですのでご了承ください。クオリティは保証しません。